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第一章【それぞれの冒険】
case9❲新たなる冒険へ……❳
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わたし達はアールド王国へと戻っていた。
わたしはキャル・ディザー。この王国産まれの十六歳の頭のリボンがチャームポイントの神官女子です。
闇龍キーカンバーの長い話しは、サーカッシュの洞窟で話してたんだけど、やはり生まれたての赤ちゃん象……、じゃなく赤ちゃん龍にも私達にも危険だと判断し、アールド王国のお城へと帰還して、そこでルイ国王、つまりおじいちゃまや、セレケ男爵とレティス宮廷魔術師を加え、キーカンバーの話しを広間で聞いたんだ。
「那賀龍神……、お前達六人の小学校時代の恩師……」
おじいちゃまはキーカンバーの話しの後、わたし達を見つめながら呟く。おじいちゃまと那賀先生は面識があり、その縁でわたし達六人は那賀先生の居る小学校に留学という形で在籍していたんだ。
「まだ、那賀龍神が死んだなど信じれないがな……」
おじいちゃまの一言にわたし達六人は表情を曇らせた。
「んん……、じじ、那賀先生は、生きている」
ミレアがおじいちゃまの発言に、ムッスリしながら否定した。
「ボクも那賀先生が死んだなんて思ってないよ」
アストもムキになりながら言うと、わたしもエリアもピットもパラガスも賛同する。
「だから信じられないと言っておろうが……」
おじいちゃまの慌てぶりにわたし達は、ちょっと笑っちゃった。
「あー、そうだ!ぼくねぇみんなに大事な事を言わないといけなかったー!」
キーカンバーが突然、叫ぶからこの場のみんなが驚きの表情を見せ、キーカンバーに注目する。
「那賀龍神に二回目に会った時、弥生ってお姉ちゃんに頼まれたんだけど……」
「「「「「弥生先生!?」」」」」
余りにも衝撃的な名前にわたし達は声を大にして驚いた。まさか、キーカンバーから弥生先生の名前が出るなんて……
「十年後、ミレアをトムクス王国に連れて来てほしいって。だからぼくは二十年早く転生したんだよ」
キーカンバーはミレアに向かって答えると、ゆっくり腰を降ろした。
ミレアは黙ったままキーカンバーを見ていた。
「ミレアちゃん、何か解る?」
パラガスが質問すると、ミレアはただ、首を傾げた。
「面白そう!ボクは行くぞ!トムクス王国に!」
アストが目を輝かせながら宣言する。やっぱりアストって単細胞だね。
「しゃあねぇ、オイも行くか」
「クソカス、アンタは別に行かなくてもいいのよ」
「ああ~ん!ブスねぇ……、ぐぎゃっ!」
ピットがまたエリアに顔面膝飛び蹴りをくらい、床で悶絶している。
この人達、行く気満々だね。わたしはパスだけどね。わたしのモットーは危険は避けるべし。
「どうせ、止めても行くのだろう?」
おじいちゃまがため息を吐きながら諦める。わたしは行かないから安心して、おじいちゃま。
「解った。お前達六人の旅の費用は用意する」
ちょっと!何、おじいちゃま六人って言ってんのよ!?わたしは怒りながら文句を言ようとすると……
「キャルちゃん大丈夫!ミーがキャルちゃん守るから!」
黙って!パラガスの女タラシ!
「パラガスー!何、ボクのキャルを口説いてんだ!ボクのキャルはボクが守る!」
黙れ!バカアスト!わたしの顔色は赤く怒りに爆発寸前だった。
「キャル、どうしたの?」
エリアがわたしの異変に気づいてくれると、ミレアもわたしを心配してくれた。流石、大親友!
「ミレアにエリアよ。キャルを道中、守ってやっておくれ」
「大丈夫!じいちゃん!ボクのキャルはボクが守るから!」
そのおじいちゃまの、いえ、クソジジイの一言と、バカアストの何処から来るのか解らない自信に満ちた発言に、わたしの中で何かがプッツンと切れた。
「黙れ!バカアストとクソジジイ!わたしは行きたくない!どうしてこうなるの!?わたしは静かに暮らしたいだけなのにーーー!」
わたしは号泣しながら、アストの顔面をこの上のないパンチを浴びせた。アストは何回転もしながら宙を舞い、壁に激突して気絶した。
今度はトムクス王国への冒険。わたしは何度も号泣しながらも仕方なく、仕方な~く旅の仕度をし、出発の朝を迎えた。
冒険にはいつもの幼馴染み六人。エリアとミレアの二人の親友と、パラガスとピットのバカ二人。
そして、大バカで頼りなくて、ヘンテコな歌を歌うお調子者で………
わ……、わたしにベタ惚れしてくれる変わり者(照)
「キャル~!早く行こうよ!」
この変わり者はいつも変わらず、わたしを大切にしてくれる。
「もう、急がないでよ!アストー!」
大切にしてくれるから、わたしも好きでいられる。
わたしも大バカで変わり者だね!
