もんもんと汗

ふしきの

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ケケケ

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 センセは、目を閉じるのが嫌いだ。だから、いつも床屋で髭さえ剃ってもらうのを断る。おかげで、たいていぷんすかと、怒っては、「今日も職質されてしまった」と、小声で言うのです。
「名刺に文豪とか書いちゃえば」って言えば、「議員先生みたいな気持ち悪さがあるから、嫌」ってまたとんがって言っちゃうので、実は、名刺にもことを欠くほどあまり景気がいいわけじゃないのを知っているから、本日も清掃作業と、紛失物の捜索事案やら、迷いネコの張り紙を手書きと色鉛筆で仕上げて、いたわけです。

「煙の向こうの踊り子を見た青年が笑ったのは、やっぱりおっぱいじゃなくて、ちん毛のほうでしょ」
「え」
「確認、この前センセは、銀幕を観に行ったと言われたし、映像はどうかなと」
「湯気で見えなかったよ。観客はたいそうがっかりした様子が見ものだったからそれを思い出すだけでも、つまみにことをかかないので酒が進むよ」 
「お酒はええです!」
「じゃ、お勧めの潮騒は?」
「ワタシは観てないから」
「梯子する癖に」
「梯子酒をするときもあれば、はしごで映画を見ないときもある」
「青いサンゴ礁ナイトショーまで観ようとして追い出された感じですか。それはいいですが、潮騒って焚火を越えてこい、カモン、OKだから相互合意が成り立ちますよね」
「火の勢いにもよる、っていうかそこ凝視するね」
「映画ですもん」
「ワタシ、褌も付け方知らないから…褌の乾きにもよるっていうか、火傷が怖い」
「球よりもちんげが燃えるのが怖いのですね」
「火は愛でるものでありたいです。火遊びはなにもかもよくありませんよ、特に深夜の尿意が心配になります」
 すぐにはぐらかそうとされた。

「ですが、眉毛は揃えたほうがいいです、本日は写真者とか来るのですから、っていうか、ご祝儀とかきちんとしてますか」
「懐具合でお前はいいって怒られまして」
「なら一筆、何でも言うことを(き)聴く権利の金券でも作られたらどうです」
「聴くだけなら」
「そうです、聴くだけでいいんですよ、文豪らしくておシャンティ、はい、デキました、ほらね、鼻毛切りだとさきっぽは丸いし、目を開けても鋏は怖くないでしょ、眉もそろってしゃんとしてる」
「ああ、きみのがさつさにたまに、救われるわ」
「ほくろ毛と、おっぱいの福毛どっちをピンセットでちぎったら痛いですか」
「お釈迦様の白毫とおなじ大事なものなの」
「おっさんのそういう大事な毛は、全然白くないじゃん! 」
「右回り…そういえば少ない」
「あ、センセ、昼間っから下ネタ言っている、下品、うわ、引くわ、下品だわ」
「何言わせているんですか、つむじのことですよ、けっして、おちんちんの曲がり具合のことをかけて、超人を超えるむつかしさをかけているわけじゃないんですよ」
 そう言って言葉を正してくれたので、前の日から干してあるしゃんとした着物を着た先生は、ひきつった顔がやっと笑えるようになったので、懇親会という名前の婚礼会場に歩いて向かったのでした。


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