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追憶_7
一色_三十九歳_2
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「……なんでですか?」
聖は俯きながら、尋ねた。
「別に何でも良いやろ」
距離を取るような言葉が感情を逆なでしたのか、次に聖が顔を上げたときには表情の中に悲しみが見えんように、怒りの仮面を被ってたわ。
「最近の警察の癒着の多さですか? 確かに警察内部の一部分は腐っている。ならば、私や貴方が変えていけば良いでしょう!」
聖は俺が辞める『表の理由』を信じてた。まぁ、実際、辞める理由はそれにしてるから当然や。数年前から――いや、実はずっと前からなんかもしれんけど、警察と与党の癒着は多く、ユースティティア設立まで事態は進んでしまった。
俺も辟易としてたし、その点では聖と意見が合ってたしな。
「私や貴方がいれば、内部から警察は変えていけます。そうでしょう!」
「……内部からは無理や。外部からの対等な力も必要や」
「あの脆弱な組織では不可能です。いつかは力を持つとしても、時間がかかり過ぎる。それならば、内部からの方が圧倒的に早い。私達の仕事の全てが与党がらみではありません。誇りを持っている者も多くいます。その人達を増やして、結託すれば――」
聖の言うことは正論だ。しかも、最近は教育の成果なのか、聖も人脈や人との協力が大切やと理解してた。聖を一目置いてる奴も多い。せやから、聖の考えに賛同してついて来る奴らも多くなるやろし、言うてる通り、内部から変えてくことも可能やろな。
「それはお前がやったらええ。俺は外部から変える案を実行するだけや。両方上手くいけば、いつか二つの組織が協力しあう未来があるかも――」
「あり得ない! 対立組織ですよ! 夢物語にもほどがある! ――貴方らしくないですよ、逃げてるみたいだ」
その言葉に少しどきり、としたわ。
俺の本当の目的は警察から逃げることやから。
天使が動いてる、と考えると警察に俺が居続けると、レシエントメンテのこと知っている為、消される可能性があるし、何より消しやすくなる。また、そのことを聖や他の人に話すと巻き込んでしまう。
けど、ユースティティアに亡命すれば簡単には手は出せん。対立組織の人間が死んで、それが警察の仕業の可能性がある……そんなこと、万が一バレたなら今の警察にとってはダメージが大きすぎる。アース博士を利用する為に警察の力を使ってる天使がそんなリスクを負うとは考えにくい。それをするなら、レシエントメンテを手に入れて、自身の策が成熟した頃やろう。
せやから、聖には可能な限りレシエントメンテに関しては知らんでおってほしい。知るとコイツは頑張って、阻止しようとして動いてまうやろからなぁ。だから、本当の理由を言えん相棒に失望してくれ。嘘を言う相棒を恨んでくれ。
「そうや。逃げるねん。腐った組織におったら、自分まで腐ってまうわ。お前も腐らんようにしぃや」
俺はそう言い残して、聖の横を通り過ぎた。そんで、会議室から出て行くときや。
「私は絶対に警察を変えます。ユースティティアに行ったことを後悔させてあげますよ」
聖はそう言った。
そう言うと思ったわ。
聖は俯きながら、尋ねた。
「別に何でも良いやろ」
距離を取るような言葉が感情を逆なでしたのか、次に聖が顔を上げたときには表情の中に悲しみが見えんように、怒りの仮面を被ってたわ。
「最近の警察の癒着の多さですか? 確かに警察内部の一部分は腐っている。ならば、私や貴方が変えていけば良いでしょう!」
聖は俺が辞める『表の理由』を信じてた。まぁ、実際、辞める理由はそれにしてるから当然や。数年前から――いや、実はずっと前からなんかもしれんけど、警察と与党の癒着は多く、ユースティティア設立まで事態は進んでしまった。
俺も辟易としてたし、その点では聖と意見が合ってたしな。
「私や貴方がいれば、内部から警察は変えていけます。そうでしょう!」
「……内部からは無理や。外部からの対等な力も必要や」
「あの脆弱な組織では不可能です。いつかは力を持つとしても、時間がかかり過ぎる。それならば、内部からの方が圧倒的に早い。私達の仕事の全てが与党がらみではありません。誇りを持っている者も多くいます。その人達を増やして、結託すれば――」
聖の言うことは正論だ。しかも、最近は教育の成果なのか、聖も人脈や人との協力が大切やと理解してた。聖を一目置いてる奴も多い。せやから、聖の考えに賛同してついて来る奴らも多くなるやろし、言うてる通り、内部から変えてくことも可能やろな。
「それはお前がやったらええ。俺は外部から変える案を実行するだけや。両方上手くいけば、いつか二つの組織が協力しあう未来があるかも――」
「あり得ない! 対立組織ですよ! 夢物語にもほどがある! ――貴方らしくないですよ、逃げてるみたいだ」
その言葉に少しどきり、としたわ。
俺の本当の目的は警察から逃げることやから。
天使が動いてる、と考えると警察に俺が居続けると、レシエントメンテのこと知っている為、消される可能性があるし、何より消しやすくなる。また、そのことを聖や他の人に話すと巻き込んでしまう。
けど、ユースティティアに亡命すれば簡単には手は出せん。対立組織の人間が死んで、それが警察の仕業の可能性がある……そんなこと、万が一バレたなら今の警察にとってはダメージが大きすぎる。アース博士を利用する為に警察の力を使ってる天使がそんなリスクを負うとは考えにくい。それをするなら、レシエントメンテを手に入れて、自身の策が成熟した頃やろう。
せやから、聖には可能な限りレシエントメンテに関しては知らんでおってほしい。知るとコイツは頑張って、阻止しようとして動いてまうやろからなぁ。だから、本当の理由を言えん相棒に失望してくれ。嘘を言う相棒を恨んでくれ。
「そうや。逃げるねん。腐った組織におったら、自分まで腐ってまうわ。お前も腐らんようにしぃや」
俺はそう言い残して、聖の横を通り過ぎた。そんで、会議室から出て行くときや。
「私は絶対に警察を変えます。ユースティティアに行ったことを後悔させてあげますよ」
聖はそう言った。
そう言うと思ったわ。
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