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酒と紫色のスライム
第174話 手紙
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「実はわたくし、少々嘘をついておりまして。」
いきなり商人さんがそんな事を。
今更どういった考えでこんな発言を?
「一体何に対しての嘘でしょう?嘘も方便と言います。それに今になって告白する理由も知りたいですわね。」
レネーさんは商人さんに嘘をつかれた事に関して、特に怒った感じでもなく、不思議そうにしています。
「こちらをお読み下さい。」
何だろう。そして誰が書いたのかな?
しかし未だまともに字が読めません。
レネーさんにお願いしましょう。
因みに自分の名前ぐらいしか書けません。
「え?私が読んでいいのかしら?」
「本来であればロキュス様に読んでもらうのが筋。ただ事前にロキュス様は字を読む事が大変苦手と聞いておりましたので、レネー様がお読み下さい。」
「では一度読みます。その後どうするかは私に任せてもらってもいいかいら?」
レネーさんの判断であれば間違いないでしょう。
「レネーさんに任せるよ。」
「ありがとう。ちょっと待ってね。」
レネーさんは一切表情をかえる事なく読んでいます。
暫くして、
「分かりました。ロキュスさん、声を出してましょうか読みましょうか?掻い摘んで説明してもいいのだけど、どうかしら。」
そう言われても分からないので読んでもらう事にしました。
【君に頼むのは大変心苦しいのだが、既に後任も育ち時間に余裕があると見込んで頼みたい。僕にとって最も大切な知人であるロキュス氏についてだ。彼は実際まだ子供だ。それこそうまく取り込んで自分の思うように扱いたい、または利用したいと思う輩は星の数ほどいるだろう。それに現在彼の恋人は、かのレネー姫だ。レネー姫が傍に居れば問題ないだろうが、彼女も万能ではないし、常にロキュス氏と一緒にいるわけではない。本来であれば私がロキュス氏に助言をしたい所だが、彼はきっと私の助言を全て丸のみしてしまうだろう。もし私がロキュス氏を利用しようとしていたらどうするつもりなのかは分からないし、僕はロキュス氏の信用を失うような事はするつもりはない。だがそれでは駄目なんだ。彼の成長には君のような商人の助けがいる。そろそろ本題に入ろうか。ロキュス氏の目的なのだが、未だつかみかねている。聞けば相当多額の寄付を行っているそうだが、その金が果たして正しい、ロキュス氏の思惑通りに使われているかと言えば、そうではない。かといってポイント目的で寄付をしているようには思えない。そこで思うのは、彼の出自についてだ。彼は孤児院で育ったと言っていたが、産まれは分からないものの孤児院で生活をする前はスラムに居たと推察できる。そんな彼はスラムの住民を何とかしたいと思い、寄付をしていたのではないだろうかと思っている。もしそうであればどうかスラムの住民との仲介役になってほしい。スラムの住民はかなり厄介だ。何が厄介かは君もよくわかっているだろうからあえて触れないがそう言う事だ。なので君の力でロキュス氏を見守ってほしい。もし君の力が必要なさそうであれば僕の取り越し苦労と共に、君には迷惑をかける事になる。なので1つの提案をしたいと思っている。これは僕からのお願いと共にロキュス氏の見守りという依頼の報酬みたいなものだ。ロキュス氏のスライムは万能でありながらそうではない。眷属は1種で1つの事しかできないのだ。そしてまだまだ可能性がある。今回の提案はずばりゴミだ。ごみを処理するスライム、どうだろう。ここまで伝えればわかるよね。ああ、僕がしっかり領地を把握していれば自分で向かうのだが、残念ながら領地の管理は専門外なので未だ手こずっている。そういう訳で頼むよ。そうそう、もう一つ忘れていたよ。最近酒蔵の親方達が危機感を募らせているらしい。これもロキュス氏のスライムだね。だが上手く取り回しをすればそれぞれ棲み分けが出来ると思っている。良くも悪くも特定の味しか出ないんだ。だが親方達は色々な・・・・そういう訳だ。友より。】
これはもしかしてマルセルさんの手紙?
