五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ

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第121話:聖女の受胎、日々の祝福と育まれる命

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 生命樹の下での聖婚の儀から一夜が明けた。アキオの町の空は冬晴れに輝き、清浄な空気が満ちている。中央館のアウロラの私室では、アキオとアウロラが、満ち足りた穏やかな表情で互いを見つめ合っていた。アウロラの身体からは、以前にも増して神々しく、そして母となるであろう慈愛に満ちたオーラが優しく放たれている。
「アウロラ…昨夜のことは、まるで夢のようだ…」
「いいえ、アキオ。あれは確かな現実。わらわのお腹には…あなた様との、新しい『暁の光』が、確かに息づいております」
 アウロラは、そっと自身の下腹部に手を当て、至上の喜びに満ちた微笑みを浮かべた。アキオもその手に自分の手を重ね、言葉にできないほどの感動と愛情が胸に込み上げてくるのを感じていた。

 朝食の席では、シルヴィアをはじめとする妻たちが、改めてアキオとアウロラを心から祝福した。
「アウロラ様、そしてアキオ様、本当におめでとうございます。アウロラ様のお身体が、神々しい光で満たされているのが、私にも感じられますわ」シルヴィアが穏やかに言う。
 アヤネも、自身の少し膨らみ始めたお腹を愛おしそうに撫でながら、「アウロラ様も、これからはお身体を大切になさってくださいね。何かあれば、いつでもお手伝いいたしますわ」と心からの笑顔を向けた。キナ、レオノーラ、セレスティーナも、それぞれの言葉で二人の幸福を喜び、アキオ家の新たな家族の誕生への期待に胸を膨らませていた。

 しかし、その日の午後、アウロラの表情に僅かな曇りが見られた。彼女はアキオを生命樹の元へと誘うと、少し不安げな面持ちで切り出した。
「アキオ…どうやら、わらわのこの身体と、お腹の御子は…まだ完全には安定しておらぬようなのです」
「えっ、それはどういうことだ、アウロラ?」
「受胎は確かに果たされました。じゃが、わらわの聖なる本質と、あなた様の人間としての生命の精髄、そして生命樹の力が融合して生まれたこの御子は、あまりにも強大で特別な存在。その成長と、わらわ自身の母胎としての安定のためには…どうやら、あなた様の『生命の祝福』の力が、継続的に、そして直接的に注がれ続ける必要があるようなのです」
 アウロラは、生命樹にそっと手を触れながら、その啓示とも言える感覚をアキオに伝えた。それは、彼女が本能的に、あるいは生命樹との交感を通じて悟った真実だった。
「つまり…その…これからも、定期的に、昨夜のような…?」アキオが少し戸惑いながら尋ねる。
 アウロラは頬を染めながらも、しかし真剣な眼差しで頷いた。「はい、アキオ。御子が…そしてわらわが完全に安定するその日まで…あなた様の愛と力で、わたくしたちを満たしていただきたいのです。それは…まあ、日々の『子作り』ということになりましょうか」
 その言葉に、アキオは一瞬驚いたが、すぐにアウロラの手を力強く握り返した。
「アウロラ…君と、お腹の子のためなら、俺は何でもする。君たちが安定するまで、俺の全てで君たちを支え、愛し続けると誓うよ」
 その決意は、アウロラの不安を溶かすように、彼女の心に温かく染み渡った。

 それからというもの、アキオとアウロラの日々には、新たな「聖なる営み」が加わった。それは、昼間は町の長として、あるいは職人として忙しく働くアキオが、夜にはアウロラの元を訪れ、彼女と愛を交わすというものだった。それはもはや、単なる情欲を満たすための行為ではない。アウロラの言葉通り、彼女と御子の生命を育み、安定させるための、神聖で重要な儀式。アキオは、自身の「生命の祝福」の力を最大限に高め、愛するアウロラとその内に宿る新しい光へと、惜しみなく注ぎ込んだ。
 その度に、アウロラの身体はより一層輝きを増し、その表情は安らぎと喜びに満たされていく。彼女のお腹の「暁の光」もまた、アキオの愛を受けるたびに力強く脈打ち、健やかな成長を続けているのが、二人には感じられた。

 その一方で、アヤネの妊娠生活は、人間のそれとして穏やかに、しかし確実に進んでいた。つわりも比較的軽く、シルヴィアや経験豊かなマーサの助けを借りながら、彼女は母となる喜びを日々噛み締めていた。時折、アウロラと二人きりでお茶を飲みながら、互いの体調のことや、生まれてくる子供への想いを語り合うこともあった。聖女の神秘的な妊娠と、人間の慈愛に満ちた妊娠。形は違えど、アキオの子を宿すという共通の喜びが、二人を優しく結びつけていた。
「アウロラ様のお腹の赤ちゃんも、きっとアキオ様に似て、優しくて力強い子になりますね」
「うむ。そしてアヤネ、そなたの子もまた、そなたの優しさとアキオの強さを受け継ぐ、素晴らしい子になるじゃろう」
 そんな会話が、陽だまりの中で交わされることもあった。

 町の片隅では、ドルガンの工房から、いつもより心なしか楽しげな槌の音が聞こえてくる。ヘルガのお腹も、日に日に僅かながら膨らみを増しているようだ。アキオの町は、アヤネとアウロラ、そしてヘルガという三人の妊婦を抱え、まさに生命の祝福に満ち溢れていた。
 アキオは、愛する妻たちと、そのお腹に宿る新しい命、そして町の皆の笑顔を守るため、父として、夫として、そして町の長として、その全ての力を捧げることを改めて心に誓うのだった。
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