有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』

第一章：決戦の足音

有栖_1-1

「高良組から連絡がきたんですか？」

　急遽、佐倉と京から招集され、特務課と佐倉はユースティティアの会議室へと集まった。そこで開口一番に佐倉から告げられたのは天使が取引を行う場所と時間の情報が高良組から連絡が届いたことだった。

　天使が手に入れた『レシエントメンテ』。彼はそれを海外の外交官を通じて、有名な大企業にそれを売り払い、違う国に有栖達が住む国を管理させようとしていた。彼女達はその現場に乗り込み、止めることが目的だったのだが、その時間と場所については高良組の協力を得ていた。もちろん、ユースティティアとしても調べてはいたが、それよりも早く情報を入手したようだ。

「高良組の方が上手のようですね」
「スタートの位置が違う、といったところで言い訳ね。ヨーイドンでスタートしたところで負けていたと思うわ。それぐらいに高良組の情報収集は早い。独自のネットワークがあるのかもね」

　悔しそうな有栖を励ましたい気持ちはあってもそんな気休めに意味はないと判断したのか京が現実を告げる。

「高良組の件は後回しだ。今は彼らと敵対しても意味がない。優先度の高い――いや、緊急度の高い件から処理する必要がある」
「異論はありませんよ、佐倉さん。それでは情報の展開をお願いします」

　有栖がそう促すと、会議室には自然と緊張感は走った。