有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

ぴえ

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過去との対話_有栖_3

有栖_3-1

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 高校生、というのは多感な時期だ、と大人が表現するのも今なら解る。
 周囲の女子生徒達はサナギだった中学生の頃の殻を破る準備を始めて、恋愛に憧れを抱き、服やネイルなどのオシャレをすることでまだサナギで良いのに少しでも早く羽化しようと背伸びをする。中学生のときに、いち早くスタートをしていた人達をまるで恥知らずと影で笑っていた子もそれを無かったことにして同様に。

 とはいえ、『私』もその一人だった。

 大人になり、社会に出た今では学生時代の世界なんて本当に長い人生の一部でしかなく、刹那的で狭い世界だったと思うけれど、大人になりきれないその時は、目の前のことが全てで、その世界から外れることなんて出来なくて、自分達が自立し大人にも負けていないし、寧ろ、見下せるぐらいに世間知らずだ。
 だから、『私』も周囲から孤立するほどに、周囲の女子の流行に興味の無い素振りは出来なかったし、否定して存在が浮くようなことは避けたかったし、友達がいなくても大丈夫だと思えるような考えでもなかった。
 純粋に可愛い服もネイルも憧れのような感情を抱いていたし、どちらも初めて経験したときはワクワクした。『私』も可愛く素敵な女性になれるような気がしたし、どこか非現実的な体験のような感覚すら覚えた。
 特にどんどん変わっていく周囲を見ていると、美しくなること、可愛くなることは武装のようにも感じた。
 男性を惹きつけ、惑わし、自分自身を変身させる――そんな武装。

 ――でも、それで本当に護れるの?

 そんな言葉が頭には浮かんでいたような気がするけど、きっと『私』は気づかぬ振りをしていたんだと思う。
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