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第一章【それぞれの冒険】
case6❲だってマジでキモいんだから!❳
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わたし達六人とそれぞれの相棒のWEGSと共に、闇龍キーカンバーの棲息するサーカッシュの洞窟へと向かっていた。
「ようやく洞窟が見えたよ」
アストの声がわたしのWEGSファーストラヴに内蔵されたスピーカーから聴こえた。WEGSには様々な機能があり、電話の機能や様々な言語を翻訳する機能なんかもあるんだ。
ちなみにWEGSを造っているのは、詳しくは解らないけど龍の背大陸クーフェのドワーフ王国のWEGS工場で生産されているらしい。詳しくは解んないからまた別の人に聞いてみよっと……
洞窟の入口はおよそ縦横と五十メートルくらいの広さがあり、わたし達はWEGSを止めて辺りを見回した。
洞窟の入口の廻りは木々が生い茂っていて、あちらこちらに大昔に栄えたであろう様々な人や耳長亜人等の石像が壊れ散乱していた。
「何千年前に栄えた都市の名残りね」
エリアが静かに答えると、ピットがWEGSから降りて洞窟へと向かいだした。
「ちょっと待てって!少しは用心しろって!」
パラガスが慌ててピットを制止しようとする。
確かにこれから向かう洞窟内部は危険性が高く、みんなで協力しないと怪我だけで済みそうもない。
「おい、なんでオイだけ止めんだ?アストはいいんかよ?」
ピットの批判にわたし達はアストのWEGSフリーブレイバーを見た。
「「「バカアストーっ!!」」」
わたしは涙目になり、パラガスとエリアは怒りながら、すでに洞窟に入ったアストの名前を叫んだ。
「んん……、もう行くよ……」
ミレアもわたし達を置いて足早に洞窟へと入って行く。
「ちょっと!みんなで行こうって!」
エリアが声高く言うと、ピットとパラガス、エリアも急ぎながら洞窟へと入って行った。
「ちょっと、なんでわたしを、置いて、行く、のーーーっ!う、う、……、うわああぁぁん!!アストのバカーーーっ!!」
置いてけぼりをされたわたしは大声で泣き出した。
洞窟内部は岩に囲まれ時折、何処からか水の流れる音と、アストの大きくヘンテコな歌声が響き渡っていた。
「バカアスト、ちょっと黙りなさいよ。モンスターが入るかも知れないのよ!」
「おめぇも静かにしろや。ブスね……ぐぎゃっ!」
エリアのに反論したピットがすかさず、エリアの本気の飛び膝蹴りをくらいピットが悶絶している。
それぞれが懐中電灯を持っているので、洞窟内部は何とか灯りを頼りに進んでいた。
「キーカンバーに会う前に、ミレアちゃんに質問だけど……」
パラガスが隣にいるミレアに質問し、ミレアは無言でパラガスの言葉を待った。
「答えたくなかったら無理に言わなくても良いから、ミレアちゃんとキーカンバーは当然知り合いなんだよね?」
パラガスの質問にミレアは無言で頷く。答え辛い質問にパラガスの配慮を感じるんだけど、やっぱりこれから会うキーカンバーは、ミレアと同じ十龍。互いが同じ十龍である以上、仲良しなのか、それとも仲良しじゃないのか……、わたし達の思っている事をパラガスが代表して聞いてくれている。
「その、喧嘩になったりとか、しないよね?」
「キーカンバーは良い奴……、キーカンバーに早く会いたい……」
ミレアは暗がりの中で少しはにかみながら答えた。本当にミレアのこういう仕草は、女子であるわたしでも可愛いと思った。
「でも~!その前に~♪前に~そびえ建つ~♪ばばばーん♪」
アストがヘンテコ口調で前方へと手を広げた。
「何故~か♪洞窟の~中から~♪お城が~あるの~だ~!」
アストのウザすぎる口調は無視し、なんとビックリ!洞窟の中にとても大きな真っ黒な城が建ち塞がっていた。
