4 / 10
第一章:これまでのこと。そして、これからのこと
京_1-1
しおりを挟む
「誠……ごめんなさい……」
天使たちの車を追うこともできず、京はハンドルに手をかけたまま力なく俯き、そして、呟いた。
そこに――
うなだれる京の耳に窓を軽く叩く音が二回響いた。絶望の底に沈み切る前だった彼女が油の切れた機械のように顔を上げる。
「えっ――」
そこに立っていたのは見知った男性だった。しかし、何故、この場所に彼がいるのかが京には理解できなかった。ただ絶望に足を踏み入れそうになったところに驚きと困惑の感情が差し込まれたことにより、彼女はそれ以上その先に進むことはなかった。
運転席側の窓を下ろし、車内と外の境界線を無くすと、京はその男性に声をかけた。
「真木くん。どうしてここに?」
そこに立っていたのはかつて京の後輩でもあった真木だった。彼は元警察だ。辞めたのは過去に反保がユースティティアに所属するきっかけとなった事件で一人の警察官が犯人だったから。その責任を負って辞めたことを彼女も知っている。その後の詳細は知らないが元気でやっている、とだけ一色から聞いていた。
「説明はあとで。それよりも行きましょう」
「行くって、何処に?」
「それは道中に説明します。あぁ、当然あの二人も連れて」
真木が立てた親指を横に倒し、車の前方を指した。混乱している京は単純な行動に思考が促され、指先を追って視界をそちらに向ける。
「あっ……」
こぼれた言葉の先は、ただ生存を確認できたことによる安堵によりせき止められた。
京の視界に反保の肩を借りて歩いてくる有栖――二人の部下の姿が映った。
天使たちの車を追うこともできず、京はハンドルに手をかけたまま力なく俯き、そして、呟いた。
そこに――
うなだれる京の耳に窓を軽く叩く音が二回響いた。絶望の底に沈み切る前だった彼女が油の切れた機械のように顔を上げる。
「えっ――」
そこに立っていたのは見知った男性だった。しかし、何故、この場所に彼がいるのかが京には理解できなかった。ただ絶望に足を踏み入れそうになったところに驚きと困惑の感情が差し込まれたことにより、彼女はそれ以上その先に進むことはなかった。
運転席側の窓を下ろし、車内と外の境界線を無くすと、京はその男性に声をかけた。
「真木くん。どうしてここに?」
そこに立っていたのはかつて京の後輩でもあった真木だった。彼は元警察だ。辞めたのは過去に反保がユースティティアに所属するきっかけとなった事件で一人の警察官が犯人だったから。その責任を負って辞めたことを彼女も知っている。その後の詳細は知らないが元気でやっている、とだけ一色から聞いていた。
「説明はあとで。それよりも行きましょう」
「行くって、何処に?」
「それは道中に説明します。あぁ、当然あの二人も連れて」
真木が立てた親指を横に倒し、車の前方を指した。混乱している京は単純な行動に思考が促され、指先を追って視界をそちらに向ける。
「あっ……」
こぼれた言葉の先は、ただ生存を確認できたことによる安堵によりせき止められた。
京の視界に反保の肩を借りて歩いてくる有栖――二人の部下の姿が映った。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる