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第293話:女騎士の告白、そして星降る夜の誓い
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王家との会談を前に、アキオは、妻たち一人一人と、改めて深く向き合う時間を過ごしていた。セレスティーナとの、国の未来を語り合う、知的で、そして情熱的な一夜を終えた、その翌日。アキオは、第四夫人である、女騎士レオノーラと、二人きりで過ごすことに決めた。
彼女は、常に強く、気高く、そして、セレスティーナと、この聖域を守るという、騎士としての務めに、その身を捧げている。だが、アキオは、その鋼の鎧の下に隠された、彼女の、本当の素顔に、触れてみたいと、ずっと思っていた。
アキオは、その日、彼女を訓練場には誘わなかった。代わりに、新・中央館の、陽光が降り注ぐ、静かなテラスへと、彼女を連れ出した。
「レオノーラ。いつも、皆を守ってくれて、ありがとうな。だが、今日は、剣を置いて、ゆっくり話がしたい」
アキオは、彼女に、優しく、そして真剣に問いかけた。
「君は、どうして、護衛の騎士になったんだ? 君が、本当にしたかったことは、何だったんだ?」
その、あまりにも真っ直ぐで、そして、彼女の魂の奥底に触れようとするような問いに、レオノーラの、常に自信に満ちていたはずの瞳が、僅かに、そして悲しげに、揺らいだ。
夕暮れの、聖域を見下ろす丘の上。二人は、並んで座り、沈みゆく夕日を眺めていた。
レオノーラは、ぽつり、ぽつりと、これまで誰にも明かしたことのない、自らの過去を、語り始めた。
貴族の家に生まれながら、政争の道具として扱われ、自らの身と、そして、唯一心の拠り所であった、病弱な妹を守るために、剣を取るしかなかった、孤独な少女時代。
「…わたくしは、本当は、騎士になど、なりたくはなかったのです」
その声は、震えていた。
「ただ…ただ、普通の女の子のように、綺麗なドレスを着て、お庭でお花を育てて…そして、いつか、愛する人のために、甘い、お菓子を焼いてみたかった…。でも、わたくしには、それしか、生きる道がなかったのです。強くあらねば、大切なものさえ、守れないと…そう、信じておりましたから…」
それは、常に強く、気高くあろうとしてきた彼女が、初めて見せる、弱く、そして、いじらしいまでの、本当の姿だった。アキオは、その告白を、ただ黙って、その全てを受け止めるように、聞いていた。
その夜。アキオは、レオノーラを、新・中央館の、奥まった一室へと誘った。
「レオノーラ。君に、見せたいものがあるんだ」
アキオは、彼女に、まず、クラウディアに頼んで、エルドリアから密かに取り寄せてもらっていた、一着のドレスを差し出した。それは、彼女の燃えるような赤い髪によく映える、深紅の、しかし、戦いではなく、夜会で舞うために作られた、優雅で、美しいドレスだった。
レオノーラは、戸惑いながらも、そのドレスに袖を通す。鏡に映った自分の姿は、彼女が、子供の頃に、夢見ていた「お姫様」そのものだった。
そして、アキオは、彼女のために、アヤネに教わって、不格好ながらも、一生懸命に焼いた、少しだけ焦げたクッキーを、差し出した。
「…不格好で、すまんな。君が作るものには、到底かなわないだろうが…」
レオノーラは、そのクッキーを、涙で濡れた瞳のまま、一口、口にした。それは、彼女が、人生で食べた、どんなご馳走よりも、甘く、そして、温かい味がした。
彼女が、涙ながらに、そのクッキーを食べている、その時。アキオは、部屋の灯りを、そっと消した。
「レオノーラ。空を、見てごらん」
次の瞬間、部屋の天井一面に、満天の星空が広がった。
「まあ…!」
それは、アキオが、凛とクラウディアの助けを借りて作った、あの「幻想空間を作り出す部屋」。レオノーラは、その存在を、今日まで知らなかった。
そして、アキオは、空に向かって、そっと合図を送る。
次の瞬間、夜空に、一本、また一本と、無数の流星が、まるで夜空を埋め尽くすかのように、流れ始めたのだ。それは、アキオが、凛とドルガン親方に頼み、小さな魔石に、光の魔術を込めて、空高く打ち上げさせていた、レオノーラのためだけの、特別な流星群だった。
「レオノーラ。君は、もう、一人で戦わなくていい。俺が、君の全てを、守る。だから、これからは、君の、本当の夢を、ここで、俺と一緒に、叶えていってほしい」
レオノーラは、その、あまりにもロマンチックで、そして、自分の全てを肯定してくれる、夫からの言葉と、星降る夜空の奇跡に、もはや、声を出すこともできず、ただ、アキオの胸で、子供のように、泣きじゃくるのだった。
その夜、二人は、星降る部屋で、結ばれた。
アキオは、彼女の、騎士としての鎧を、一枚一枚、その愛情で、優しく脱がしていく。そして、その下に隠されていた、一人の、傷つきやすく、そして、誰よりも愛を求めていた、本当のレオノーラを、その全身全霊で、抱きしめた。
