EARTH STRIDER 〔アースストライダー〕

とと

文字の大きさ
22 / 54
第1章〔地球編〕

13.キアトに会わせたい人

しおりを挟む
ホエール型モデルのマザーウィッチ・マルクは黒く輝くボディーで、世界二位の大きさを持つWEGSウェグス

私達はマルクの内部におり、静岡県から東京まで僅か十分で東京に到着した。

私は神代ひろな。マルクの上層階の操縦室コックピットにいる。他に幼なじみの男子、未室希跡、キアトと私の大親友の女の子、香川まゆ、そしてこの大きなWEGSマルクの相棒の相棒であり、ワールド13サーティンの一人、沖田仙道さんがいる。私の相棒や他のWEGS達は二階のWEGS格納庫にいる。

私とキアトとまゆは、東京へ行くのは小学三年生の修学旅行に行った切り。

あの時は大好きだった美人の校長先生がいて、三十人の友達がいて楽しかった。

私はマルクの操縦室の大きな窓から東京の景色を見ながら、昔を思い出していた。

あの頃の大好きだった校長先生も他の二十七人の友達も今はいない。今、私といるのはキアトとまゆだけ。

二十七人の友達の安否は確認してないけど、事故やら嫌な話しは聞いてないからみんな元気だと思う。

だけど、校長先生はもう……

「辺り一面、機械や鋼鉄のビルや建物だらけだな……」

物思いに更ける私に、キアトの声が私を現実へと戻した。

「機械王都と呼ばれる所以よ。東京の七割が今、見ている鋼鉄や機械に覆われた場所なんだよ」

私はキアトとまゆに教えると、キアトとまゆは興味深そうに東京全土を空から眺めていた。

鋼鉄のビルや鋼鉄の建物。空にはマルクだけでなく、何百の様々な格好をしたWEGSが相棒を乗せて移動している。

ドームのような造りの建物があちこちにあり、ネオンがきらびやかに輝く。

大自然に覆われた他の都道府県とは違い、日本で唯一の科学や技術が発達した場所、それがこの機械王都・東京なんだ。

「間もなく到着するよ。でも先にマルクを収納する工場へ行き、そこでキアトに会わせたい人と会い、それからユウヤのいる所へ行くよ」

会わせたい人と言うのがさっきから気になる。仙道さんの言い方から私やまゆには関係がない人みたいな感じ。私はまゆと目を合わせ互いに首をかしげた。

私の読心能力を使って仙道さんの考えを読めば一発で解るんだろうけど、なんだか妙な胸騒ぎがして読心はしないようにしている。

そうこう思っているうちに、マルクはドーム型の建物の上空に制止し、下へと下降した。マルクの中からだとよく解らないけど、たぶんマルクは建物の中へと入ったんだと思う。


五分後。無事に東京へ到着した私達はマルクから出ようとしていた。

「仙道さんよ……、オレに会わせたい人って誰?」

キアトが仙道さんに質問した。

「まゆも気になってた。三十人の仲間の一人だよね?」

「キアトの知り合いって言い方……、なんだか私達は知らないような意味ありげに聞こえたんだけど……」

まゆと私が疑問を言葉にする。

「キミ達は知らない女子だよ。でも……「あ~っ!キアト、まゆに内緒で浮気している!」

「「んな訳あるか!」」

キアトと私はまゆの発言に怒り任せで怒鳴った。だいたい、まゆとキアトは付き合ってませんから!まったくホントにおバカさんなんだから!

縮こまった半泣きのまゆはほっとこ。

「でも、キアトも正確には知らないよ。まぁ、マルクから出ればすぐに待っているから」

そう仙道さんは言い、歩きはじめた。



マルクの外に出ると、そこは鋼鉄や機械だけの空間だった。

「表地球のロボットアニメに出てきそうな基地の中みたいだな」

キアトの例えはまさにそれ。こちらの世界ではアニメやドラマはなく、裏地球の技術で見えない空間から電波を頂き、表地球でやっているテレビ番組を観ることができるんだけど、今はどうでもいい事だね。

「いないようだけど……」

まゆが辺りを見回しながら呟く。確かに人一人いない。

「よく見て、あそこにいるよ」

仙道さんがマルクの頭部へと指差した。

鯨顔のマルクの前に確かに人がいる。

よく見ると、私達と同じ年頃の可愛い女の子で、髪を団子団子結びを三つにした汚れたつなぎの作業着のようなものを着ていた。

「私達の知らない人」

「確かに初めて見る……」

私とキアトが答えと、まゆが次に不思議なことを言った。

「なんか、キアトに雰囲気似てない?」

「似ているか?ハハハ……」

仙道さんがまゆの一言に意味ありげに笑った。

その時、私は仙道さんが思っている事を読心してしまい、咄嗟に口に手を当てた。余りにも衝撃過ぎて……

「なんだよ?ひろな……」

キアトが驚く私に対し、不安そうに言う。

「彼女はキアトの一個下、名前は……」

仙道さんはキアトを見つめながら答えた。

未室愛亞みむろあいあ

「「「みむろ~?……未室って!?」」」

「そう、キアト……、キミの妹だよ」

仙道さんの告白にキアトもまゆも、そして私も言葉を失った。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

処理中です...