急かすアストを見て、わたしは自然に屈託のない笑顔になり、アストは顔を赤くした。
To be continued. case10
わたしはキャル・ディザー。この王国産まれの十六歳の頭のリボンがチャームポイントの神官女子です。
闇龍キーカンバーの長い話しは、サーカッシュの洞窟で話してたんだけど、やはり生まれたての赤ちゃん象……、じゃなく赤ちゃん龍にも私達にも危険だと判断し、アールド王国のお城へと帰還して、そこでルイ国王、つまりおじいちゃまや、セレケ男爵とレティス宮廷魔術師を加え、キーカンバーの話しを広間で聞いたんだ。
「那賀龍神……、お前達六人の小学校時代の恩師……」
おじいちゃまはキーカンバーの話しの後、わたし達を見つめながら呟く。おじいちゃまと那賀先生は面識があり、その縁でわたし達六人は那賀先生の居る小学校に留学という形で在籍していたんだ。
「まだ、那賀龍神が死んだなど信じれないがな……」
おじいちゃまの一言にわたし達六人は表情を曇らせた。
「んん……、じじ、那賀先生は、生きている」
ミレアがおじいちゃまの発言に、ムッスリしながら否定した。
「ボクも那賀先生が死んだなんて思ってないよ」
アストもムキになりながら言うと、わたしもエリアもピットもパラガスも賛同する。
「だから信じられないと言っておろうが……」
おじいちゃまの慌てぶりにわたし達は、ちょっと笑っちゃった。
「あー、そうだ!ぼくねぇみんなに大事な事を言わないといけなかったー!」
キーカンバーが突然、叫ぶからこの場のみんなが驚きの表情を見せ、キーカンバーに注目する。
「那賀龍神に二回目に会った時、弥生ってお姉ちゃんに頼まれたんだけど……」
「「「「「弥生先生!?」」」」」
余りにも衝撃的な名前にわたし達は声を大にして驚いた。まさか、キーカンバーから弥生先生の名前が出るなんて……
「十年後、ミレアをトムクス王国に連れて来てほしいって。だからぼくは二十年早く転生したんだよ」
キーカンバーはミレアに向かって答えると、ゆっくり腰を降ろした。
ミレアは黙ったままキーカンバーを見ていた。
「ミレアちゃん、何か解る?」
パラガスが質問すると、ミレアはただ、首を傾げた。
「面白そう!ボクは行くぞ!トムクス王国に!」
アストが目を輝かせながら宣言する。やっぱりアストって単細胞だね。
「しゃあねぇ、オイも行くか」
「クソカス、アンタは別に行かなくてもいいのよ」
「ああ~ん!ブスねぇ……、ぐぎゃっ!」
ピットがまたエリアに顔面膝飛び蹴りをくらい、床で悶絶している。
この人達、行く気満々だね。わたしはパスだけどね。わたしのモットーは危険は避けるべし。
「どうせ、止めても行くのだろう?」
おじいちゃまがため息を吐きながら諦める。わたしは行かないから安心して、おじいちゃま。
「解った。お前達六人の旅の費用は用意する」
ちょっと!何、おじいちゃま六人って言ってんのよ!?わたしは怒りながら文句を言ようとすると……
「キャルちゃん大丈夫!ミーがキャルちゃん守るから!」
黙って!パラガスの女タラシ!
「パラガスー!何、ボクのキャルを口説いてんだ!ボクのキャルはボクが守る!」
黙れ!バカアスト!わたしの顔色は赤く怒りに爆発寸前だった。
「キャル、どうしたの?」
エリアがわたしの異変に気づいてくれると、ミレアもわたしを心配してくれた。流石、大親友!
「ミレアにエリアよ。キャルを道中、守ってやっておくれ」
「大丈夫!じいちゃん!ボクのキャルはボクが守るから!」
そのおじいちゃまの、いえ、クソジジイの一言と、バカアストの何処から来るのか解らない自信に満ちた発言に、わたしの中で何かがプッツンと切れた。
「黙れ!バカアストとクソジジイ!わたしは行きたくない!どうしてこうなるの!?わたしは静かに暮らしたいだけなのにーーー!」
わたしは号泣しながら、アストの顔面をこの上のないパンチを浴びせた。アストは何回転もしながら宙を舞い、壁に激突して気絶した。
今度はトムクス王国への冒険。わたしは何度も号泣しながらも仕方なく、仕方な~く旅の仕度をし、出発の朝を迎えた。
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そして、大バカで頼りなくて、ヘンテコな歌を歌うお調子者で………
わ……、わたしにベタ惚れしてくれる変わり者(照)
「キャル~!早く行こうよ!」
この変わり者はいつも変わらず、わたしを大切にしてくれる。
「もう、急がないでよ!アストー!」
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