隠蔽の末に

斉藤楓

文字の大きさ
上 下
7 / 9

6.香苗の決意

しおりを挟む
香苗は大いに後悔した。
油断した・・・出来心とはいえ警戒心もなく何てことしてしまったんだろう・・・
それにしてもなんで見つかったんだろう・・・
もしかしてこの女、心得があるのではないだろうか・・・
そんな事を考えながら家の近所まで送ってもらったのである。
香苗は家の玄関を開けると夫の秋明が心配そうな顔で出迎えた。

秋:香苗!大丈夫だったか??遅いから心配したよ・・・

香:あ、うん、ごめんね。買い物に夢中になっちゃって・・・

秋:ならよかった・・・電話しても出ないし探しに行こうかと思っていたとこだよ。

香:(しまった・・・サイレントにしたままだった・・・)

香苗が通信アプリを開いたら小百合からメッセージが来ていた。
小:「お互いに秘密があるようだからそこは詮索しないことにしましょ、それはさておいても私はかなのことが本当に好きだわ。すごく好みにハマってるの。なんというか今までにここまで抑えが効かないほど好きになったことは今までないの。好きよ。」

香:「そうなのね、私は・・・好きかまだ自分ではわからないけど・・・ごめんね。好きになれるといいな。」

その通信だけで会話は終わった。香苗はばらされないようにしばらくは付き合っているしかないと思った。

小百合は何かが腑に落ちないと思っていた。なぜかはわからなかった。
しかしなんとなく違和感が感じられた。

香苗は思った、しばらくおとなしくしていよう、と。
しおりを挟む

処理中です...