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第一章【それぞれの冒険】
past7❲そして龍を宿して❳
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那賀龍神は自身の過去を話し終え、十龍である海龍バラクーヌと、闇龍キーカンバーは言葉を失っていた。
「あの時、海底で感じた脅威のような物は貴様だったのか?那賀龍神……」
海龍バラクーヌが私、不死鳥モデルのアースフィールの上に居る那賀龍神に言った。
「最近ではこのポンコツに制限されてるから、エンディアとコーライトに会うのは久し振りだけどな」
那賀龍神は嫌味混じりに答え、何故か私の頭部を叩いた。
「死に際のコーライトはまだ健在なのだな?」
闇龍キーカンバーが那賀龍神に質問する。もっとも目の前のキーカンバーは幻影であり、本体は東の陸地に居るのだが……
「見ての通り、このようにピンピンしてる」
龍人変化をしている那賀龍神は左胸の龍を見ながら答える。
「十年以上が経過しているが、他の十龍には会ったのか?」
「ああ、会ったな」
「何もなかったのか?」
キーカンバーとバラクーヌに質問責めに合う那賀龍神は、少しだけ嫌な顔を見せた。
「また一から話すのか?めんどくせぇ……」
那賀龍神がそう答えると、バラクーヌもキーカンバーも沈黙した。
「那賀龍神よ。貴様に頼みがある」
バラクーヌが突然、話題を変え、空中で制止する私の上の那賀龍神に懇願する。
「なんだよ?」
「我と契約してくれないか?」
「なんですって!?」
バラクーヌの提案に声を出したのは私だった。一瞬、人工知能回路がバグり、対処に戸惑ったのだ。これが人間で言う驚愕……、ショックと言う感情なのだろう……
「我もあと一年から三年の寿命を迎える。正直、コーライトの言っていた、死の激痛にはもう味わいたくないのだ。どうか那賀龍神よ……」
「いいぜ……」
バラクーヌの望みを最後まで聞かずに、那賀龍神は即了承した。
「龍神さま!?」
「ポンコツ、お前には死の痛みが解らないのかも知れないが、何千何万年も死の激痛をいつも味わうなんて考えただけで、恐ろしいんだ」
那賀龍神はそう話し、バラクーヌに近づくように私に合図を送った。
「俺はゼルゼとコーライトとエンディアに救われた。コイツらに会わなかったら俺は、すでに死んでいた。だから他の十龍にも会って、死の激痛をなんとかしてやりたい」
「…………解りました。ですが、何度も言いますが、貴方さまが暴走した時は…………」
「解ってる。その時は俺を殺せ。その為にお前がいる……、相棒……」
その一言に私は私の存在を、認識した。WEGSはストライダーの親であり、兄弟であり、友であり…………、死刑執行者であるのだから…………
そして那賀龍神はバラクーヌに向かって言葉を放つ。
「俺は那賀龍神!お前の名は?名乗りて俺と契約しろ!俺の命尽きても契約は続く!」
「我は海龍バラクーヌ!海と方角を支配する龍!貴様の血となり、肉となる。我を扱え!」
夜空は一瞬だけ光り、バラクーヌは那賀龍神の中へと消えた。
「キーカンバー、アンタはどうする?」
「少しだけ考えさせてくれまいか?どうやら那賀龍神、貴様は信用できそうだ。どのみち本体はここではないしな」
キーカンバーの台詞の間、那賀龍神はいつもの人間の姿に戻った。
「我輩はあの大陸のサーカッシュの洞窟にいる。いつでも来るがよい。返事はその時にでも……」
そうキーカンバーは答えて消えた。
夜の海の上には私と那賀龍神だけが残っていた。
海の上には巨大過ぎる物体がある。
「さあ、任務も果たしたし、変えるか」
「龍神さま……、まだ任務を終えてませんよ?」
「…………さあ、四月から俺、小学校の教師になるから、これから忙しくなるしな」
「ちょっと、アレどうするんですか?」
何故か惚ける那賀龍神に私は全力で抗議する。
「…………らん」「はあ?なんか言いましたか?だからあのシーフロッグの死体の処分をどうするかって聞いているんです!?」
「だから知らん!見えない!聞こえない!だから黙って…………逃げるぞっ!!」
那賀龍神は私の頭部を小突きながら急かす。私の全身は数秒間だけ沈黙し、そしてすぐに正常に戻る。なんだ?感情がない私に沸き上がる物は?と思考する前に発言した。
「そんな事出きるか!!このままにしとけるか!教師になる人の台詞かー!!」
私はついに那賀龍神に対し、ブチキレた。
那賀龍神は私の態度に怒りだし、暴れるが私も那賀龍神に対し反撃を始めた。
