有栖と奉日本『ファントムケースに御用心』

ぴえ

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有栖-2

有栖-2-1

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 案件を受けた次の日から有栖は行動を開始し、朝からコーポ松下に訪れていた。昨日の内に管理人には電話で面会の予約を入れておいたので彼女は一階にある管理人室へと向かった。
「さて、管理人室は……あった」
 一階に管理人室があることは知っているが何処にあるかまでは知らない有栖はスチール製の各部屋分設けてある郵便受けを確認する。どうやら101号室らしい。
 直方体の建物の出入口付近には郵便受けと階段、反対側に各部屋があり茶色いドアが等間隔で並ぶ。エレベーターはなし。白い壁にコンクリートの灰色の地面。この全く同じ光景が三階まで並ぶのだろう。
 有栖は階段から一番近い部屋に近付く。表札には管理人室、と書かれていることを確認してから彼女はインターホンを押そうと手を伸ばす。
「カメラ付きなんだ」
 壁にくっつくように備え付けられた黒いインターホンはカメラ付きだった。外観から設備等は安価のものが付けられていると勝手に想像していたので、彼女は少し意外に感じた。
「まぁ、最近は物騒だし、住宅事情も色々あるのかも」
 そう呟いて、彼女はインターホンを押す。暫しの間のあと、
『はい』
 と、スピーカーから男性の声が聞こえた。
「ユースティティアの有栖です」
『あぁ、はい。今、行きます』
 そう言われたあと、再び間が生まれる。しかし、足音が近づき、止まり、ガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえた。そして、ドアが開く。
「お待たせしました。今日はありがとうございます。管理人の松下優也(まつしたゆうや)です」
 有栖の前に現れたのは、二十代半ばの細身の青年だった。身長は有栖と同等で男性にしては低く、特徴のない黒髪で長さも普通。二重の瞳は視線が合うと少し戸惑ったように揺れて、逸れる。気弱そうな男――それが有栖の第一印象だった。
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