有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』

ぴえ

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第八章_一日前

一色_8-2

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 日付が変わる二時間前――休憩を挟んだ一色は、再びHALビルの前に現れた。周囲を遠目からぐるりと一週し、ビルの電気が消灯していることを確認してから所定の場所へと近づいていく。
 一階の端にある窓――ここは男子トイレの窓だ。昼過ぎに出入りした業者が、トイレを借りて、そのときに窓のカギを開ける算段となっている。一色はその窓のサッシに指を掛けるとゆっくりと力を入れた。
 加減を間違うと大きな音を立てる可能性も懸念されたが、実際は最初は抵抗感を覚えたものの、ゆっくりと動き始め、あとはするすると横へスライドしていった。そのことに安堵する余裕もなく、一色は周囲を確認すると素早くビルの中に侵入した。

 ――さぁ、ここからやな

 後ろ手に窓を閉めて、トイレからゆっくり出ると広がっているのは薄暗い闇だった。一色は少し立ち止まり、眼が暗順応するまで数十秒待つことにした。

 少しずつ眼が慣れると一色は壁に右手を触れさせながら進む。マップは頭の中にあるので、現在地と行くべき場所は解っているが、それでも暗闇と静寂は彼の不安と緊張感を増長させた。

 ――天使は確実にいる。そんで、俺が来ることも予期しているはずや。

 一色は確信していた。ならば、待ち構えて画策しているのが当然だとも考えられる。危険は百も承知の上で、進み、対応しなければならない。

 ――天使を止める。今日で、確実に

 改めて決意を固め、暗闇と静寂をかき分けて進んでいく。
 そして、一色が目的としている場所に行くには一階の広いフロアを横切る必要があった。その為に一歩進んだ、そのときだ。
 ビル内の電気がいきなり点灯し、明るさに慣れていない一色の眼を一瞬眩ませた。しかし、数回の瞬きと瞼を擦ることで少しでも早く視界を慣れさせると状況を確認する。
「やっぱり、そう簡単にはいかんよな」
 そのフロアには足はローラーで、上半身は人のように腕と顔がついたロボットが数体待ち構えていた。手にはスタンロッドを持っていることから戦闘能力の高い警備ロボットのようだ。
 状況の把握を終えた一色は呟く。
「そないに歓迎せんでも良いのに」
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