有栖と奉日本『真夏のモンスター』

ぴえ

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一色_1

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「間に合って――ないか」
 一色は有栖達がいる現場に息を切らしながら着くと、状況を見てそう言った。
 そこには反保が有栖を担いでおり、警察が一人倒れている異常な状況だった。しかし、ある程度の状況を知っていた一色は優先する行動を解っていた。
「有栖」
 反保に近寄り、抱えられている有栖の様子を確認する。傷を負っているが致命傷ではない。
「この様子なら救急車を呼ぶより、乗ってきた車で直接病院に連れて行った方がええな」
 そう判断すると一色は反保と視線を合わせる。
「運んでくれようとしたんか? ありがと」
「この人の上司ですか?」
「せやで」
「じゃあ……」
「あ、ちょっと待ってな」
 有栖を引き渡そうとする反保を制して、一色は田中へと駆け寄る。そして、後ろ手に手錠を掛けた。
「危険人物は動けんようにしとかなアカンからな」
「知っていたんですね」
「有栖から話は聞いてたからな。ほな、引き取るわ」
 一色が反保から有栖を引き取ると、その振動で彼女は目を覚ました。
「……イチさん」
「大丈夫か?」
「痛いっす」
「自業自得。無茶しすぎ」
「褒めてください」
「良く頑張ったな」
「はい、頑張りました」
 そんな会話を交わしながら、一色は有栖に肩を貸し、彼女は寄りかかるように立つ。二人の様子と会話を聞きながら、反保は少し笑っていた。それに反応し、ユースの二人は彼を見た。
「『ボク』はユースティティアに捕まります」
 二人の視線を受け、反保はそう言った。
「そこまでボコボコにされたのに?」
 一色が少し笑いながら言うと、横で有栖が睨む。反保は穏やかな表情で、
「初めて話を聞いてもらったから、向き合ってもらったから――そっちで捕まりたいです」
 そう話すと両手首をくっつけて突き出す。一色は有栖に視線で合図すると彼女はゆっくりだが、手錠を取り出し、彼の手首に掛ける。カチャリ、とした音にどこか無情さは感じなかった。
「あ、そういえば、スマホ」
 一件落着、と思った矢先に有栖が思い出したかのように、田中へ視線を向けてそう言った。
「あ、それならボクのポケットに」
 反保が無理な体勢でポケットを指さすと、一色が近寄り、中に入っていたスマホを取り出した。
「あの警察のスマホです。気を失っていながらも、うわごとのように呟いていたので必要なのかと」
「ナイス! 助かった!」
 有栖がそう笑顔を向け、場の雰囲気が和やかになったとき――
「待ってください」
 虹河原がそう言って、場に割って入った。
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