有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

ぴえ

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過去との対話_有栖_2

有栖_2-5

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 部活を辞めた『私』は両親に頼んでキックボクシングのジムに通うことになる。表向きの理由はフィットネスだったかな?
 まぁ、体を動かしたい……そんなことを伝えたと思う。
 両親は何も聞かずに了承してくれた。突然、部活を辞めたことについても『私』なりの理由があるのだろう、と理解してくれたし、塞ぎ込み引きこもってしまうよりは良い、と思ってくれたみたいだ。

 一方で、虚無感を抱いた『私』に芽生えたのは当時では理解出来なかったが、反骨精神と好奇心だった、と思う。
 この絶望に常に添い遂げている虚無感に、どうすれば打ち勝てるのか? その問いへの回答を無意識に考えていた。

「女性だから仕方ない」

 考えるときに、常にこの言葉が『私』を諦めさせようとした。それは吸い寄せられるように甘美な言い訳と妥協点だった。
 でも考えてしまう。

 もし男に襲われ、その非力さ故に対抗手段がなくなすがままに凌辱された場合――

「女性だから仕方ない」

 その言葉を『私』は受け入れるのか。
 その言葉で『私』は納得出来るのか。

 きっと出来ない――『私』は男子顧問との組手とその相手が異常者だった場合を考えては戦慄し、不安と共に否定した。
 そして、何が有効かを考える日々。
 暗中模索、がむしゃら、手当たり次第に術を探していた。
 キックボクシングの他にもレスリングや総合格闘技の体験レッスンを受けた。格闘技経験者、ということで入会させたいのか『私』にセンスを感じたのかトレーナーも熱心に教えてくれた。入会するのは高校生になってから考える、と伝えていたのだが、それでも家で出来るトレーニング方法などを教えて貰い、毎日すべきメニューを自分で作ってはサボることなく取り組んだ。
 こんなことを考えるのはもとより格闘技が好きなこと、そして、負けず嫌いという性分があるのだろう。

 高校生に入ったらどれかに専念しようか、とか考えていたと思う。
 だけど、『私』は高校生のとある時期に奇妙な出会いと希有な経験をすることになるのだった。
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