大きな洞窟の大きな空洞に大きなお城。誰が一体、いつの時代に建てたのか?少なくてもわたしが知っている事は、サーカッシュの洞窟の内部は空洞であり、その漆黒の奥底に闇を好む十龍が居るって事。お城があるなんて聞いた事もない。
「ちょっと待って?あの城って、ちょっとずつ動いていない?」
エリアが答えると確かに微妙に地面から少しずつ動きを見せていた。
「んん……、珍しい……」
「どうしたの、ミレア?」
ミレアが動くお城に興味を示すと、わたしはミレアの側に行きミレアの言葉を待った。
「あれはお城じゃない……、あれは擬態宝箱虫の一種の擬態建物虫。建物に化けて中に入った者を食べる……」
「「「「「ひぃーーっ!」」」」」
ミレアの言葉にわたし達全員が青ざめる。
「嘘だろ?」「入らなくて良かった!」「バカアスト、あんたが先に行くから変なのが出て来たんでしょ!」「ボクのせいじゃない!」「う、うわああぁぁん!帰りたいよー!」
それぞれが一斉に叫ぶと、お城に擬態したモンスター、ビルディックが制止する。
「気づかれた……、こうなったら襲ってくる……」
「てか、当たり前じゃん。こんなに叫んでたら……」
ミレアと、アストが冷たく答える。みんな一瞬だけ静かになる。………………が、ビルディックのお城の正面入口が突然、大きな口になり牙が剥き出しになり、大きな長い舌が飛び出し、わたし達はこの上なく絶叫した。
「バカアストーーっ!」「アストのせいだよ!うわああぁぁん!」「だからなんでボクのせい?」
巨大な舌をアストが腰の剣を出し抑える。舌は剣で弾かれ宙に逃れる。
「あんなキモいのやだ!」「怖いよ、怖いよ」「この子もキモいの嫌……」
女子三人が好き勝手に言いながら、キモ過ぎるビルディックから視線を反らす。だってマジでキモいんだから!
アストはパラガスとピットを見ると、ふたり共アストから目を反らした。
アストはため息を吐き、ため息を深呼吸に変えて左手に剣を、右手に銃を持ち身構えた。
「いいよ!やりゃいいんだろ?ボクがお城怪獣をやっつけてやるよ!」
アストの宣言にみんな、何故か心ない拍手をした。
アストの能力が今、放たれようとしていた。
ようやく真打ち登場。
…………って、勝手にわたしが思っているだけだけどね。(照っ)
「ようやく洞窟が見えたよ」
アストの声がわたしのWEGSファーストラヴに内蔵されたスピーカーから聴こえた。WEGSには様々な機能があり、電話の機能や様々な言語を翻訳する機能なんかもあるんだ。
ちなみにWEGSを造っているのは、詳しくは解らないけど龍の背大陸クーフェのドワーフ王国のWEGS工場で生産されているらしい。詳しくは解んないからまた別の人に聞いてみよっと……
洞窟の入口はおよそ縦横と五十メートルくらいの広さがあり、わたし達はWEGSを止めて辺りを見回した。
洞窟の入口の廻りは木々が生い茂っていて、あちらこちらに大昔に栄えたであろう様々な人や耳長亜人等の石像が壊れ散乱していた。
「何千年前に栄えた都市の名残りね」
エリアが静かに答えると、ピットがWEGSから降りて洞窟へと向かいだした。
「ちょっと待てって!少しは用心しろって!」
パラガスが慌ててピットを制止しようとする。
確かにこれから向かう洞窟内部は危険性が高く、みんなで協力しないと怪我だけで済みそうもない。
「おい、なんでオイだけ止めんだ?アストはいいんかよ?」
ピットの批判にわたし達はアストのWEGSフリーブレイバーを見た。
「「「バカアストーっ!!」」」
わたしは涙目になり、パラガスとエリアは怒りながら、すでに洞窟に入ったアストの名前を叫んだ。
「んん……、もう行くよ……」
ミレアもわたし達を置いて足早に洞窟へと入って行く。
「ちょっと!みんなで行こうって!」
エリアが声高く言うと、ピットとパラガス、エリアも急ぎながら洞窟へと入って行った。
「ちょっと、なんでわたしを、置いて、行く、のーーーっ!う、う、……、うわああぁぁん!!アストのバカーーーっ!!」
置いてけぼりをされたわたしは大声で泣き出した。
