13 / 116
第一章:八日前
一色_1-7
しおりを挟む
「ただいま」
一色は仕事を終えて帰宅した。彼が帰ったのはユースティティアの近くで借りているワンルームのマンションだ。狭いくせに夜に帰宅すると、玄関は無限の闇へと続いているように真っ暗だ。
一色は玄関で靴を脱ぐと、壁にあるスイッチを押して電気を付ける。それでようやく闇は消えて、現実的な部屋の広さが見えてきた。
そこからの一色の行動はテンプレートのように単調だ。
飯を食って、風呂に入り、少しの読書。そして、決まった時間にベッドへ横になる。
電気を消すと真っ暗になるので、暖冬色の豆球へと電灯を切り替えた。
一色は暗闇、というのが嫌いだった。理由は――不安になるからだ。
『これまで』の自分。『現在』の自分。『将来』の自分。
様々な自分のことを考え、最後にはどうしても『過去』の自分が現実の自分を飲み込んでしまう感覚に陥る。
その過去の自分こそが『暗闇』なのだ、と彼は理解していた。
無駄な抵抗と解っていながら、一色は部屋に僅かな光を灯すのだった。
一色は仕事を終えて帰宅した。彼が帰ったのはユースティティアの近くで借りているワンルームのマンションだ。狭いくせに夜に帰宅すると、玄関は無限の闇へと続いているように真っ暗だ。
一色は玄関で靴を脱ぐと、壁にあるスイッチを押して電気を付ける。それでようやく闇は消えて、現実的な部屋の広さが見えてきた。
そこからの一色の行動はテンプレートのように単調だ。
飯を食って、風呂に入り、少しの読書。そして、決まった時間にベッドへ横になる。
電気を消すと真っ暗になるので、暖冬色の豆球へと電灯を切り替えた。
一色は暗闇、というのが嫌いだった。理由は――不安になるからだ。
『これまで』の自分。『現在』の自分。『将来』の自分。
様々な自分のことを考え、最後にはどうしても『過去』の自分が現実の自分を飲み込んでしまう感覚に陥る。
その過去の自分こそが『暗闇』なのだ、と彼は理解していた。
無駄な抵抗と解っていながら、一色は部屋に僅かな光を灯すのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる