42 / 104
過去との対話_有栖_7
有栖_7-1
しおりを挟む
ホテルに入らなかった――それは嘘だった。『私』は我孫子にホテルへと連れて行かれた。
何故、逃げなかったのか?
それは愚問だ。意識がなかった。酩酊状態になった『私』はそのまま意識を失い、目覚めたときには全てが終わった後だった。
知らない天井。知らない蛍光灯。知らないベッド。
鈍痛がする頭と部屋の華やかな香りに吐き気がした。身体を起こすと上半身の服は乱れ、下半身には何も身につけていなかった。
状況の整理はすぐには出来なかった。いや、最悪の想定はすでに出来ていたと思う。だけど、それを受け入れないよう意図的に脳が拒否していたようだった。
まずは、起き上がり室内を歩く。他に誰かがいる様子はなかった。その情報は『私』に安堵を与えることはなく、寧ろ、割り込んできた別の情報が不安と恐怖を持って、脳が作っていた拒否という壁を壊してしまった。
歩いたときに下半身に不快なぬめりと不自然な液体が内ももを伝ったのだ。
『私』は咄嗟にその液体に指で触れた。粘液だ。それを理解すると、私はバスルームに駆け込み、服を脱ぎ、熱湯消毒するように熱いシャワーを浴びた。下腹部を何度も、何度も洗った。
自然とお湯とは違う生暖かい液体が目から溢れたとき、もう全てを理解していた。
『私』は犯された。
何故、逃げなかったのか?
それは愚問だ。意識がなかった。酩酊状態になった『私』はそのまま意識を失い、目覚めたときには全てが終わった後だった。
知らない天井。知らない蛍光灯。知らないベッド。
鈍痛がする頭と部屋の華やかな香りに吐き気がした。身体を起こすと上半身の服は乱れ、下半身には何も身につけていなかった。
状況の整理はすぐには出来なかった。いや、最悪の想定はすでに出来ていたと思う。だけど、それを受け入れないよう意図的に脳が拒否していたようだった。
まずは、起き上がり室内を歩く。他に誰かがいる様子はなかった。その情報は『私』に安堵を与えることはなく、寧ろ、割り込んできた別の情報が不安と恐怖を持って、脳が作っていた拒否という壁を壊してしまった。
歩いたときに下半身に不快なぬめりと不自然な液体が内ももを伝ったのだ。
『私』は咄嗟にその液体に指で触れた。粘液だ。それを理解すると、私はバスルームに駆け込み、服を脱ぎ、熱湯消毒するように熱いシャワーを浴びた。下腹部を何度も、何度も洗った。
自然とお湯とは違う生暖かい液体が目から溢れたとき、もう全てを理解していた。
『私』は犯された。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる