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第一章【それぞれの冒険】
past6❲闇龍キーカンバー❳
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波の音がその場の静寂を更に引き立てる。暗闇の中の海の上で私、アースフィールの上で那賀龍神は五つの頭を持つ龍、バラクーヌと、暗闇一面に広がる象龍キーカンバーと対峙していた。
夜空一面に広がる象のような鼻を持つ顔だけのキーカンバーは幻影であり、本体は東の陸地に居るのだが、実際に会ってはいないのでキーカンバーの実際の容姿、体長体格までは解らない。
「では何故に貴様は邪悪なる三頭龍と契約しているのか教えてもらおうか?」
那賀龍神の正面に居る海龍バラクーヌの一頭が口火を切る。
「まあ待つがよい。海龍よ」
止めたのはキーカンバーだった。バラクーヌの五つの頭が夜空を見上げるが、暗闇の中にはキーカンバーの顔はなかった。
「いつの間に?」
声を出したのは私の相棒、那賀龍神である。
「もはや威嚇する必要はあるまい。無論、これは幻影だが、この姿と体長は我輩の本来の姿である」
私と那賀龍神の前に空中に浮く龍がいきなり現れたのだ。
「丸っきり象だな……」
那賀龍神の呟きに私は無言で納得した。全身黒く体長五十メートル、長い象の鼻、天に向けられた黒光りの牙ふたつ、垂れ下がった耳ふたつ。龍の面影は顔から背中を通し長い尾。後は巨大過ぎる象にしか見えない。
「那賀龍神、貴様の存在はアランミューア大陸のみならず、龍地球を代表する者達にも知れている」
キーカンバーが那賀龍神の全身を見据える。
「へぇ、俺ってそんなに有名過ぎるのか?」
「能力の認識はともかく、貴様の存在は我輩ら十三龍のみならず、混沌と破壊を求む異形の勢力らにも認識している。さあ準備はできた。那賀龍神よ、我輩と海龍の前で貴様と三頭龍の事を話すがよい。願わくば貴様が十の龍の害にならない事を……」
闇龍キーカンバーが本題を求めると、那賀龍神はひとつため息を吐き口を開いた。
私と那賀龍神が出会う前の出来事。それは十年以上の付き合いの私にも那賀龍神は決して話さなかった。正直、私も二頭の龍と同じように興味があった。
キーカンバーの台詞を借りれば、私も願わくば那賀龍神が私にとり害にならない事を…………、祈って。
夜空一面に広がる象のような鼻を持つ顔だけのキーカンバーは幻影であり、本体は東の陸地に居るのだが、実際に会ってはいないのでキーカンバーの実際の容姿、体長体格までは解らない。
「では何故に貴様は邪悪なる三頭龍と契約しているのか教えてもらおうか?」
那賀龍神の正面に居る海龍バラクーヌの一頭が口火を切る。
「まあ待つがよい。海龍よ」
止めたのはキーカンバーだった。バラクーヌの五つの頭が夜空を見上げるが、暗闇の中にはキーカンバーの顔はなかった。
「いつの間に?」
声を出したのは私の相棒、那賀龍神である。
「もはや威嚇する必要はあるまい。無論、これは幻影だが、この姿と体長は我輩の本来の姿である」
私と那賀龍神の前に空中に浮く龍がいきなり現れたのだ。
「丸っきり象だな……」
那賀龍神の呟きに私は無言で納得した。全身黒く体長五十メートル、長い象の鼻、天に向けられた黒光りの牙ふたつ、垂れ下がった耳ふたつ。龍の面影は顔から背中を通し長い尾。後は巨大過ぎる象にしか見えない。
「那賀龍神、貴様の存在はアランミューア大陸のみならず、龍地球を代表する者達にも知れている」
キーカンバーが那賀龍神の全身を見据える。
「へぇ、俺ってそんなに有名過ぎるのか?」
「能力の認識はともかく、貴様の存在は我輩ら十三龍のみならず、混沌と破壊を求む異形の勢力らにも認識している。さあ準備はできた。那賀龍神よ、我輩と海龍の前で貴様と三頭龍の事を話すがよい。願わくば貴様が十の龍の害にならない事を……」
闇龍キーカンバーが本題を求めると、那賀龍神はひとつため息を吐き口を開いた。
私と那賀龍神が出会う前の出来事。それは十年以上の付き合いの私にも那賀龍神は決して話さなかった。正直、私も二頭の龍と同じように興味があった。
キーカンバーの台詞を借りれば、私も願わくば那賀龍神が私にとり害にならない事を…………、祈って。
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