有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

ぴえ

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「――以上が、貴女のユースティティアに入隊するまでの経緯ですね」
「はい」

 他人行儀な口調を変えないままの佐倉の言葉に、有栖は同意した。
 ここまでに語られたのは有栖の入隊までの経歴だ。とはいえ、彼女が経験したことの一割ぐらいの上辺だけのもので、どこで生まれ、どこの学校を卒業したのかぐらいしか言葉にしていない。彼女が話し、相手がデータを打ち込むやり取りがあったぐらいで時間にすれば十分ぐらいだった。その深さでもある詳細については彼女だけが知り、ここで伝えることではない。
 寧ろ、ユースティティア側が知りたいこと。そして、有栖が話さなければならないことに関しては――ここから本筋だ。

「それでは、ここからは貴女が入隊してからの経緯について話してください」
「『自分』は隊員養成学校に入学し、卒業してから正式に入隊しています。その養成学校時代のことからで宜しいでしょうか?」
「はい。隊員養成学校もユースティティアの管轄であり、そのときのデータも管理されています。今回、入隊までの学歴のデータと同様にそちらのデータも消えてはいませんし、そちらの報告では改ざんされた形跡はないとのことですが、全てのデータを確認するといいう観点からも貴女の記憶を話してください。もちろん、関係者に聴取し事実かどうかは様々な角度から確認します」
「わかりました」

 そう答えると、有栖は再び過去と対話する為に、頭の中のアルバムを該当のページまで捲った。
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