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第40話:初めての炉、響く槌音と未来の鉄
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吐く息が白くなり始めた初冬の朝、アキオたちの村は新たな熱気に包まれていた。ドワーフの老鍛冶師ドルガンの指揮のもと、待望の製鉄炉の建設が本格的に始動したのだ。村の中央広場の一角、ドルガンが選定した場所に、村人たちの手で次々と資材が運び込まれていく。
「そこの若い衆、粘土の練り方が足りとらん! もっと腰を入れんか!」「アキオの小僧、耐火レンガの積み方はそれでいいが、目地にもっとあの特殊な泥を詰め込まんと、熱が逃げるぞ!」
ドルガンの雷のような声が響き渡る。しかし、その厳しさの中には確かな技術と、鉄を生み出すことへの純粋な情熱が感じられ、村人たちも自然と力が入る。アキオも、ドルガンの指示に従いながら、自らレンガを積み、炉の基礎を固めていく。彼が触れたレンガや組み上げた石積みが、心なしか通常よりも頑丈に、そして精密に仕上がっていくのを、ドルガンは横目で見ながら(こいつの手際は、ただの素人ではないな…)と内心で評価していた。
「アキオ、ドルガン殿。この地域の赤松から作った炭は、普通の木炭よりも高い火力を長時間維持できることが分かった。炉の燃料として、これを使ってみてはどうだろうか」
シルヴィアが、数種類の木炭の燃焼実験の結果をまとめた羊皮紙を手に、二人に提案する。その瞳には、アキオの新たな挑戦を支える妻としての自信と、森の賢者としての知恵が宿っていた。「奥方様」として、彼女は村の生活をより良くするための知識を惜しみなく提供していた。
「ほう、エルフの奥方の知恵か。確かに、燃料の質は鉄の出来を左右する。試してみる価値はありそうじゃな」
ドルガンも、シルヴィアの的確な助言に頷く。
炉の建設には、村の総力が挙げられていた。キナたち獣人は、その持ち前の馬力を活かして重い石材や大量の粘土を運び、アルトはドルガンの下で熱心に指示を聞き、鍛冶師としての第一歩を踏み出そうと目を輝かせている。レオノーラは、不測の事態に備えて周囲の警戒を怠らず、セレスティーナは子供たちを集めて、この新しい炉がもたらす未来について優しく語り聞かせていた。
アヤネは、サツマイモと木の実の粉で作った温かい粥を大きな鍋で炊き出し、作業に励む村人たちに配って回る。「皆さん、お昼休憩にしましょう。これを食べて、午後も頑張ってくださいね」その手際の良さと心遣いは、十五歳の成人として、既に村の母親役のような存在感を放っていた。彼女の隣では、ミコとユメが小さな桶で水を運び、懸命に手伝っている。
数日が経過し、ドルガンの指示とアキオたちの努力によって、赤黒い耐火レンガと特殊な粘土で組み上げられた、ずんぐりとした円筒形の炉がその姿を現し始めた。それはまだ完成形ではないが、村で初めての「製鉄炉」と呼ぶにふさわしい威容を放っていた。
「よし、今日はここまでじゃ! 明日は、この炉に初めて火を入れるぞ。ふいごの準備はいいな、アルト!」
ドルガンが満足げに声を上げると、アルトが「はい、師匠! いつでも!」と力強く答えた。
その夜、アキオはシルヴィアと共に、月明かりに照らされる建設途中の炉を眺めていた。
「本当に、ここまで来られるとは思わなかったな」アキオがしみじみと呟く。
「お前と、そして皆の力だ。それに…ドルガン殿のような新たな仲間との出会いも大きい」シルヴィアがアキオの腕にそっと寄り添う。「この炉が、私たちの村にさらなる力と、安心をもたらしてくれると信じている」
「ああ。鉄があれば、農具も、武器も、もっと良いものが作れる。皆の生活を守る力になるはずだ」
