隠蔽の末に

斉藤楓

文字の大きさ
上 下
6 / 9

5.小百合と香苗の出会い

しおりを挟む
翌日二人は勤務である。張り込みはどうやら立ち消えになってしまったようだ。
特に事件が起きたわけでもない平和な日である。二人が所属の署の管轄は他の地域と違って比較的事件が少ない平和な地域である。

二人は午前8時に出勤して書類を書いていた。山ほど書類がある。そして二人のパトロールの時間が来た。
二人は覆面パトカーに乗って巡回を始めた。依子が運転をして小百合が目を光らせる。
そして特に何もなくパトロールは終わる。

その日は事件も特になく勤務時間を終える。

小:あーーーーっ!今日も書類だけで終わったねぇ!

依:ですねー!あーあ、今日は何もなかったですねー・・・

小:そうだねぇ、でもそれだけ平和だってことだから我々の出番は少ないに越したことはないのよ

依:そうですね!あはははははは、じゃぁ 帰りましょうか!お疲れ様です!

小:お疲れさまー!

退勤する職員はどんどん帰っていった。
二人は軽くお茶だけしようということになってそれで帰ることにする。
そして二人はコーヒーだけを飲み干すと帰路に就いた。そして珍しく近所でスーパーによって帰ろうと思い立ち寄ってみる。

すると小百合好みの女性がいた。スレンダーで知的な感じが漂う小柄で綺麗な黒髪が長い女性だった、顔も小百合の好みにドンピシャだった。
小百合は思わず見とれてしまった。
そして小百合は後をこっそりとつけてみた、この人は何を買うのだろう・・・
そうやってることはまるでストーカーである。小百合はもっと顔を見せてと思いながらちらちらと機会をうかがう。
が、とんでもない所を見てしまった。彼女は自分のカバンに日用品のようなものを入れてしまったのである。

小:はっ・・・、見てしまった・・・・

小百合は思わず陳列棚の陰に隠れそのままレジで会計を済ませ店を出た。
そして小百合は何を思ったのか現行犯逮捕しなかった。
いや、小百合はなぜかできなかったのだ。自分の職務を自問し再確認し、してはならないことをしてしまった、という後悔で少しの間声が出なくなった。
そして小百合は彼女の後を追うことにした。
彼女は人気のない公園に入っていった。どうやら通り道らしい、こんな人気のない公園をか弱そうな女性が通るなんて・・・怖くないのだろうか・・・

小:あの・・・

女:はっ!!はいっ!!すいませんでした!!!で、で、出来心で!!

小:(そ、そうだ、万引きしてたんだ)え、ええ、見たわよ。

女:お、お願い・・・黙ってて・・・

小:・・・・・いいわ。ただし条件があるわ。きっと容易い事よ。

女:じょ、条件・・・

小:あなた・・・私好みだから・・・私と付き合って、もちろん表立ってじゃなくね、あなた主婦?

女:え、ええ・・・

小:じゃあ、内緒の関係で、連絡先と名前教えて?

女:丸進・・・香苗・・・

小:そう、可愛い名前ね、かなって呼ぶわね、私は小百合。さゆって呼んで?

香:え、ええ・・・

そう言うと小百合は香苗の腰に手を回し引き寄せてキスをした。

小:ちゅ・・・んんん・・・んぐんぐ。。。んんん

香:んっ!・・・んん・・・んんんん・・・んんん

小:ここの公園は夜物騒なのよ、私が近くまで送ってあげる。

香:う、うん



小百合は自分のしていることが犯罪だと認識していたので敢えて警官だということは伏せた、と同時に取り返しのつかないことに手を出してしまったと少し後悔していた。
しおりを挟む

処理中です...