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第二章_七日前

一色_2-3

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「ただいま戻りましたー」
 真木との電話が終わってから暫くすると有栖が疲れた表情を見せて戻って来た。
「あれ、イチさん。戻ってたんですね」
「さっき戻って来たとこや。反保は?」
「車のカギを総務課に返してます。あと、細々とした処理が終わったら戻ってきますよ」
「問題は?」
「特になしです」
「そっか――なぁ、有栖、ちょいおいで」
 一色が有栖を手招きすると、彼女は露骨に嫌そうな表情を見せた。
「仕事の押しつけちゃうから、来い」
「それを先に言ってくださいよ」
「お前、俺以外にそんな態度とったらアカンぞ」
「大丈夫ですよ、ちゃんと人は選んでますから」
 そう言って、笑いながら有栖は一色の横に来た。
「何ですか?」
「これ見てみ」
 一色は有栖に桜華学園のホームページを見せて、学園長が交代した記載がないことを告げた。
「これじゃ、学園長が交代したこと解らんよな」
「まぁ、そうですけど。そこも忙しいから記載ミスしてるんだと思いますよ。気になるなら抗議しますが――そこまで気にするようなことでもないと思いますけど」
「……せやな、そこまで気にすることやないよな」
 有栖の反応を見て、一色は自嘲気味に笑った。

 ――せや、これが普通の反応や。このまま記憶は風化していく。そんで……データに残っていることが真実になっていくんやろな。
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