EARTH STRIDER 〔アースストライダー〕

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第１章〔地球編〕

22.去って行った嫌なヤツ

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私は恐怖していた。たった今、去って行ったワールド13の一人トム・セッツガーに……

「仙道さん、アンタ、めちゃくちゃ嫌いだオーラ出してたぜ」

キアトが仙道さんに言う。

「ストライダー狩りの容疑のかかったワールド13の一人、トム……、証拠がないだけで逮捕できない」

仙道さんは静かな怒りに道溢れていたけど、間違いなくあのトムは黒。

私には読心能力があり、トムの考えが解ってしまったんだ。

「あのトムって人、何をするかまでは読めなかったけど、とんでもない事をするつもり」

「とんでもない事？」

私は全身を奮わせながら言うと、まゆが私を庇うように抱きつきながら口にした。

「アメリカにＷＥＧＳのパークみたいな物ってある？あのトムって人の考えに、ＷＥＧＳ……、パーク……、クラッシュ……って単語が出てきたけど、私は英語が話せないから」

私の能力は相手の思っている言語を読み取る能力だから、相手の考えが日本語以外は解らないんだ。だから、私に解る単語を言うしかなかった。

「ＷＥＧＳ……、パーク……！あるぞ！」

仙道さんが私の謎かけのような単語を簡単に解いた。

「何処だよ？」

「ＷＥＧＳ発祥の州、モンタナにあるバイオロイドパーク」

キアトの急かしに仙道さんがすぐに答えると、あっちゃが急に興奮したように目を輝かせた。

「バイオロイドパーク？」

「キア兄ってホントに何も知らないんだね？」

「コイツ、なんも知らないバカなんだぜ」

「んだと、ゴラッ！」

テルくんの茶化しにキアトが凄む。テルくん自身も知らないのになんで茶化すのかなぁ？

「まぁまぁ、バイオロイドパークって、ＷＥＧＳの生成工場とＷＥＧＳの博物館とか、あとＷＥＧＳのモデルとなった動物とか恐竜とか、空想動物とかのテーマパークなんだよ」

「テーマパーク？」「楽しそう」

キアトとまゆの表情が緩む。

「クラッシュって、まさかバイオロイドパークを破壊するってことなのか？」

仙道さんが私の言った単語を口ずさみ、最悪の考えを口にすると、キアトもまゆも真顔になった。

「悪いがキミ達とはアメリカに到着次第、別行動をする。ボクのアメリカに行く目的は、トム・セッツガーの逮捕。彼がここに来たのは恐らくボクへの当て付けと挑発」

「確かに、私達はユウヤとちなみを探して……」

仙道さんの言葉に、私が納得しようと話している最中、キアトが横いれした。

「ちょっと待てって、オレは仙道さんに着いて行くぜ。ストライダー狩りのトムって野郎を阻止して……「駄目だ！」

キアトの意思を仙道さんが読み取り、いきなり拒否した。

「トム・セッツガーは仮にもワールド13のメンバーの一人、キアト、キミがどうのこうのってなる相手じやない」

「だけど……、」

「キアトが行きたい気持ち分かるけど、私達の目的はヒロヤとちなみを探して……」

「そうだよキアト。ムリに危険な場所に行かなくても……」

私とまゆがキアトに忠告する。

「すまないキアト、また会おう」

仙道さんがキアトの肩に手を置いて謝罪する。

「別れる必要はないよ」

突然、ハッチの入り口から聞覚えのある声がした。

振り向くとそこにユウヤとくるみがいた。

「キアト、仙道さん、残念だけどストライダー狩りでヒロヤとちなみが拉致られた。ヒロヤとちなみのＷＥＧＳから救援要請が今さっき、届いた」

「何だって！？」

「ヒロヤとちなみが拉致られたって、大丈夫なの？」

ユウヤの発言に私達は驚愕した。

「拉致された人質は二十人前後でバイオロイドパークに籠城された。つまりテロの被害にあった」

「なんという偶然……、テロの首謀者はトム・セッツガーなのか？」

「解らないけど、多分……」

「突然、ボク達の前に現れ、すぐにテロの情報……まるで意図して……」

ユウヤと仙道さんの会話に私達は静かに状況を把握するしかなかった。

「こんな偶然……、何を企んでいるんだ？トム・セッツガー」

仙道さんは唇を噛みしめながら吐き捨てるように答えた。

「仙道さん、オレ達も行くぜ。モンタナ州にあるバイオロイドパークへ！」

キアトは指折りをしながら答えると、キアトの後ろにいる、まゆ、あっちゃ、テルくんも不敵な笑顔を見せていた。

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