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ドレスとスカート
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『ねえ、もしもあたしが、パフスリープを着て、ハイヒールを履いていたらどう思う? きっと貴方は「似合わねぇ」と言うかも、でもね、それよりもね、本当は本当のあたしを見てほしいの』漫画のコマで勇気を自分も出そうと思った、それはよくあること。漫画には 背中を押してくれる力がある。
でも、現実はといえば……こういう突拍子のない漠然とおこした行動力に貴方は幻滅する……。
きっとたぶん、女の子の気持ちなんて、男の子には理解できないでいるんだと、想像するしか、彼女には分かりませんでした。
けれども、怖じけず、行動に出るのも今時です。
だって、ここまで来たのだから。
電車を乗り継ぎ、県外で、試合と交流戦でしか会えなかったのに……なんの繋がりもなくなってしまったとたんに、何もかも無くなってしまうなんて、あり得ないから、それが行動力なのです。
だけれど、今玄関先で気がついて何も考えていなかったとっさの判断力と決断力に彼女は自分の行動におびえてしまったのです。
家の前の門扉まで来て、あとはチャイムを押す前に、相手が居なかったときの悲しさ、居たときに「何、誰、どう言うこと」のあの声で否定されてしまうのではないかという想像の悲しみにとらわれたのです。
「どうしよう」
せっかく来たのだから。は、とうとう、せっかくお金をはたいて来たのに涙にくれて帰る時刻表を検索しようと鞄を探って、大好きな台詞のあった漫画のひとこまを思い出したのです。
「マイ? 家の前まで来たんだ、どうしたの? 家出」
「は、するか、バカじゃねぇの」
「だろうね、君はそういう子じゃない。でも夕暮れになるよ、山の影になったらここら辺は突然真っ暗になる土地だからね」
背筋の延びた子は凛々しく美しいと思いましたが、血だらけになった親指の足の擦り傷に、もう一人の男の人にすぐに気がつかれました。
「で、なんで泣くのさ」
「あんたがちっちゃいからだよ」
「背はすぐには伸びない」
「早く追い越せ! 」
「そういう無理なことを」
「あんたが、辞めちゃうから、突然、大会とか見かけなくなったから、もう、あたしのことなんか忘れちゃったと思ったから」
で、ふわふわの王子さまに足の手当てをされ、綺麗な王さまに携帯電話で自宅に電話されて「本人を明日必ず無事にお返しいたします」と、宿泊の詫びと連絡をされるのを見たのです。電話の向こうでは「間違いも何もあってもなくてもいいわよ、護くんなら、うふふふ」
という、母親の気持ちの悪い笑い声が聞こえてきてマイは素に戻りました。
「この漫画の(ちかちゃんの)ファンなんだ」は、ふわふわのあたまの王子さまが「高校時代の同級生だったんだよ」なんて笑いながら「原因はあれだったけれど、友だちが誉めらるって嬉しいね」と、お別れをいい、夜の帰り際にさらりと護の唇にキスをする慣れた人だったので、マイは完全に外国暮らしの長い人の文化だとぼんやりのぼせた頭で思ったのです。その後、別の場所で完全変異させられて女子力を全開にした護にマイは打ちのめされる話はまた別の機会で。
でも、現実はといえば……こういう突拍子のない漠然とおこした行動力に貴方は幻滅する……。
きっとたぶん、女の子の気持ちなんて、男の子には理解できないでいるんだと、想像するしか、彼女には分かりませんでした。
けれども、怖じけず、行動に出るのも今時です。
だって、ここまで来たのだから。
電車を乗り継ぎ、県外で、試合と交流戦でしか会えなかったのに……なんの繋がりもなくなってしまったとたんに、何もかも無くなってしまうなんて、あり得ないから、それが行動力なのです。
だけれど、今玄関先で気がついて何も考えていなかったとっさの判断力と決断力に彼女は自分の行動におびえてしまったのです。
家の前の門扉まで来て、あとはチャイムを押す前に、相手が居なかったときの悲しさ、居たときに「何、誰、どう言うこと」のあの声で否定されてしまうのではないかという想像の悲しみにとらわれたのです。
「どうしよう」
せっかく来たのだから。は、とうとう、せっかくお金をはたいて来たのに涙にくれて帰る時刻表を検索しようと鞄を探って、大好きな台詞のあった漫画のひとこまを思い出したのです。
「マイ? 家の前まで来たんだ、どうしたの? 家出」
「は、するか、バカじゃねぇの」
「だろうね、君はそういう子じゃない。でも夕暮れになるよ、山の影になったらここら辺は突然真っ暗になる土地だからね」
背筋の延びた子は凛々しく美しいと思いましたが、血だらけになった親指の足の擦り傷に、もう一人の男の人にすぐに気がつかれました。
「で、なんで泣くのさ」
「あんたがちっちゃいからだよ」
「背はすぐには伸びない」
「早く追い越せ! 」
「そういう無理なことを」
「あんたが、辞めちゃうから、突然、大会とか見かけなくなったから、もう、あたしのことなんか忘れちゃったと思ったから」
で、ふわふわの王子さまに足の手当てをされ、綺麗な王さまに携帯電話で自宅に電話されて「本人を明日必ず無事にお返しいたします」と、宿泊の詫びと連絡をされるのを見たのです。電話の向こうでは「間違いも何もあってもなくてもいいわよ、護くんなら、うふふふ」
という、母親の気持ちの悪い笑い声が聞こえてきてマイは素に戻りました。
「この漫画の(ちかちゃんの)ファンなんだ」は、ふわふわのあたまの王子さまが「高校時代の同級生だったんだよ」なんて笑いながら「原因はあれだったけれど、友だちが誉めらるって嬉しいね」と、お別れをいい、夜の帰り際にさらりと護の唇にキスをする慣れた人だったので、マイは完全に外国暮らしの長い人の文化だとぼんやりのぼせた頭で思ったのです。その後、別の場所で完全変異させられて女子力を全開にした護にマイは打ちのめされる話はまた別の機会で。
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