もんもんと汗

ふしきの

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新章

ダムに沈んだ町

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二人のおっさんが、屋形舞台でけんかをしていました。
ひとりは、謡曲の大家で、もう一人は、町出身のオペラ歌手らしいです。
口喧嘩から、つかみ合いの喧嘩となり、最後に二人ともが同時に悲鳴を上げて、とぽんと何かが落ちた湖畔を見つめて呆然となっていたのです。

ちょうど、自警団のあいつらと、わたしとセンセが対岸から見ていました。
その日の夜、ダムの30周年記念式典で納涼祭が行われるとのことで、自警団は、その下準備、わたしはセンセがトウモロコシの焼いたものを食べさせてくれるとの誘いで露天商が開く、早めについたばかりでした。
「ああ、ワタシの先代から受け継いだバチが」
「ワタシは、親の代から相続していたブローチが」
とのわめき声、は、『そんなもん、買いなおせ!』が子どもの意見でしたが、彼らは苦悶の顔で頑として首を縦には振ってくれませんでした。わがままな大人とは、ゆうことをきかない赤んぼよりしまつが悪いものです。
わたしは、センセが勝手に足にどこから拾ってきたのか縄紐を括りつけられ、『俺はもと、この村の出なんだ。水深や村の間隔は何度も潜って知っている』との大人に怒られる前に、さっさと準備で下着一枚でとぼんと、水に入っていったのです。
「わたしは一分ちょっと」
「俺は、ギリ、一分半ってところ」
「じゃ、何かあったら即示すこと、それと時間を超えたら即引き上げますよ」
との約束をもって、潜っていったのです。
白のバチも、光るブローチも水深が深くなれば、光が弱く反射しにくく、確実に見つけにくいと思われましたが、わたしたちは、同時に落ちたときの光景を観ていたので、重さと流れをくみしてもまだ日が落ちる前だったので簡単に見つけることができました。
半泣きの大人たちはわたしをもちあげ、ありがとうを繰り返し、大人二人は仲良くなりました。
「で、なんで、肺活量の大きいあなた方が行かないのです」
と、大人たちは変な顔をしていました。

「もう一度潜って良い?」
わたしは少しばかりその子の故郷の朽ちた村や風化した建築物の何とも言えない悲しみにこころをひかれましたが、それは許可が下りませんでした。
「少しばかり、水を飲んだ」
「ダムだから水道水になるんじゃないの」
「馬鹿かお前!」
半泣きの子が私に元気よく怒鳴って怒ってきたのでわたしもすぐ、服を着て退散することにしました。



その日の夜の湖畔は、手拍子と歌声が響き渡りました。
屋台は海から海女さんがとったハマグリやらサザエやら、山から獲れたの川魚も焼かれていました。
「センセは川魚食べないの」
「ワタシはそんなに好きと違うから」
「そ」
醤油で焼かれたトウモロコシは、歯に挟まって何日も取るのに難儀をしました。
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