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国内無双編
永い(2)
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タイトルなんですが、一応掛けたつもりでした(笑)
ーーー
「送ったな?」
「はい。追いかけますか?」
理沙ちゃんがここを出てすぐ。
秘密基地にいる銀の部下100人を引き連れ10台以上の列を成して追いかける。
見送りの車には位置情報がわかるものを仕掛けてあるから問題ない。
「永井さん、朝ヤバそうでしたよ?」
石田の言うことは最もだ。
完全に寝不足の顔だった。
運動してて笑顔な彼女とは別人のような廃人そのものだ。
隈ができ、髪は最低限の手入れしかされてなく、服も適当。
直前になるまでボーッとしてるだけ。
まぁ、記憶を読む時は全てを読まないようにしているから断言は出来ないが、あの環境が幼少期に起きているのであれば、俺は今後今の同じ業務をやれとはとても言えなかった。
⋯⋯途端に申し訳なくなってしまった。
「死体の処理は慣れてる。大将がそこまで言うんだったら相当まずいことになるだろう」
「あぁ。多分死人の山が出来上がることは覚悟しておいてくれ」
読み取ったのがマジなら、相手は"ヤクザ"が絡んでる。
それに──
ーーお宅が私達の金庫を作ってくださる企業ですか?と言っています。
断片に登場したあの"外国人"。
普通の感じではなかった。
しかも一人二人じゃない。
普通の人間たちなら楽だが。
「武器は?」
「俺達は武器を使う人間ではない。
だが、一応護身として得物は持ってる」
「銀。一応だが、今後俺は世界にも力が広がると思ってる」
「あぁ。それは薄々な」
既に白波、諸星、この間の接待にしても、その話は来ている。
サバの美味さは正直俺の知っている未来だとしてもあれほどはなかった。
作成者が俺だからそりゃそうだがって感じだけど。
その事を考えると。
「日本くらいだろう。拳でどうのができるのは」
「今から練習はしているんだがなぁ」
悲しそうに笑う銀。
駄目なんだろうな。
「ま、その辺は追々だ」
「今は、永井をどうにかする所からか」
車から降りると映るのは、至って普通の町工場。
年季が入っており、所々傷んでる。
リフォームなどの改築もなさそうだ。
それに、風を通してくる匂いもあまり良いものではない。
上に一瞬だけパーカーを羽織り、中のシャツを守りながら──俺は中へと向かった。
*
場所は変わり、重低音が支配する少し広めのカラオケ部屋。
そこで一人の男の異様な発達を遂げている背中があった。
小さく、短く。
だけど硬質で、澄んだ金属音がカラオケ部屋に響いた。
その静けさで異常を感じる人間はいるのだろうか?
音もない静寂な場所。
そして、男の口元からは細い煙が沸き立つ。
「⋯⋯随分と威勢が良かったが、所詮こんなものか」
一吸いすると男は鼻から煙を出す。
よくよく見れば、男の周りには数十人程の成人男性が山積みになっていた。
壁には飛散した血がべっとりと付着していて、机の上には血がついたマイクがある。
食べ物がこれでもかというほど口に突っ込まれた男もいれば、ワイシャツ一枚の女が震えて角で縮こまっているのも見える。
「これで今日は5件目か。人使いが荒いもんだ」
ポケットからガラケーを取り出し誰かに電話をかける。
「俺だ」
『終わったか?』
「終わった。何が気をつけろだ。
警戒した意味なんてなかっただろう」
『念の為だ。分かるだろう?』
ガラケー越しに片頬を釣り上げ、ハッと笑っている。
「回収したのは五億。
未収は自己報告だと6億らしいが?」
『全部で20だ。
じゃないと送る理由がないだろう?』
「⋯⋯それもそうか」
しゃがみ、短くなった煙草を足元にいる中年太りのリーダーらしき男の鼻に詰める。
「ァァァァァアッッッッ!!」
『後処理を増やすなよ』
「ん?別に良いだろう?
そこにいる女は使っちゃ駄目なんだろう?」
『本当性欲止まらねぇ男だな』
「⋯⋯何を言う?最近の記事を読んだが、男の性欲のピークは20代後半だろう?
