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王都ルーペルト

第95話 国王夫妻

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 ルーペルト王国の現国王はシュールト・ルーペルトと言う。
 この国の貴族と違い、ミドルネームはない。至って簡単な名。
 それ故に分かりやすい。
 そして現王妃はリーフェ・ルーペルト。
 本来であればミドルネーム等があり長い名前なのだが、この国では王族にミドルネームは存在しない。

 現在ルーペルト性を名乗っているのは僅か数名のみ。
 国王夫妻と公爵夫妻、そしてそれぞれの実子だけである。
 他にも公爵家は存在するが、ルーペルト性はここ王都に住んでいる公爵のみにゆるされている。

 その公爵の名はマンネス・ルーペルト。
 現在は息子であるフレークと共に、王族の務めを果たさんと城住まい。
 それ故に王太子であるアルテュールと接する事の多いマンネス公爵。
 残念ながら息子であるフレークはまだ8歳。国政に参画出来ない。
 現在は城から王立アカデミーに通い、学んでいる。

 それ故ロキュスは公爵の息子と会う事はなかった。
 但し王太子は別だ。
 唯一の世継ぎであるが故に、アカデミーに通う事無く教師に王太子の元へ赴かせ、学んでいる。

 ロキュスが城を移動中、王太子はその姿を目撃をした、という経緯があった。

 そのロキュスは今、謁見の間へ入る順番を待っている。
 勿論この場にいる全員、無言だ。
 小声であれば会話をしても問題は無いのであろう。
 しかし会話は、例え小声でもしてはいけない、そう言った雰囲気があるのだ。謁見の間の周囲は独自の空気感がある。

 そんな中1時間ほど待ったであろうか。
「ランメルト伯爵、それにスライム使いよ、入れ。」
 どうやらロキュスはテイマーではなく、スライム使いと認識されていたようだ。
【アスワムちゃんもいるし、天ちゃんも居るんだけどなあ。】
 そう思ったロキュスだが、入室を急かされ、扉をくぐる。

 身分の違いのせいで、まずはランメルト伯爵が入室していく。
 次にランメルト伯爵の娘・カトリナ。
 その後をプリスカ。最後に平民であるロキュス。
 国王夫妻はロキュスに用があるのだが、こればかりは仕方ない。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

【こ、このお二人が国王陛下と王妃様。】
 僕は初めてお会いしたルーペルト王国の国王様とその奥様を思わず見てしまいました。

 国王陛下はまだ30歳ほどと若いのですが、よくわからない威厳のような何かがあり、大変立派に見えました。
 そして王妃様です。
 とてもお美しいその姿と共に、何やら柔らかな表情で思わず見惚れてしまいました。何だか安心する・・・・

「これよりランメルト伯爵並びにロキュス・エルメリンスへ謁見の機会を与える。」

 よくわかりません。機会を与えてもらうんだ?
「よい。それよりもランメルト、久しいな。」
「陛下いけませぬ!」
「よいのだ。ランメルトとはアカデミーで一緒に学んだ仲。内容が妻に関する事ゆえ、余が直接話そう。」
 普通、王様は直接臣下に声を掛けないそうです。
 この場合の臣下とは、謁見の機会を与えられた僕達です。
「陛下は・・・・ずいぶんとやつれましたなあ。それも今日までに御座います。彼がロキュス。リーフェ様をお救いできるのは、ロキュス殿のスライムを置いて他には無いでしょう。」
 買い被りでは?
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