有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

ぴえ

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過去との対話_有栖_6

有栖_6-2

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 我孫子の印象は当時から最悪だった。最初に嫌悪感を抱いたのは新入社員歓迎会のときだ。

「なぁ、有栖。お前、養成学校時代に彼氏とかいたの?」

 新入社員歓迎会の中盤。酔っ払って隣に座った我孫子は開口一番にそんなことを聞いてきた。突然のことに呆気に取られていると、

「え? いなかったの? じゃあ、まだ処女か?」

 その視線を明らかに『私』の下腹部へと向けてそう聞いた。

「いや、その……」

 それは否定の回答とかではなく、ただ答えにくかったからなんとなく口から零れたものだが、相手はそれを返答と受け取った。

「え? 違うのか? 彼氏いんの? 普段、彼氏とどんなセックスするの?」

 最悪の発言だった。だけど、それに対し周囲も苦笑いを浮かべるだけで咎めようとはしない。『私』は周囲が上長である我孫子に対して意見が言えないのだ、と瞬時に察した。だが、我孫子はそれをウケていると感じ取ったらしい。

「ほら、セックスのやり方を説明してくれよ」
「何だよ、ノリ悪いな。これだから女は駄目だよなぁ」
「あれだろ? 隊員養成学校で成績が良かったって聞いたけど、教員に身体使って成績上げてもらってたんだろ?」

 失礼な発言のオンパレード。それを自分勝手に気持ちよさそうに言い終えると、我孫子は別のテーブルへと移動していった。

「酔っている上での発言だから許してあげてね」

 先輩社員の一人がフォローするようにそう言ったが、我孫子が失礼な発言をしている間、誰も『私』を助けようとしなかったことに苛立ちを覚え、そして、上司だから新入社員は逆らってはいけない――そんな社会のルールに『私』自身が無意識に従っていたことに、帰宅してから更に苛立った。
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