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第102話:王女の微笑み、ドレスと愛の深淵
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キナとの間に新たな秘密の楽しみを見出したアキオだったが、彼の心は常に全ての妻たちへと平等に、そしてそれぞれ異なる形で注がれていた。キナと情熱的な夜を過ごした数日後、アキオは第三夫人であるセレスティーナと、彼女が産んだばかりの娘、ステラと共に、水入らずの一日を過ごすことにした。
初冬の柔らかな日差しが差し込む中央館の一室で、セレスティーナはステラを腕に抱き、優しい子守唄を口ずさんでいた。その姿は慈愛に満ち、かつての王女としての気品に、母としての穏やかさと温もりが加わり、えもいわれぬ神々しささえ漂わせている。アキオは、そんなセレスティーナの横顔を、言葉もなく見つめていた。ステラが小さなくしゃみをすれば心配そうに眉を寄せ、ステラがかすかに微笑めば、世界で最も美しいものを見たかのように顔を輝かせる。その一つ一つの仕草に、セレスティーナの深く豊かな愛情が溢れ出ており、アキオは彼女のその心に触れるたび、新鮮な感動と共に、ますます強く魅了されていくのを感じていた。
「アキオ様…ステラ、あなた様の指をしっかり握って…本当に、力が強いのですね」
セレスティーナが嬉しそうに言う。アキオもステラの小さな手に触れ、その確かな生命力に目を細めた。日中、三人は他愛ない会話を交わし、ステラの小さな成長を喜び合い、穏やかで満ち足りた時間を共有した。
夜になり、ステラが天使のような寝顔で眠りにつくと、部屋にはアキオとセレスティーナ、二人だけの時間が訪れた。暖炉の火が静かにはぜ、窓の外には満月が皓々と輝いている。自然と互いを求め合い、二人はいつものように情熱的な愛を交わし始めた。それは「濃厚な子作り」と呼ぶにふさわしい、互いの存在を確かめ合うような時間だった。しかし、その夜のアキオは、セレスティーナの献身的な愛撫を受けながらも、心のどこかで微かな物足りなさ、パズルの最後のピースがはまらないような、そんな感覚を覚えていた。
(セレスティーナは、いつも俺を包み込んでくれる…その愛は完璧だ。だが…何かが…)
アキオ自身にも、その「何か」が何なのか、はっきりとは分からなかった。
しばらくして、アキオはふと、ある考えに思い至った。それは、以前から彼の心の片隅にあった、セレスティーナに対する密かな願望だったのかもしれない。
「セレスティーナ…一つ、頼みがあるんだが…」
アキオが少し躊躇いがちに切り出すと、セレスティーナは優しく微笑み、彼の言葉を促した。
「はい、アキオ様。どのようなことでしょうか?」
「あの…君がエルドリアから持ってきた、あの…水色の、美しいドレスがあっただろう? …もし、迷惑でなければ、今夜、それを着てみてはくれまいか」
それは、彼女が王女だった頃に祝宴で着ていたという、優雅で気品あふれる一着だった。アキオは、初めて彼女がそのドレスを着ている姿を垣間見た時、そのあまりの美しさに息をのんだことを覚えていた。
セレスティーナは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐにその意図を察したのか、頬を微かに染めながらも、こくりと頷いた。
「…あなた様が、お望みとあらば」
セレスティーナが隣室でドレスに着替え、再びアキオの前に現れた時、アキオは言葉を失った。ランプの光に照らし出された彼女は、まさに物語から抜け出してきた誇り高き王女そのものだった。滑らかなシルクのドレスは彼女の美しい身体のラインを際立たせ、普段の質素な服装では隠されていた気品と華やかさが、溢れんばかりに香り立つ。
その姿を見た瞬間、アキオの中で何かが弾けた。先ほどまで感じていた「何か足りない」という感覚は消え失せ、代わりに、抗いがたいほどの強い衝動が彼を突き動かす。
「セレスティーナ…! なんて…なんて美しいんだ…!」
アキオは、まるで初めて恋に落ちた少年のように、彼女を強く抱きしめた。その夜の二人の愛の交歓は、アキオの言葉通り、今までで一番激しいものとなった。ドレスの絹ずれの音、熱い吐息、そして互いの名を呼び合う声だけが部屋に響く。
そして、情熱の頂点で、思いがけない変化が訪れた。それまでアキオのリードに身を委ねていたセレスティーナが、ふと、その優雅な手でアキオの肩を押し、自らが彼の身体の上に跨ったのだ。ドレスの裾が乱れ、普段は見せない大胆な姿で、彼女は燃えるような瞳でアキオを見下ろした。
「アキオ様…今宵は、わたくしにも…あなた様を喜ばせていただけますか?」
その声は、いつもの穏やかな彼女からは想像もつかないほど、挑発的で、そして甘美な響きを帯びていた。アキオは、その変貌ぶりに完全に心を奪われた。気高く美しい王女が、愛する男のために全てを曝け出し、そして自ら悦びを求め、与えようとしている。その姿は、アキオにとって抗いがたい魅力であり、征服欲と、そして逆に彼女に全てを委ねたいという倒錯した願望を同時に掻き立てた。
(ああ…俺は…セレスティーナに…「攻略」された…!)