なら該当しかしてない。
そもそも今が人間としてみたら生き過ぎなんだよ。
人生は一度しかない。
だからこうして馬鹿も湧くし、俺みたいな変なのが世に解き放たれちまう事もある」
ゆっくり語り──膝が曲がる程上げたと思えば、勢い良く男の顔面を踏み付けた。
「ぅふっ!!」
鈍い音が響く。何度も踏みつけ、男は満足した様子でガラケーを耳に当てた。
「それで? 報告は終わったが、報酬はいつなんだ?」
『⋯⋯いや。それよりも今日はやる事がある』
ん?と男の表情が曇る。
同時に新しい煙草を取り出してまたも澄んだ硬い音が響く。
「なんだ?」
『さっき情報があった。
うちのシマに厄介な連中が入り込んだらしい』
男の吸う手が止まる。
「なぜ放置した?」
『さっき入ってきた情報だったんだ。
しょうがないだろ』
「相手は?」
『知らんガキらしい。
えらいボンボンでな。
諸星に送り込んでた女の一人を助けに来たっぽい』
「今時珍しいねぇ。
替えの効く女にそこまで入れこむガキなんて」
驚きながらもそこまで言ったところで納得したように続ける。
「いや、だがガキなら仕方ないのか。
替えが効くことも知らなそうな童貞という可能性もあるしな。
まぁいい。それで?」
『うちの子分連中がやられてる』
その言葉を聞いた瞬間、男の眼光はニヤリと笑い頬が釣り上がる。
一人の男を長いソファに座らせ汚れないように机に足を乗っけては組み、嬉しそうに訊ねる。
「相手は?」
『どうやらかなり居るようだ。
ボンボンだからかなり連れてきてるみたいだ。
場所は町工場。俺達の主要⋯⋯いや、日本にとって大事な拠点の一つだ』
「あぁ⋯⋯そりゃあんたも動くわけだ」
『あそこはかなり"風間組"としても、"政府"としても秘匿情報が詰め込まれてる場所だ。
なんとしてでも伏せたいって訳だ』
片腕を横に投げ出す。
ニヤリと嗤い、揶揄う。
「まぁ、風間組の危機ってわけだ」
『そうだ。折角良い情報を教えてやろうと思ってたのになぁ』
「なんだ、教えろ」
足で机で横たわる男を蹴り飛ばし、男は興奮気味に訊ねる。
『二人⋯⋯知ってる人間がいるそうだ数年前"無頼"とか呼ばれてた若造が混ざってるとかなんとか──』
ピッ、と。
喋りかけの通話を切った男。
ーー真壁銀譲。風間組に来い。
男の手は震えていた。
「くっふふふふ⋯⋯アッハハハハハハ!!!!」
ーーお前は天才だァァ!!
あの時の男がまだ居たとは、と。
立ち上がり、男は近くに居た女を見下ろし、喋りかける。
「お前は見逃してやる。店員には俺が殺ったからもう終わりだと言っておけ。今は機嫌が良い」
あの時の獣が今どうなっているか。
試しがいがある。
男は内心そう呟き、外に出る。
ムシムシした暑い日差しが男を照らす。
白髪のオールバックに、通路を歩く人間とは別世界のような体の大きさ。
神が両手で丁寧に書いたような造形美。
物語に出てくる黄金比の騎士のようだ。
まるでこの世に神が人の形をして現れたような⋯⋯そんな神々しい雰囲気を醸し出している。
そして待ち構えているのは、数十人の黒スーツに身を包み、90度に折り畳む強面の男たち。
「おい、スーツを新調しに行くぞ」
「⋯⋯え?何かあったので?」
男は一人の男を思い出し。
「──戦争だ」
上擦った声で嗤い、歪んだ顔で部下に言い放つ。
「あの時以来だ。
あの"ガキンチョ"が今どうなったか⋯⋯確かめてやろうじゃないか」
リムジンに乗った男の元へ両サイドに男が控える。
「草薙のアニキ、目的地はいつもの仕立て屋に向かい、お頭が言った場所でよろしいので?」
「あぁ。あの時以来の興奮だ。
お前らもびっくりするほどの獲物だぞ」
深く背もたれに沈み、脚を大きく広げて身を預ける草薙はそう部下たちに言い放ち、目を瞑る。
これからの闘争に興奮を覚えながら。