洞窟内部は岩に囲まれ時折、何処からか水の流れる音と、アストの大きくヘンテコな歌声が響き渡っていた。
「バカアスト、ちょっと黙りなさいよ。モンスターが入るかも知れないのよ!」
「おめぇも静かにしろや。ブスね……ぐぎゃっ!」
エリアのに反論したピットがすかさず、エリアの本気の飛び膝蹴りをくらいピットが悶絶している。
それぞれが懐中電灯を持っているので、洞窟内部は何とか灯りを頼りに進んでいた。
「キーカンバーに会う前に、ミレアちゃんに質問だけど……」
パラガスが隣にいるミレアに質問し、ミレアは無言でパラガスの言葉を待った。
「答えたくなかったら無理に言わなくても良いから、ミレアちゃんとキーカンバーは当然知り合いなんだよね?」
パラガスの質問にミレアは無言で頷く。答え辛い質問にパラガスの配慮を感じるんだけど、やっぱりこれから会うキーカンバーは、ミレアと同じ十龍。互いが同じ十龍である以上、仲良しなのか、それとも仲良しじゃないのか……、わたし達の思っている事をパラガスが代表して聞いてくれている。
「その、喧嘩になったりとか、しないよね?」
「キーカンバーは良い奴……、キーカンバーに早く会いたい……」
ミレアは暗がりの中で少しはにかみながら答えた。本当にミレアのこういう仕草は、女子であるわたしでも可愛いと思った。
「でも~!その前に~♪前に~そびえ建つ~♪ばばばーん♪」
アストがヘンテコ口調で前方へと手を広げた。
「何故~か♪洞窟の~中から~♪お城が~あるの~だ~!」
アストのウザすぎる口調は無視し、なんとビックリ!洞窟の中にとても大きな真っ黒な城が建ち塞がっていた。
大きな洞窟の大きな空洞に大きなお城。誰が一体、いつの時代に建てたのか?少なくてもわたしが知っている事は、サーカッシュの洞窟の内部は空洞であり、その漆黒の奥底に闇を好む十龍が居るって事。お城があるなんて聞いた事もない。
「ちょっと待って?あの城って、ちょっとずつ動いていない?」
エリアが答えると確かに微妙に地面から少しずつ動きを見せていた。
「んん……、珍しい……」
「どうしたの、ミレア?」
ミレアが動くお城に興味を示すと、わたしはミレアの側に行きミレアの言葉を待った。
「あれはお城じゃない……、あれは擬態宝箱虫の一種の擬態建物虫。建物に化けて中に入った者を食べる……」
「「「「「ひぃーーっ!」」」」」
ミレアの言葉にわたし達全員が青ざめる。
「嘘だろ?」「入らなくて良かった!」「バカアスト、あんたが先に行くから変なのが出て来たんでしょ!」「ボクのせいじゃない!」「う、うわああぁぁん!帰りたいよー!」
それぞれが一斉に叫ぶと、お城に擬態したモンスター、ビルディックが制止する。
「気づかれた……、こうなったら襲ってくる……」
「てか、当たり前じゃん。こんなに叫んでたら……」
ミレアと、アストが冷たく答える。みんな一瞬だけ静かになる。………………が、ビルディックのお城の正面入口が突然、大きな口になり牙が剥き出しになり、大きな長い舌が飛び出し、わたし達はこの上なく絶叫した。
「バカアストーーっ!」「アストのせいだよ!うわああぁぁん!」「だからなんでボクのせい?」
巨大な舌をアストが腰の剣を出し抑える。舌は剣で弾かれ宙に逃れる。
「あんなキモいのやだ!」「怖いよ、怖いよ」「この子もキモいの嫌……」
女子三人が好き勝手に言いながら、キモ過ぎるビルディックから視線を反らす。だってマジでキモいんだから!
アストはパラガスとピットを見ると、ふたり共アストから目を反らした。
アストはため息を吐き、ため息を深呼吸に変えて左手に剣を、右手に銃を持ち身構えた。
「いいよ!やりゃいいんだろ?ボクがお城怪獣をやっつけてやるよ!」
アストの宣言にみんな、何故か心ない拍手をした。
アストの能力が今、放たれようとしていた。
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