上 下
18 / 116
第二章_七日前

一色_2-2

しおりを挟む
 桜花学園で話を聞き終えた後は、一色は真っ直ぐにユースティティアへと戻った。オフィスには誰もおらず、自分のデスクでパソコンを開き、共有のスケジュールを確認すると有栖も反保も外出となっていた。続けて、メールを確認すると他の課からの応援依頼が来ており、その返信を有栖が行っていた。内容を確認すると、午前中には反保を引き連れて対応しに行ったようだ。業務内容をさっと見た限りでは二人で充分対応可能であり、また、もうそろそろ処理を終えて帰って来ても良さそうな時間でもあった。

 一色は自身が不在の間に行き交っていたメールを確認し終えると、必要最低限の返信をし、オフィスに戻る前に買ってジャケットのポケットに入れたことを忘れていた缶コーヒーをようやく取り出しプルタブを起こして呼吸をさせてやった。
 そして、一口、二口、とごくりごくりと飲み、半分ぐらい残したあたりでデスクの上に置いた。一色はコーヒーの香りを吐き出すように大きな呼吸をして、再び、パソコンへと向かい合う。

 マウスを操作し、検索サイトのアイコンをダブルクリックした。見慣れた検索窓に、『桜華学園』と打ち込んで検索を実施する。一秒もかからない内に公式のホームページが表示された。彼をその内容を確認する。

 トピック欄には以前起きた問題の対応状況などが表示され、警察やユースティティアが介入することにより健全化が行われている、という内容が随時更新されていた。
 一色はホームページ内を探索していく。そこで気づいたのは、いや、気がついていたことを再認識した。

 ニュースでは発表していたが、ホームページには学園長が交代した記載がないこと。
 学園長の挨拶のページには『現在』の学園長の名前と写真はあるが、そこに第何代、という記載がなくなっていること。

 一色はスマホを取り出して、電話を掛けた。

「――あぁ、真木。すまない。今大丈夫か? そうか。調べて欲しいことがある。ハッキング技術がある奴に――」
しおりを挟む

処理中です...