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第54話:湯上がりの発明会議、知恵と工夫の新たな形
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「生命の湯」が村に開かれてから数日、アキオたちの町には湯上がりの村人たちの満ち足りた笑顔が溢れていた。アキオ自身も、自ら設計に携わった銀月木の貸切風呂に浸かり、日々の疲れを癒やすのが何よりの楽しみとなっていた。白濁した柔らかな湯が身体の芯まで温め、故郷の記憶を呼び覚ます。
(いい湯だ…本当に、最高のものができた。だが…)
湯船で心地よさに目を細めながら、アキオの頭には新たなアイデアが次々と浮かんでいた。もっと快適に、もっと衛生的に、この素晴らしい恵みを活かせないだろうか。
その日の午後、アキオは中央館の一室に、シルヴィア、ドルガン、アヤネ、キナ、そして弟子のアルトを招集した。「第一回生活改善提案会議」と銘打たれたその集まりで、アキオは湯上がりの火照りも冷めやらぬ情熱をもって切り出した。
「皆、湯小屋は楽しんでくれているか? 今日は、あれをさらに良くするための相談があるんだ」
「まずはシャワーなんだが…」アキオが説明する。「高いところから湯を落として、身体を手軽に洗い流せる仕組みだ。源泉から直接引くのは大がかりだから、まずは各洗い場に木のタンクを置いて、そこから湯を出す簡単なものから試してみたい」
「ふむ、シャワーとな。面白い。タンクの保温と、湯を止めたり出したりする栓(コック)の構造が肝じゃな。それなら、いくつか試作してみる価値はあるわい」ドルガンが、職人の目で頷く。
「次に水着だ」アキオが続けると、特にキナが身を乗り出した。「肌の露出を抑えつつ、水中で動きやすい特別な服のことだ。これがあれば、例えば特別な日には、男女一緒に大浴場に入ることもできるかもしれない」
「へえ、水着! そりゃあいいや、だんな! あたし、だんなと一緒に広いお風呂に入りたいもんね!」キナが目を輝かせる。
「こらキナ、アキオ様はそういう意味だけでおっしゃっているのではないでしょう」アヤネが窘めるが、彼女自身もそのアイデアには興味津々だ。
「問題は素材だな。濡れても重くならない布地が必要だ。俺の故郷では『綿』という植物の繊維がよく使われていたんだが…」
シルヴィアが静かに答える。「この森にも、よく似た白い繊維が採れる『白雪草(しらゆきそう)』という草がありますわ 。ですが、今の織り方では少し水を含むと重くなるかもしれません」
「糸の撚(よ)り方や織り方を変えるだけで、布の性質は大きく変わるはずだ」アキオが説明する。「試してみる価値はある」
「はい、アキオ様。白雪草で水に強い布が織れるか、試作してみますわ」アヤネが真剣な表情で頷いた。
「そして、もう一つ」アキオが声を潜める。「ゴムのような、よく伸び縮みして、水を通しにくい素材があれば、色々と便利になると思うんだ」
「その『ゴム』とやらは、水を通さんのか?」ドルガンが尋ねる。
「ああ。それに、伸縮性がある」
「それならば!」ドルガンがポンと膝を打った。「シャワーのコックの密閉部分や、湯船の排水栓に使えるかもしれんな! 今は木の栓をきっちり嵌めておるが、もっと扱いやすい栓ができれば、湯の管理も楽になるじゃろう!」
シルヴィアも思い当たることがあったようだ。「森の奥に、『樹液ゴムの木』と呼ばれるものがありますわ。その樹液を煮詰めれば、粘り気のある塊になるはず。完全なゴムになるかは分かりませんが…」
一つのひらめきが、次々と知恵を呼び、具体的な形を見せていく。会議が終わる頃には、そこにいた全員の顔が、村の未来をさらに豊かにする新たな挑戦への期待で輝いていた。
(いい湯だ…本当に、最高のものができた。だが…)
湯船で心地よさに目を細めながら、アキオの頭には新たなアイデアが次々と浮かんでいた。もっと快適に、もっと衛生的に、この素晴らしい恵みを活かせないだろうか。
その日の午後、アキオは中央館の一室に、シルヴィア、ドルガン、アヤネ、キナ、そして弟子のアルトを招集した。「第一回生活改善提案会議」と銘打たれたその集まりで、アキオは湯上がりの火照りも冷めやらぬ情熱をもって切り出した。
「皆、湯小屋は楽しんでくれているか? 今日は、あれをさらに良くするための相談があるんだ」
「まずはシャワーなんだが…」アキオが説明する。「高いところから湯を落として、身体を手軽に洗い流せる仕組みだ。源泉から直接引くのは大がかりだから、まずは各洗い場に木のタンクを置いて、そこから湯を出す簡単なものから試してみたい」
「ふむ、シャワーとな。面白い。タンクの保温と、湯を止めたり出したりする栓(コック)の構造が肝じゃな。それなら、いくつか試作してみる価値はあるわい」ドルガンが、職人の目で頷く。
「次に水着だ」アキオが続けると、特にキナが身を乗り出した。「肌の露出を抑えつつ、水中で動きやすい特別な服のことだ。これがあれば、例えば特別な日には、男女一緒に大浴場に入ることもできるかもしれない」
「へえ、水着! そりゃあいいや、だんな! あたし、だんなと一緒に広いお風呂に入りたいもんね!」キナが目を輝かせる。
「こらキナ、アキオ様はそういう意味だけでおっしゃっているのではないでしょう」アヤネが窘めるが、彼女自身もそのアイデアには興味津々だ。
「問題は素材だな。濡れても重くならない布地が必要だ。俺の故郷では『綿』という植物の繊維がよく使われていたんだが…」
シルヴィアが静かに答える。「この森にも、よく似た白い繊維が採れる『白雪草(しらゆきそう)』という草がありますわ 。ですが、今の織り方では少し水を含むと重くなるかもしれません」
「糸の撚(よ)り方や織り方を変えるだけで、布の性質は大きく変わるはずだ」アキオが説明する。「試してみる価値はある」
「はい、アキオ様。白雪草で水に強い布が織れるか、試作してみますわ」アヤネが真剣な表情で頷いた。
「そして、もう一つ」アキオが声を潜める。「ゴムのような、よく伸び縮みして、水を通しにくい素材があれば、色々と便利になると思うんだ」
「その『ゴム』とやらは、水を通さんのか?」ドルガンが尋ねる。
「ああ。それに、伸縮性がある」
「それならば!」ドルガンがポンと膝を打った。「シャワーのコックの密閉部分や、湯船の排水栓に使えるかもしれんな! 今は木の栓をきっちり嵌めておるが、もっと扱いやすい栓ができれば、湯の管理も楽になるじゃろう!」
シルヴィアも思い当たることがあったようだ。「森の奥に、『樹液ゴムの木』と呼ばれるものがありますわ。その樹液を煮詰めれば、粘り気のある塊になるはず。完全なゴムになるかは分かりませんが…」
一つのひらめきが、次々と知恵を呼び、具体的な形を見せていく。会議が終わる頃には、そこにいた全員の顔が、村の未来をさらに豊かにする新たな挑戦への期待で輝いていた。
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