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第二章_七日前

天使_2-2

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 自身の頭の中がゴミとなった策に埋もれていきそうになったとき、天使のオフィスのドアが軽く叩かれた。
「……どうぞ」
 その音で自分の世界から戻って来た天使は、ドアに向かってそう言った。

「失礼します」
「失礼します」

 入って来たのは、
 黒のパーカーを着た白い髪で右目を隠す青年。
 白のパーカーを着た黒い髪で左目を隠す青年。
 二人は双子であり、同じ色のジーンズを履いていた。
 白い髪が傘 彼方(からかさ かなた)、黒い髪が傘 此方(からかさ こなた)だ。
 二人とも同じ背丈だが、少し背は低く、子供の様に見えるが二十歳の成人だ。二人はフォルムも片側だけ見える丸い目も双子だけあってそっくりだった。

「あぁ、来ましたか。早速、事前に調べて欲しいと伝えていたことの報告をお願いします」
 天使がそう促すと、彼方が一歩前に出た。
「はい。一色誠ですが、本日は桜花学園に接触していたようです。その内容は――」
 彼方が報告を終えると、次に此方が一歩踏み出した。
「その前は警察を退署した真木、という男とも会っていました。その内容は――」
 今度は此方の報告を聞く。

 ――真木か。まぁ、アイツは危険なラインを越えない。いや、一色が越えさせないだろう。なら、利用するのも手か……。

 此方の報告が終わると、その双子は目線を合わせると、
「もう一つ報告です」
「もう一つ報告です」
 声を乱さず、揃えて話す。
「少し前ですが、奉日本、という男にも接触していたようです。内容は不明です」
「少し前ですが、奉日本、という男にも接触していたようです。内容は不明です」
 その報告に、天使は少し驚いたような反応を示した。そして、少し考えると、
「一色誠がその人物に再度接触することがあったら、すぐに報告を」
 そう命令をした。
「解りました」
「解りました」
 双子は再び声を揃えて、返事をし、天使を真っ直ぐに見据えていた。
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