それは初めて相棒との喧嘩だったが、何故か那賀龍神と私の距離感と言うか、信頼と言うか、私の人工知能回路は清々しいという感情が芽生えた。
To be continued.………past8
「あの時、海底で感じた脅威のような物は貴様だったのか?那賀龍神……」
海龍バラクーヌが私、不死鳥モデルのアースフィールの上に居る那賀龍神に言った。
「最近ではこのポンコツに制限されてるから、エンディアとコーライトに会うのは久し振りだけどな」
那賀龍神は嫌味混じりに答え、何故か私の頭部を叩いた。
「死に際のコーライトはまだ健在なのだな?」
闇龍キーカンバーが那賀龍神に質問する。もっとも目の前のキーカンバーは幻影であり、本体は東の陸地に居るのだが……
「見ての通り、このようにピンピンしてる」
龍人変化をしている那賀龍神は左胸の龍を見ながら答える。
「十年以上が経過しているが、他の十龍には会ったのか?」
「ああ、会ったな」
「何もなかったのか?」
キーカンバーとバラクーヌに質問責めに合う那賀龍神は、少しだけ嫌な顔を見せた。
「また一から話すのか?めんどくせぇ……」
那賀龍神がそう答えると、バラクーヌもキーカンバーも沈黙した。
「那賀龍神よ。貴様に頼みがある」
バラクーヌが突然、話題を変え、空中で制止する私の上の那賀龍神に懇願する。
「なんだよ?」
「我と契約してくれないか?」
「なんですって!?」
バラクーヌの提案に声を出したのは私だった。一瞬、人工知能回路がバグり、対処に戸惑ったのだ。これが人間で言う驚愕……、ショックと言う感情なのだろう……
「我もあと一年から三年の寿命を迎える。正直、コーライトの言っていた、死の激痛にはもう味わいたくないのだ。どうか那賀龍神よ……」
「いいぜ……」
バラクーヌの望みを最後まで聞かずに、那賀龍神は即了承した。
「龍神さま!?」
「ポンコツ、お前には死の痛みが解らないのかも知れないが、何千何万年も死の激痛をいつも味わうなんて考えただけで、恐ろしいんだ」
那賀龍神はそう話し、バラクーヌに近づくように私に合図を送った。
「俺はゼルゼとコーライトとエンディアに救われた。コイツらに会わなかったら俺は、すでに死んでいた。だから他の十龍にも会って、死の激痛をなんとかしてやりたい」
「…………解りました。ですが、何度も言いますが、貴方さまが暴走した時は…………」
「解ってる。その時は俺を殺せ。その為にお前がいる……、相棒……」
その一言に私は私の存在を、認識した。WEGSはストライダーの親であり、兄弟であり、友であり…………、死刑執行者であるのだから…………
そして那賀龍神はバラクーヌに向かって言葉を放つ。
「俺は那賀龍神!お前の名は?名乗りて俺と契約しろ!俺の命尽きても契約は続く!」
「我は海龍バラクーヌ!海と方角を支配する龍!貴様の血となり、肉となる。我を扱え!」
夜空は一瞬だけ光り、バラクーヌは那賀龍神の中へと消えた。
「キーカンバー、アンタはどうする?」
「少しだけ考えさせてくれまいか?どうやら那賀龍神、貴様は信用できそうだ。どのみち本体はここではないしな」
キーカンバーの台詞の間、那賀龍神はいつもの人間の姿に戻った。
「我輩はあの大陸のサーカッシュの洞窟にいる。いつでも来るがよい。返事はその時にでも……」
そうキーカンバーは答えて消えた。
夜の海の上には私と那賀龍神だけが残っていた。
海の上には巨大過ぎる物体がある。
「さあ、任務も果たしたし、変えるか」
「龍神さま……、まだ任務を終えてませんよ?」
「…………さあ、四月から俺、小学校の教師になるから、これから忙しくなるしな」
「ちょっと、アレどうするんですか?」
何故か惚ける那賀龍神に私は全力で抗議する。
「…………らん」「はあ?なんか言いましたか?だからあのシーフロッグの死体の処分をどうするかって聞いているんです!?」
「だから知らん!見えない!聞こえない!だから黙って…………逃げるぞっ!!」
那賀龍神は私の頭部を小突きながら急かす。私の全身は数秒間だけ沈黙し、そしてすぐに正常に戻る。なんだ?感情がない私に沸き上がる物は?と思考する前に発言した。
「そんな事出きるか!!このままにしとけるか!教師になる人の台詞かー!!」
私はついに那賀龍神に対し、ブチキレた。
那賀龍神は私の態度に怒りだし、暴れるが私も那賀龍神に対し反撃を始めた。
それは初めて相棒との喧嘩だったが、何故か那賀龍神と私の距離感と言うか、信頼と言うか、私の人工知能回路は清々しいという感情が芽生えた。
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