ーーー
「送ったな?」
「はい。追いかけますか?」
理沙ちゃんがここを出てすぐ。
秘密基地にいる銀の部下100人を引き連れ10台以上の列を成して追いかける。
見送りの車には位置情報がわかるものを仕掛けてあるから問題ない。
「永井さん、朝ヤバそうでしたよ?」
石田の言うことは最もだ。
完全に寝不足の顔だった。
運動してて笑顔な彼女とは別人のような廃人そのものだ。
隈ができ、髪は最低限の手入れしかされてなく、服も適当。
直前になるまでボーッとしてるだけ。
まぁ、記憶を読む時は全てを読まないようにしているから断言は出来ないが、あの環境が幼少期に起きているのであれば、俺は今後今の同じ業務をやれとはとても言えなかった。
⋯⋯途端に申し訳なくなってしまった。
「死体の処理は慣れてる。大将がそこまで言うんだったら相当まずいことになるだろう」
「あぁ。多分死人の山が出来上がることは覚悟しておいてくれ」
読み取ったのがマジなら、相手は"ヤクザ"が絡んでる。
それに──
ーーお宅が私達の金庫を作ってくださる企業ですか?と言っています。
断片に登場したあの"外国人"。
普通の感じではなかった。
しかも一人二人じゃない。
普通の人間たちなら楽だが。
「武器は?」
「俺達は武器を使う人間ではない。
だが、一応護身として得物は持ってる」
「銀。一応だが、今後俺は世界にも力が広がると思ってる」
「あぁ。それは薄々な」
既に白波、諸星、この間の接待にしても、その話は来ている。
サバの美味さは正直俺の知っている未来だとしてもあれほどはなかった。
作成者が俺だからそりゃそうだがって感じだけど。
その事を考えると。
「日本くらいだろう。拳でどうのができるのは」
「今から練習はしているんだがなぁ」
悲しそうに笑う銀。
駄目なんだろうな。
「ま、その辺は追々だ」
「今は、永井をどうにかする所からか」
車から降りると映るのは、至って普通の町工場。
年季が入っており、所々傷んでる。
リフォームなどの改築もなさそうだ。
それに、風を通してくる匂いもあまり良いものではない。
上に一瞬だけパーカーを羽織り、中のシャツを守りながら──俺は中へと向かった。
*
場所は変わり、重低音が支配する少し広めのカラオケ部屋。
そこで一人の男の異様な発達を遂げている背中があった。
小さく、短く。
だけど硬質で、澄んだ金属音がカラオケ部屋に響いた。
その静けさで異常を感じる人間はいるのだろうか?
音もない静寂な場所。
そして、男の口元からは細い煙が沸き立つ。
「⋯⋯随分と威勢が良かったが、所詮こんなものか」
一吸いすると男は鼻から煙を出す。
よくよく見れば、男の周りには数十人程の成人男性が山積みになっていた。
壁には飛散した血がべっとりと付着していて、机の上には血がついたマイクがある。
食べ物がこれでもかというほど口に突っ込まれた男もいれば、ワイシャツ一枚の女が震えて角で縮こまっているのも見える。
「これで今日は5件目か。人使いが荒いもんだ」
ポケットからガラケーを取り出し誰かに電話をかける。
「俺だ」
『終わったか?』
「終わった。何が気をつけろだ。
警戒した意味なんてなかっただろう」
『念の為だ。分かるだろう?』
ガラケー越しに片頬を釣り上げ、ハッと笑っている。
「回収したのは五億。
未収は自己報告だと6億らしいが?」
『全部で20だ。
じゃないと送る理由がないだろう?』
「⋯⋯それもそうか」
しゃがみ、短くなった煙草を足元にいる中年太りのリーダーらしき男の鼻に詰める。
「ァァァァァアッッッッ!!」
『後処理を増やすなよ』
「ん?別に良いだろう?
そこにいる女は使っちゃ駄目なんだろう?」
『本当性欲止まらねぇ男だな』
「⋯⋯何を言う?最近の記事を読んだが、男の性欲のピークは20代後半だろう?