アキオは、冷たい夜気の中で、隣にいるシルヴィアの温もりと、村人たちの期待を胸に、明日への決意を新たにする。まだ見ぬ鉄の輝きを夢見て、村の心は一つに燃えていた。
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「そこの若い衆、粘土の練り方が足りとらん! もっと腰を入れんか!」「アキオの小僧、耐火レンガの積み方はそれでいいが、目地にもっとあの特殊な泥を詰め込まんと、熱が逃げるぞ!」
ドルガンの雷のような声が響き渡る。しかし、その厳しさの中には確かな技術と、鉄を生み出すことへの純粋な情熱が感じられ、村人たちも自然と力が入る。アキオも、ドルガンの指示に従いながら、自らレンガを積み、炉の基礎を固めていく。彼が触れたレンガや組み上げた石積みが、心なしか通常よりも頑丈に、そして精密に仕上がっていくのを、ドルガンは横目で見ながら(こいつの手際は、ただの素人ではないな…)と内心で評価していた。
「アキオ、ドルガン殿。この地域の赤松から作った炭は、普通の木炭よりも高い火力を長時間維持できることが分かった。炉の燃料として、これを使ってみてはどうだろうか」
シルヴィアが、数種類の木炭の燃焼実験の結果をまとめた羊皮紙を手に、二人に提案する。その瞳には、アキオの新たな挑戦を支える妻としての自信と、森の賢者としての知恵が宿っていた。「奥方様」として、彼女は村の生活をより良くするための知識を惜しみなく提供していた。
「ほう、エルフの奥方の知恵か。確かに、燃料の質は鉄の出来を左右する。試してみる価値はありそうじゃな」
ドルガンも、シルヴィアの的確な助言に頷く。
炉の建設には、村の総力が挙げられていた。キナたち獣人は、その持ち前の馬力を活かして重い石材や大量の粘土を運び、アルトはドルガンの下で熱心に指示を聞き、鍛冶師としての第一歩を踏み出そうと目を輝かせている。レオノーラは、不測の事態に備えて周囲の警戒を怠らず、セレスティーナは子供たちを集めて、この新しい炉がもたらす未来について優しく語り聞かせていた。
アヤネは、サツマイモと木の実の粉で作った温かい粥を大きな鍋で炊き出し、作業に励む村人たちに配って回る。「皆さん、お昼休憩にしましょう。これを食べて、午後も頑張ってくださいね」その手際の良さと心遣いは、十五歳の成人として、既に村の母親役のような存在感を放っていた。彼女の隣では、ミコとユメが小さな桶で水を運び、懸命に手伝っている。
数日が経過し、ドルガンの指示とアキオたちの努力によって、赤黒い耐火レンガと特殊な粘土で組み上げられた、ずんぐりとした円筒形の炉がその姿を現し始めた。それはまだ完成形ではないが、村で初めての「製鉄炉」と呼ぶにふさわしい威容を放っていた。
「よし、今日はここまでじゃ! 明日は、この炉に初めて火を入れるぞ。ふいごの準備はいいな、アルト!」
ドルガンが満足げに声を上げると、アルトが「はい、師匠! いつでも!」と力強く答えた。
その夜、アキオはシルヴィアと共に、月明かりに照らされる建設途中の炉を眺めていた。
「本当に、ここまで来られるとは思わなかったな」アキオがしみじみと呟く。
「お前と、そして皆の力だ。それに…ドルガン殿のような新たな仲間との出会いも大きい」シルヴィアがアキオの腕にそっと寄り添う。「この炉が、私たちの村にさらなる力と、安心をもたらしてくれると信じている」
「ああ。鉄があれば、農具も、武器も、もっと良いものが作れる。皆の生活を守る力になるはずだ」
アキオは、冷たい夜気の中で、隣にいるシルヴィアの温もりと、村人たちの期待を胸に、明日への決意を新たにする。まだ見ぬ鉄の輝きを夢見て、村の心は一つに燃えていた。
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