有栖と奉日本『真夏のモンスター』

ぴえ

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反保_2

反保_2-2

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 降り続ける暴力。耳障りな嘲笑。その中で、反保は何故このような状況になってしまったのか考えようとした。
 しかし、今回ばかりはその反省会は上手くいかなかった。

 ――真面目に働いていたじゃないか。久慈さんだって認めてくれていた。

 拳が顔面に叩きこまれる。視界は少し紅くなった。

 ――一生懸命に働いて何が悪い? 彼等も頑張って働けば良かったんだ。

 蹴りが鳩尾に入る。また紅さが広がる。

 ――ボクはちゃんとやっていた。ボクは頑張って働いていた。ボクは……。

 反保は自身の腰に手を回す。そして――視界が全て紅くなった。

「どうだ? 辞める気になったか、反保!」
「――れ」
「何だ?」
「黙れ」
「――は?」
 そのときだ。反保の腹部を殴った男が自身の手に水気とぬめりを感じ、確認すると――腕はぱっくりと裂けており、そこから夥しい血が吹き出していた。
「何だ、これぇぇぇ!」
「黙れよ」
 反保は腰に隠していたナイフを振り上げ、叫ぶ男の太股に突き刺す。
「痛ぇぇぇ!」
「うるさい、うるさい、うるさい。クケ……散々、『オレ』を殴っといて、反撃されることは考えてなかったのか? 一方的に殴れると安全圏にいるつもりだったのか?」
 そう話す、ナイフを持つ反保を同僚達はまるで化物を見るような目で見ていた。反撃されたこともそうだが、彼等が驚いたのは反保の変貌っぷりだった。
 不気味に笑い、一人称も話し方も違う。そして、何よりも彼の瞳の色だ。紅く、紅く、緋色の一色で染まっている。従来の黒さはどこにも存在していなかった。
「クケケ――さぁ、かかってこいよ。オレと遊ぼうぜ」
 反保はナイフを持ったまま、ゆらり、ゆらり、不規則なリズムで歩き、理不尽な連中へと近づいて行く。


 数分後。

 反保の足下にはナイフで切りつけられ、出血で倒れる同僚達が転がっていた。反保自身も多くの暴力を受けている。しかも、半グレということもあり相手は屈強だったように思うが、結果としてはこれまでと同様だった。
「あーあ、終わった。何もかも」
 現状に絶望するように、反保は天を仰ぐように呟く。そこに、
「勝利の余韻に浸ってるとこ悪いけど、ちょっと話を聞かせてもらえるか? 現状とこれまでについて」
 物陰から一人の男が現れ、近づいて来る。
「警察だ。下手に反抗するなよ、痛い目にあうことになる」
 警察手帳を見せながらその男――飛田はそう言った。
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