アキオは、もはや抵抗することなく、誇り高き王女にして最愛の妻であるセレスティーナが導く、未知なる愛の深淵へと、その身も心も沈めていった。それは、彼が今まで経験したことのない、強烈な悦楽と支配、そして完全なる一体感だった。
その夜、セレスティーナは、アキオの秘めたる願望を敏感に察し、見事に応えてみせた。そして、アキオは、妻のまた一つ、深く官能的な魅力を発見し、その愛の深さに改めて打ちのめされたのだった。
初冬の柔らかな日差しが差し込む中央館の一室で、セレスティーナはステラを腕に抱き、優しい子守唄を口ずさんでいた。その姿は慈愛に満ち、かつての王女としての気品に、母としての穏やかさと温もりが加わり、えもいわれぬ神々しささえ漂わせている。アキオは、そんなセレスティーナの横顔を、言葉もなく見つめていた。ステラが小さなくしゃみをすれば心配そうに眉を寄せ、ステラがかすかに微笑めば、世界で最も美しいものを見たかのように顔を輝かせる。その一つ一つの仕草に、セレスティーナの深く豊かな愛情が溢れ出ており、アキオは彼女のその心に触れるたび、新鮮な感動と共に、ますます強く魅了されていくのを感じていた。
「アキオ様…ステラ、あなた様の指をしっかり握って…本当に、力が強いのですね」
セレスティーナが嬉しそうに言う。アキオもステラの小さな手に触れ、その確かな生命力に目を細めた。日中、三人は他愛ない会話を交わし、ステラの小さな成長を喜び合い、穏やかで満ち足りた時間を共有した。
夜になり、ステラが天使のような寝顔で眠りにつくと、部屋にはアキオとセレスティーナ、二人だけの時間が訪れた。暖炉の火が静かにはぜ、窓の外には満月が皓々と輝いている。自然と互いを求め合い、二人はいつものように情熱的な愛を交わし始めた。それは「濃厚な子作り」と呼ぶにふさわしい、互いの存在を確かめ合うような時間だった。しかし、その夜のアキオは、セレスティーナの献身的な愛撫を受けながらも、心のどこかで微かな物足りなさ、パズルの最後のピースがはまらないような、そんな感覚を覚えていた。
(セレスティーナは、いつも俺を包み込んでくれる…その愛は完璧だ。だが…何かが…)
アキオ自身にも、その「何か」が何なのか、はっきりとは分からなかった。
しばらくして、アキオはふと、ある考えに思い至った。それは、以前から彼の心の片隅にあった、セレスティーナに対する密かな願望だったのかもしれない。
「セレスティーナ…一つ、頼みがあるんだが…」
アキオが少し躊躇いがちに切り出すと、セレスティーナは優しく微笑み、彼の言葉を促した。
「はい、アキオ様。どのようなことでしょうか?」
「あの…君がエルドリアから持ってきた、あの…水色の、美しいドレスがあっただろう? …もし、迷惑でなければ、今夜、それを着てみてはくれまいか」
それは、彼女が王女だった頃に祝宴で着ていたという、優雅で気品あふれる一着だった。アキオは、初めて彼女がそのドレスを着ている姿を垣間見た時、そのあまりの美しさに息をのんだことを覚えていた。
セレスティーナは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐにその意図を察したのか、頬を微かに染めながらも、こくりと頷いた。
「…あなた様が、お望みとあらば」
セレスティーナが隣室でドレスに着替え、再びアキオの前に現れた時、アキオは言葉を失った。ランプの光に照らし出された彼女は、まさに物語から抜け出してきた誇り高き王女そのものだった。滑らかなシルクのドレスは彼女の美しい身体のラインを際立たせ、普段の質素な服装では隠されていた気品と華やかさが、溢れんばかりに香り立つ。
その姿を見た瞬間、アキオの中で何かが弾けた。先ほどまで感じていた「何か足りない」という感覚は消え失せ、代わりに、抗いがたいほどの強い衝動が彼を突き動かす。
「セレスティーナ…! なんて…なんて美しいんだ…!」
アキオは、まるで初めて恋に落ちた少年のように、彼女を強く抱きしめた。その夜の二人の愛の交歓は、アキオの言葉通り、今までで一番激しいものとなった。ドレスの絹ずれの音、熱い吐息、そして互いの名を呼び合う声だけが部屋に響く。
そして、情熱の頂点で、思いがけない変化が訪れた。それまでアキオのリードに身を委ねていたセレスティーナが、ふと、その優雅な手でアキオの肩を押し、自らが彼の身体の上に跨ったのだ。ドレスの裾が乱れ、普段は見せない大胆な姿で、彼女は燃えるような瞳でアキオを見下ろした。
「アキオ様…今宵は、わたくしにも…あなた様を喜ばせていただけますか?」
その声は、いつもの穏やかな彼女からは想像もつかないほど、挑発的で、そして甘美な響きを帯びていた。アキオは、その変貌ぶりに完全に心を奪われた。気高く美しい王女が、愛する男のために全てを曝け出し、そして自ら悦びを求め、与えようとしている。その姿は、アキオにとって抗いがたい魅力であり、征服欲と、そして逆に彼女に全てを委ねたいという倒錯した願望を同時に掻き立てた。
(ああ…俺は…セレスティーナに…「攻略」された…!)
アキオは、もはや抵抗することなく、誇り高き王女にして最愛の妻であるセレスティーナが導く、未知なる愛の深淵へと、その身も心も沈めていった。それは、彼が今まで経験したことのない、強烈な悦楽と支配、そして完全なる一体感だった。
その夜、セレスティーナは、アキオの秘めたる願望を敏感に察し、見事に応えてみせた。そして、アキオは、妻のまた一つ、深く官能的な魅力を発見し、その愛の深さに改めて打ちのめされたのだった。
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