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追憶_7
一色_三十九歳_5
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それから数日後、セクハラ被害の件は示談になった。
そして、俺は――
「貴方は誰ですか?」
そう聞いてきたのは、問題となったセクハラ被害の件――その被害者である有栖、という女性隊員やった。
当時の印象はやさぐれとったな。
前線部隊に自分を放り込め、と総務と揉めてたわ。総務はこれまでに女性隊員が前線部隊に属した実績がなかったから頭を抱えてたな。いや、寧ろ諦めるように促してたわ。そこに俺が割って入って、二人で話した。
それは佐倉さんにお願いしたこともあったから。
この有栖、という理不尽なことに巻き込まれてしまった彼女の面倒を見させてくれっていうお願いや。
「ここに残ったってことは、お前なりに考えた結果やろ?」
俺は有栖と話した。当時の彼女は濁った眼で、絶望した眼で、疑った眼で俺を睨んどったわ。それもそうやろ。被害にあって、示談。辞めることもできたけど、それでも彼女は残ることを選んだ。生きていく為――というよりは、自分に負けない為、という感じやったな。きっと辞める、という決断は彼女にとって逃げることで、逃げることは負ける、ということやったんやろ。
「理不尽なんて、この先いくらでもあるぞ」
俺は有栖にそう言うた。それでも残るのか、という意味も込めて。
ここで辞めるならそれで良し。それでも有栖は――
「そんなに理不尽がいくらでもあるなら、それに屈する人もたくさんいるんでしょう? だったら、自分が救います。強くなって、強くなって、そんな理不尽なんて――ぶっ潰します」
その言葉は真っ直ぐで、強くて、若い頃の俺に聞かせてやりたかった。
「しゃあないな。ここに残って良かった、と一回ぐらいは思わせたるわ」
俺はそこから口利きをして有栖を前線部隊へと所属させて、そのあとは面倒を見る先輩として、そして、今では上司として接することになったんや。
そして、俺は――
「貴方は誰ですか?」
そう聞いてきたのは、問題となったセクハラ被害の件――その被害者である有栖、という女性隊員やった。
当時の印象はやさぐれとったな。
前線部隊に自分を放り込め、と総務と揉めてたわ。総務はこれまでに女性隊員が前線部隊に属した実績がなかったから頭を抱えてたな。いや、寧ろ諦めるように促してたわ。そこに俺が割って入って、二人で話した。
それは佐倉さんにお願いしたこともあったから。
この有栖、という理不尽なことに巻き込まれてしまった彼女の面倒を見させてくれっていうお願いや。
「ここに残ったってことは、お前なりに考えた結果やろ?」
俺は有栖と話した。当時の彼女は濁った眼で、絶望した眼で、疑った眼で俺を睨んどったわ。それもそうやろ。被害にあって、示談。辞めることもできたけど、それでも彼女は残ることを選んだ。生きていく為――というよりは、自分に負けない為、という感じやったな。きっと辞める、という決断は彼女にとって逃げることで、逃げることは負ける、ということやったんやろ。
「理不尽なんて、この先いくらでもあるぞ」
俺は有栖にそう言うた。それでも残るのか、という意味も込めて。
ここで辞めるならそれで良し。それでも有栖は――
「そんなに理不尽がいくらでもあるなら、それに屈する人もたくさんいるんでしょう? だったら、自分が救います。強くなって、強くなって、そんな理不尽なんて――ぶっ潰します」
その言葉は真っ直ぐで、強くて、若い頃の俺に聞かせてやりたかった。
「しゃあないな。ここに残って良かった、と一回ぐらいは思わせたるわ」
俺はそこから口利きをして有栖を前線部隊へと所属させて、そのあとは面倒を見る先輩として、そして、今では上司として接することになったんや。
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