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第四章_五日前

一色_4-2

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 結論から言えば、詩島組は崩壊した。

 崩壊が決定的になったのは幹部組員によるマザー・エレクトロン株式会社が開催したサイバーフェス、というイベントで決行したアース博士の誘拐が失敗したことだろう。

 この誘拐事件はユースティティアと警察の警備により未然で防ぐことができた。そこで捕まったのが詩島組で唯一残っていた優秀で信頼の厚かった人物だったのが、詩島組にとっては悲報でしかなかった。
 詩島組は組長よりも、その優秀な幹部を慕っていた組員が多かったのだ。彼が捕まり、残りの組員が散り散りになった。
 また、信頼の薄かった組長は組員を見捨てて、別の国へと高跳びを試みた――が、警察か、もしくは他のヤクザの組か、どちらかに捕まり失敗した、というのは一色も真木の調査から聞いていた。ちなみに、後者が濃厚らしい。

「あの組長なら、遅かれ早かれ崩壊の道を進んでたと思うけどな」

 再び、元の場所に戻り、ビルを見上げて一色は呟く。彼は知っていたのだ。
 確かに決定的になったのはアース博士の誘拐を失敗したことかもしれない。しかし、崩壊の引き金は詩島組の組長が代替わりで新しい組長になったことだ、ということを。
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