なら該当しかしてない。
そもそも今が人間としてみたら生き過ぎなんだよ。
人生は一度しかない。
だからこうして馬鹿も湧くし、俺みたいな変なのが世に解き放たれちまう事もある」
ゆっくり語り──膝が曲がる程上げたと思えば、勢い良く男の顔面を踏み付けた。
「ぅふっ!!」
鈍い音が響く。何度も踏みつけ、男は満足した様子でガラケーを耳に当てた。
「それで? 報告は終わったが、報酬はいつなんだ?」
『⋯⋯いや。それよりも今日はやる事がある』
ん?と男の表情が曇る。
同時に新しい煙草を取り出してまたも澄んだ硬い音が響く。
「なんだ?」
『さっき情報があった。
うちのシマに厄介な連中が入り込んだらしい』
男の吸う手が止まる。
「なぜ放置した?」
『さっき入ってきた情報だったんだ。
しょうがないだろ』
「相手は?」
『知らんガキらしい。
えらいボンボンでな。
諸星に送り込んでた女の一人を助けに来たっぽい』
「今時珍しいねぇ。
替えの効く女にそこまで入れこむガキなんて」
驚きながらもそこまで言ったところで納得したように続ける。
「いや、だがガキなら仕方ないのか。
替えが効くことも知らなそうな童貞という可能性もあるしな。
まぁいい。それで?」
『うちの子分連中がやられてる』
その言葉を聞いた瞬間、男の眼光はニヤリと笑い頬が釣り上がる。
一人の男を長いソファに座らせ汚れないように机に足を乗っけては組み、嬉しそうに訊ねる。
「相手は?」
『どうやらかなり居るようだ。
ボンボンだからかなり連れてきてるみたいだ。
場所は町工場。俺達の主要⋯⋯いや、日本にとって大事な拠点の一つだ』
「あぁ⋯⋯そりゃあんたも動くわけだ」
『あそこはかなり"風間組"としても、"政府"としても秘匿情報が詰め込まれてる場所だ。
なんとしてでも伏せたいって訳だ』
片腕を横に投げ出す。
ニヤリと嗤い、揶揄う。
「まぁ、風間組の危機ってわけだ」
『そうだ。折角良い情報を教えてやろうと思ってたのになぁ』
「なんだ、教えろ」
足で机で横たわる男を蹴り飛ばし、男は興奮気味に訊ねる。
『二人⋯⋯知ってる人間がいるそうだ数年前"無頼"とか呼ばれてた若造が混ざってるとかなんとか──』
ピッ、と。
喋りかけの通話を切った男。
ーー真壁銀譲。風間組に来い。
男の手は震えていた。
「くっふふふふ⋯⋯アッハハハハハハ!!!!」
ーーお前は天才だァァ!!
あの時の男がまだ居たとは、と。
立ち上がり、男は近くに居た女を見下ろし、喋りかける。
「お前は見逃してやる。店員には俺が殺ったからもう終わりだと言っておけ。今は機嫌が良い」
あの時の獣が今どうなっているか。
試しがいがある。
男は内心そう呟き、外に出る。
ムシムシした暑い日差しが男を照らす。
白髪のオールバックに、通路を歩く人間とは別世界のような体の大きさ。
神が両手で丁寧に書いたような造形美。
物語に出てくる黄金比の騎士のようだ。
まるでこの世に神が人の形をして現れたような⋯⋯そんな神々しい雰囲気を醸し出している。
そして待ち構えているのは、数十人の黒スーツに身を包み、90度に折り畳む強面の男たち。
「おい、スーツを新調しに行くぞ」
「⋯⋯え?何かあったので?」
男は一人の男を思い出し。
「──戦争だ」
上擦った声で嗤い、歪んだ顔で部下に言い放つ。
「あの時以来だ。
あの"ガキンチョ"が今どうなったか⋯⋯確かめてやろうじゃないか」
リムジンに乗った男の元へ両サイドに男が控える。
「草薙のアニキ、目的地はいつもの仕立て屋に向かい、お頭が言った場所でよろしいので?」
「あぁ。あの時以来の興奮だ。
お前らもびっくりするほどの獲物だぞ」
深く背もたれに沈み、脚を大きく広げて身を預ける草薙はそう部下たちに言い放ち、目を瞑る。
これからの闘争に興奮を覚えながら。
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