一寸意味不明な部分があるけれど、商人さんにはわかる内容なんだろうね。
いきなり商人さんがそんな事を。
今更どういった考えでこんな発言を?
「一体何に対しての嘘でしょう?嘘も方便と言います。それに今になって告白する理由も知りたいですわね。」
レネーさんは商人さんに嘘をつかれた事に関して、特に怒った感じでもなく、不思議そうにしています。
「こちらをお読み下さい。」
何だろう。そして誰が書いたのかな?
しかし未だまともに字が読めません。
レネーさんにお願いしましょう。
因みに自分の名前ぐらいしか書けません。
「え?私が読んでいいのかしら?」
「本来であればロキュス様に読んでもらうのが筋。ただ事前にロキュス様は字を読む事が大変苦手と聞いておりましたので、レネー様がお読み下さい。」
「では一度読みます。その後どうするかは私に任せてもらってもいいかいら?」
レネーさんの判断であれば間違いないでしょう。
「レネーさんに任せるよ。」
「ありがとう。ちょっと待ってね。」
レネーさんは一切表情をかえる事なく読んでいます。
暫くして、
「分かりました。ロキュスさん、声を出してましょうか読みましょうか?掻い摘んで説明してもいいのだけど、どうかしら。」
そう言われても分からないので読んでもらう事にしました。
【君に頼むのは大変心苦しいのだが、既に後任も育ち時間に余裕があると見込んで頼みたい。僕にとって最も大切な知人であるロキュス氏についてだ。彼は実際まだ子供だ。それこそうまく取り込んで自分の思うように扱いたい、または利用したいと思う輩は星の数ほどいるだろう。それに現在彼の恋人は、かのレネー姫だ。レネー姫が傍に居れば問題ないだろうが、彼女も万能ではないし、常にロキュス氏と一緒にいるわけではない。本来であれば私がロキュス氏に助言をしたい所だが、彼はきっと私の助言を全て丸のみしてしまうだろう。もし私がロキュス氏を利用しようとしていたらどうするつもりなのかは分からないし、僕はロキュス氏の信用を失うような事はするつもりはない。だがそれでは駄目なんだ。彼の成長には君のような商人の助けがいる。そろそろ本題に入ろうか。ロキュス氏の目的なのだが、未だつかみかねている。聞けば相当多額の寄付を行っているそうだが、その金が果たして正しい、ロキュス氏の思惑通りに使われているかと言えば、そうではない。かといってポイント目的で寄付をしているようには思えない。そこで思うのは、彼の出自についてだ。彼は孤児院で育ったと言っていたが、産まれは分からないものの孤児院で生活をする前はスラムに居たと推察できる。そんな彼はスラムの住民を何とかしたいと思い、寄付をしていたのではないだろうかと思っている。もしそうであればどうかスラムの住民との仲介役になってほしい。スラムの住民はかなり厄介だ。何が厄介かは君もよくわかっているだろうからあえて触れないがそう言う事だ。なので君の力でロキュス氏を見守ってほしい。もし君の力が必要なさそうであれば僕の取り越し苦労と共に、君には迷惑をかける事になる。なので1つの提案をしたいと思っている。これは僕からのお願いと共にロキュス氏の見守りという依頼の報酬みたいなものだ。ロキュス氏のスライムは万能でありながらそうではない。眷属は1種で1つの事しかできないのだ。そしてまだまだ可能性がある。今回の提案はずばりゴミだ。ごみを処理するスライム、どうだろう。ここまで伝えればわかるよね。ああ、僕がしっかり領地を把握していれば自分で向かうのだが、残念ながら領地の管理は専門外なので未だ手こずっている。そういう訳で頼むよ。そうそう、もう一つ忘れていたよ。最近酒蔵の親方達が危機感を募らせているらしい。これもロキュス氏のスライムだね。だが上手く取り回しをすればそれぞれ棲み分けが出来ると思っている。良くも悪くも特定の味しか出ないんだ。だが親方達は色々な・・・・そういう訳だ。友より。】
これはもしかしてマルセルさんの手紙?
一寸意味不明な部分があるけれど、商人さんにはわかる内容なんだろうね。
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