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第一章【それぞれの冒険】
case8❲闇龍キーカンバー❳
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全身真っ黒のあたし、エリアの身長の半分くらいの赤ちゃん象が、まさかの十龍の一頭だなんて驚きしかない。
転生、つまり産まれたばかりだから牙もなく、目元から背中をかけて尻尾までの形が本来の龍の姿に見えなくもないが、とにかく象のような龍の姿は一言で言えば、可愛い。とにかく抱きしめたくなるような可愛かった。
闇龍キーカンバー。あたし達の前にぶるぶる奮えながら四つの脚で立っていた。
「んん……、キーカンバー、とにかくまずは身体を綺麗にしないとね」
ミレアはそう答えながら着ているローブの裾から手拭いを取り出し、キーカンバーに近づいていった。
「ごめんね、ミレア」
「んん……、いいよー」
キーカンバーは自分の身体を拭くミレアに鼻息をかけた。それにしても仕種が可愛い過ぎる。あたし達も近づき、あたしとキャルも同じようにキーカンバーの身体を拭いた。
「ありがとね。お姉ちゃん達……」
あたしとキャルは微笑みながら「いいのよ」と答えた。
「敵意はなさそうだな」
パラガスは腰に手を置きながらキーカンバーを見つめていた。
「想像してたのと違って、なんか拍子抜けだぜ。お前、何回目の転生なんだ?」
「キミ、可愛いね、ボクはアストだ。よろしく」
ピットとアストも近づいてキーカンバーに話しかけた。
「ぼくはね、産まれ変わったのこれで十二回目なんだ、ミレアは何回産まれ変わったの?」
「んん……、この子は何回目だったかな?転生じゃなく憑依だから、でもこの子の事は好き」
普通ではミレアの会話は理解できないと思うけど、あたし達には理解できた。
これはミレアから昔聞いた話しだけど、ミレアは他の十龍と違って不老不死なんだ。ただ命龍ミレアは実体のない龍、本人いわく気体龍なんだ。実体のないミレアは人に憑依しながら存在している。ただ、人には寿命があり寿命が尽きると別の人間に憑依する。
ちなみに憑依する人間には条件があって、条件は産まれてすぐに死んでしまう人間に限ってるんだって。長く生きる人の魂を封じる事はできないからって理由で……。
「この子の事は好きって?」
「この子の魂はまだここに居るの」
キーカンバーの疑問にミレアは胸に手を置きながら答えた。そう、本来なら魂の無くなった身体はミレアが憑依し、寿命尽きるまでミレアが大事に使う。けど何故か今のミレアの身体の本来の持ち主は、今も存在している。今までミレア自身もこのような経験がなくどうする事もなく、一緒にいる。だからずっと一緒にいる身体にこの子といつも呼んでいる。
「それよりキーカンバー」
ミレアが急に話題を変える。
「貴方、那賀先生……、那賀龍神について何か知っているの?」
「そうだよ!ボク達の目的は那賀先生の事をキミに聞きに来たんだ!」
ミレアとアストがキーカンバーに会いに来た理由を告げると、あたしやキャル達も頷いた。
「那賀?那賀って……?ああ!思い出した!」
キーカンバーは少し考えてからすぐに那賀先生の事を思い出した。
「那賀龍神はぼくの前世の時に、二回会った事あるよ」
キーカンバーはあたし達を見つめながら答えた。
「一回目はあの時、那賀龍神と十龍の一頭、海龍バラクーヌと喧嘩していた時」
「バラクーヌと?だからバラクーヌは那賀龍神と……」
ミレアの意味深な言葉にあたし達は生唾を飲んだ。
「あの時の話しからしようか?」
キーカンバーの言葉にあたし達は無言で頷いた。
那賀先生……。あたし達の大好きで優しく強い最も憧れている三人の中の一人。那賀先生とルイ・アールド国王。それに弥生先生……。
那賀先生を思い出すと絶対に思い出す人。日下部弥生先生。絶対にあたしだけじゃない。那賀先生と言ったら弥生先生を思い出すのは……、三十人のクラスメイトなら絶対に忘れれない、あの素敵なふたり。
少なくても今、ここに居る他の五人は同じ事を考えている。
「んじゃ、話すよ。あれはぼくのテリトリーの海の上で、十龍じゃなくて、まだ十三龍って呼ばれてた頃の……」
キーカンバーは静かに前世で会った那賀先生の話しを始めた……。
転生、つまり産まれたばかりだから牙もなく、目元から背中をかけて尻尾までの形が本来の龍の姿に見えなくもないが、とにかく象のような龍の姿は一言で言えば、可愛い。とにかく抱きしめたくなるような可愛かった。
闇龍キーカンバー。あたし達の前にぶるぶる奮えながら四つの脚で立っていた。
「んん……、キーカンバー、とにかくまずは身体を綺麗にしないとね」
ミレアはそう答えながら着ているローブの裾から手拭いを取り出し、キーカンバーに近づいていった。
「ごめんね、ミレア」
「んん……、いいよー」
キーカンバーは自分の身体を拭くミレアに鼻息をかけた。それにしても仕種が可愛い過ぎる。あたし達も近づき、あたしとキャルも同じようにキーカンバーの身体を拭いた。
「ありがとね。お姉ちゃん達……」
あたしとキャルは微笑みながら「いいのよ」と答えた。
「敵意はなさそうだな」
パラガスは腰に手を置きながらキーカンバーを見つめていた。
「想像してたのと違って、なんか拍子抜けだぜ。お前、何回目の転生なんだ?」
「キミ、可愛いね、ボクはアストだ。よろしく」
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「んん……、この子は何回目だったかな?転生じゃなく憑依だから、でもこの子の事は好き」
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「この子の事は好きって?」
「この子の魂はまだここに居るの」
キーカンバーの疑問にミレアは胸に手を置きながら答えた。そう、本来なら魂の無くなった身体はミレアが憑依し、寿命尽きるまでミレアが大事に使う。けど何故か今のミレアの身体の本来の持ち主は、今も存在している。今までミレア自身もこのような経験がなくどうする事もなく、一緒にいる。だからずっと一緒にいる身体にこの子といつも呼んでいる。
「それよりキーカンバー」
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「貴方、那賀先生……、那賀龍神について何か知っているの?」
「そうだよ!ボク達の目的は那賀先生の事をキミに聞きに来たんだ!」
ミレアとアストがキーカンバーに会いに来た理由を告げると、あたしやキャル達も頷いた。
「那賀?那賀って……?ああ!思い出した!」
キーカンバーは少し考えてからすぐに那賀先生の事を思い出した。
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