EARTH STRIDER 〔アースストライダー〕

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第1章〔地球編〕

past10 日下部弥生の相棒

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「悪かったって言ってんだろうが!何度も言わせんな!ポンコツアホ鳥が!」

那賀龍神が私に向かって怒鳴る。

「いいえ、反省が見られませんので何度も言わせてもらいます。次に子供達の前であのような姿になったら、私は龍神さまと共に道連れ自爆します」

「だから、そん時は道連れ自爆でも何でもしろって!」

「二言はないですね?」

私の発言に那賀龍神は苦虫を潰した表情で「ああ」とぶっきらぼうに答えた。

今、私と那賀龍神は校舎外の運動場の端にいた。那賀龍神は昨日のあの事件で罰として一週間、日下部弥生から放課後の草むしりを強いられいたのだ。

草むしりだけで済むのはラッキーだった。本来なら間違いなく解雇、場合によっては逮捕にまでなりかけなかったのだ。

「ところで先程から気になっているのですが……」

「……ああ、解っている……」

私が那賀龍神に問いかけると、那賀龍神も静かに答えた。

気になっている事、それは先程から校舎の陰から気配を感じていたのだ。

「ポンコツ何者だ?」

那賀龍神も気配に気づき、私に備わっている温度探知機能に期待し、正体を探らせた。

「人ではありません」

「敵か?」

「違います」

私がそう答えると那賀龍神がいきなり立ちあがり、隠れている者に向かってダイブした。

「捕まえたぜ!」

「何するんだ!?ボクタンに触るな!ばーろー!」

那賀龍神が簡単に捕まえた者は、小型の茶色いWEGSだった。

「あれは弥生さまのWEGS?」

私がWEGSの正体を言うと、那賀龍神はWEGSを乱暴に掴み直した。

「弥生さんのWEGS?そう言えばいたな、弥生さんの肩に乗っていた小さなWEGS」

確かに那賀龍神が龍人変化した時に、メガホンのような形状から栗鼠のような形状になったあのWEGS。つまり、弥生さんの相棒というわけか……

「離せ~!弥生さんに言い付けるぞ!ばーろー!」

「なんか、生意気そうなWEGSだな?」

「龍神さま、離してあげましょうよ?」

那賀龍神の両手でもがき続けるWEGSになんだか、可哀想に思考した私はそう那賀龍神に言うと、那賀龍神はしかめっ面で地面へと離した。

「おめぇ、弥生さんのWEGSなんか?」

「そうだ!ばーろー!ボクタンは弥生さんの相棒だ!毎日、弥生さんのほっぺたにチューしてんだ!羨ましいだろ!?ばーろー!」

栗鼠型WEGSが那賀龍神に凄むが、何故か愛らしく思考する。那賀龍神も面倒くさそうな表情をし、栗鼠型WEGSを見つめている。

「おめぇ、名前は?」

「ボクタンはミントライムだ!ばーろー!毎日弥生さんと一緒にお風呂に入ってるんだ!羨ましいか、ばーろー!」

「うぜぇなぁ……、このチビWEGS」

那賀龍神が呆れた表情でミントライムと名乗ったWEGSをけなす。

「で、おめぇオレ達を覗き見して何の用だ?草むしりなら真面目にやってるぜ」

「言わないよ!言うなって弥生さんに言われてるから!ボクタン、弥生さん大好きだから絶対に言わないってんだ!ばーろー!」

「腹立つなぁ!このチビWEGS」

確かにこの口調で言われれば私でも苛立ちをインプットしてしまう。

「これだけ言っておいてやる。ボクタンはそこの鳥ロボットよりも強いんだ」

「あっそ、俺の監視なら離れて見てろ」

ほう……、世界最強の那賀龍神の相棒の相棒である私よりも強いとは畏れ入る。

「試してみるか?」

「ほっとけポンコツ」

私にも意地悪な感情があるのかもしれない。そんな私に那賀龍神は栗鼠型WEGSに呆れた口調で、私を制した。

確かに大人気ない行動だ。例えるならば幼児にムキになる大人だ。私は今の発言に対し反省した。

「試してやるよ!生意気なんだよ!鳥ロボット!ばーろー!」

栗鼠型WEGSミントライムの発言に流石の私も苛立ちを思考した。

その時、わずか十五センチのミントライムの全身が赤く光った。

「何してんだ……」

那賀龍神の叫びこえ……が、突然……消え………………………………………………………









…………い、……ンコツ、しっかりしろ!」

……………………

「ポンコツ!しっかりしろ!」

………那賀龍神の声が聞こえた。

「龍神さま……?」

「どうだ!ボクタンの力は!?」

どうやら私の思考回路が停止していたようだ。

「ポンコツ、おめぇ十分位動かなかったぞ!大丈夫か?」

「活動しなかったってことですか?」

「それがボクタンの、ボクタンだけが持つWEGS停止機能さ」

なんということだ?まさかこのような小さなWEGSにまんまと遅れをとるとは……

私のほうが自意識過剰だ。確かにこの栗鼠型WEGSミントライムは最強だ。十分もの間、活動を停止されれば、その間に攻撃されたら意識が戻ることなく破壊されるだろう……

このミントライム自体に戦闘能力は感じられない。だが間違いなく強い。

「龍神さま、私の完敗です。ミントライム、キミは強い」

「へへ~ん!ボクタンは最強だ!ばーろー!」

「マジかよ?」

勝ち誇るミントライムを見ながら那賀龍神が苦笑する。

だが、ここで疑問が残る。

何故、この小学校にこのような機能をもつWEGSがいるのか?

何故、日下部弥生はミントライムを相棒にしているのだろうか?

日下部弥生の能力はなんなのか?

一体、日下部弥生とは何者なのだろうか?

そもそも、那賀龍神がここに来たのは本当に偶然だったのか?

私は疑問を覚えた。


そう言えば、杉並優菜はあの電話から一切、連絡をしてこないし、いつになったら那賀龍神に会いに来るのだろう?

私は何故か関係のない事を思考をした。







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