それは、女騎士が、初めて、その剣を置き、一人の女性としての、本当の幸せを手に入れた、忘れられない、誓いの夜となった。
彼女は、常に強く、気高く、そして、セレスティーナと、この聖域を守るという、騎士としての務めに、その身を捧げている。だが、アキオは、その鋼の鎧の下に隠された、彼女の、本当の素顔に、触れてみたいと、ずっと思っていた。
アキオは、その日、彼女を訓練場には誘わなかった。代わりに、新・中央館の、陽光が降り注ぐ、静かなテラスへと、彼女を連れ出した。
「レオノーラ。いつも、皆を守ってくれて、ありがとうな。だが、今日は、剣を置いて、ゆっくり話がしたい」
アキオは、彼女に、優しく、そして真剣に問いかけた。
「君は、どうして、護衛の騎士になったんだ? 君が、本当にしたかったことは、何だったんだ?」
その、あまりにも真っ直ぐで、そして、彼女の魂の奥底に触れようとするような問いに、レオノーラの、常に自信に満ちていたはずの瞳が、僅かに、そして悲しげに、揺らいだ。
夕暮れの、聖域を見下ろす丘の上。二人は、並んで座り、沈みゆく夕日を眺めていた。
レオノーラは、ぽつり、ぽつりと、これまで誰にも明かしたことのない、自らの過去を、語り始めた。
貴族の家に生まれながら、政争の道具として扱われ、自らの身と、そして、唯一心の拠り所であった、病弱な妹を守るために、剣を取るしかなかった、孤独な少女時代。
「…わたくしは、本当は、騎士になど、なりたくはなかったのです」
その声は、震えていた。
「ただ…ただ、普通の女の子のように、綺麗なドレスを着て、お庭でお花を育てて…そして、いつか、愛する人のために、甘い、お菓子を焼いてみたかった…。でも、わたくしには、それしか、生きる道がなかったのです。強くあらねば、大切なものさえ、守れないと…そう、信じておりましたから…」
それは、常に強く、気高くあろうとしてきた彼女が、初めて見せる、弱く、そして、いじらしいまでの、本当の姿だった。アキオは、その告白を、ただ黙って、その全てを受け止めるように、聞いていた。
その夜。アキオは、レオノーラを、新・中央館の、奥まった一室へと誘った。
「レオノーラ。君に、見せたいものがあるんだ」
アキオは、彼女に、まず、クラウディアに頼んで、エルドリアから密かに取り寄せてもらっていた、一着のドレスを差し出した。それは、彼女の燃えるような赤い髪によく映える、深紅の、しかし、戦いではなく、夜会で舞うために作られた、優雅で、美しいドレスだった。
レオノーラは、戸惑いながらも、そのドレスに袖を通す。鏡に映った自分の姿は、彼女が、子供の頃に、夢見ていた「お姫様」そのものだった。
そして、アキオは、彼女のために、アヤネに教わって、不格好ながらも、一生懸命に焼いた、少しだけ焦げたクッキーを、差し出した。
「…不格好で、すまんな。君が作るものには、到底かなわないだろうが…」
レオノーラは、そのクッキーを、涙で濡れた瞳のまま、一口、口にした。それは、彼女が、人生で食べた、どんなご馳走よりも、甘く、そして、温かい味がした。
彼女が、涙ながらに、そのクッキーを食べている、その時。アキオは、部屋の灯りを、そっと消した。
「レオノーラ。空を、見てごらん」
次の瞬間、部屋の天井一面に、満天の星空が広がった。
「まあ…!」
それは、アキオが、凛とクラウディアの助けを借りて作った、あの「幻想空間を作り出す部屋」。レオノーラは、その存在を、今日まで知らなかった。
そして、アキオは、空に向かって、そっと合図を送る。
次の瞬間、夜空に、一本、また一本と、無数の流星が、まるで夜空を埋め尽くすかのように、流れ始めたのだ。それは、アキオが、凛とドルガン親方に頼み、小さな魔石に、光の魔術を込めて、空高く打ち上げさせていた、レオノーラのためだけの、特別な流星群だった。
「レオノーラ。君は、もう、一人で戦わなくていい。俺が、君の全てを、守る。だから、これからは、君の、本当の夢を、ここで、俺と一緒に、叶えていってほしい」
レオノーラは、その、あまりにもロマンチックで、そして、自分の全てを肯定してくれる、夫からの言葉と、星降る夜空の奇跡に、もはや、声を出すこともできず、ただ、アキオの胸で、子供のように、泣きじゃくるのだった。
その夜、二人は、星降る部屋で、結ばれた。
アキオは、彼女の、騎士としての鎧を、一枚一枚、その愛情で、優しく脱がしていく。そして、その下に隠されていた、一人の、傷つきやすく、そして、誰よりも愛を求めていた、本当のレオノーラを、その全身全霊で、抱きしめた。
それは、女騎士が、初めて、その剣を置き、一人の女性としての、本当の幸せを手に入れた、忘れられない、誓いの夜となった。
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