異世界転生した僕の料理は異世界人の胃袋を掴む

arata

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気が付くと僕はベンチに座っていた。

「一体何処なんだ?」

周りを見渡すと中世のヨーロッパの様な街並みで、歩く人もコスプレでもしてるのかと言わんばかりの格好のみ。
騎士なのか立派な鎧を着てる人や、猫ミミや犬ミミ等の獣人。

僕は只々と唖然としている。
瞼を擦っても、頬を抓ってみても目が覚めない。

これは夢じゃない!?

「でも確か……」

僕は大型トラックと交通事故に遭ったはず。
もしかしたら天国なのか?
それとも……

「異世界転生!?」

◇◇◇

街中を歩いてみて分かった事がある。
まずお店や屋台の看板等文字が読めるのだ。
人々の話声も何故か日本語なのである。

「安いよ!安いよ! 産地直送の野菜だから見てってくれ!」

「もう少し安くならない?」

八百屋の店主とお客さんとの会話だ。
獣人の店主も金髪奥様も流暢な日本語を話すから違和感を感じてしまう。

それともうひとつ。

殆どの人が剣や斧、盾等の様々な武器を所持している。
もしかしたら魔法とかも使える世界なのかも知れない。

片手を広げ試しに魔法を使ってみる。
まず炎が手から出るイメージをしながら。

「炎よ出て来い」

しかし何時まで立っても手から炎なんか出て来ない。
もちろん呪文が間違っているかも知れないし、まだ魔法が存在する世界かも分からないから特にそこまで落ち込む事は無かった。

「それよりこれからどうしようかな……」

見知らぬ土地だから住む場所も無ければお金も無い。
暫く歩いていると気になる看板が目に入った。


"働く仲間募集中! 住み込み可"

其処は飲食店の看板みたいだった。

「飲食店なら僕でも出来るかも知れない」

ドアを開けて店内を見渡す。
日本にもありそうな"お洒落なカフェ"がピッタリ合う内装で、白を基調とした明るく爽やかな雰囲気を出している。
テーブル席は4つカウンター席6つと案外広い間取りだった。

「いらっしゃい! 初めて来るお客さんかな?」

声を掛けて来たのはちょっと小太りな40代前半くらいの男性。
にこやかに話す様子は人の良さが滲み出ている。

「すみません。 お店の前の募集を見て伺ったんですけど……」 

「あぁ~助かるよ! まず簡単な面接からでいいかな?」

そういえばこの世界に履歴書は必要なのかな?
そんな事を思いながらカウンターの席に座る。

「まず仕事はキッチンとホールどっちがいいかな? 希望があれば優先したいのだけど」

「希望ならばキッチンの仕事がしたいです!」

店主はメモ用紙にすらすら書いていく。

「そういえばまだ名前を聞いて無かったね!
私はヒューイ。
このお店の店長をしているよ」

「僕は恵といいます」

「ケイ? この辺じゃあまり聞かない名前だね」

そんな会話をしながら僕が座っているカウンターの前に珈琲が置かれる。

「これは……?」

「ん? 珈琲だけど飲んだ事ないのかな?」

「いえ、あります」

物は試しと珈琲を口にする。
ほんのり苦い味がする中でドコか優しい風味を感じた。

「美味しいです」

「そりゃ良かった! 珈琲の味はどのお店にも負けないと自負しているからね!」

ヒューイさんが嬉しそうに明るく答える。

「後は住み込みで働かせて貰いたいのですが……」

「構わないよ! 2階の部屋だから後で案内しよう!」

ヒューイさんの口振りからして僕は面接に受かったのかな?

「採用はほぼ決まりかな! 
キッチン志望って事だけど経験があるの?」

「一応実家が飲食店でお手伝いで働いてました。
他の飲食店でも働いていた経験はあります。」

「経験があるのはありがたいね!
じゃあ早速何か作って貰おうかな」

そう言ってヒューイさんがメニュー表を持って来て僕は目を通した。
だがやはり異世界。
メニューに載っている料理名にピンと来ないのだ。

例えば。
"大根とキュウリの味噌塩炒め"
"牛肉とカボチャのケチャップ煮"
"フルーツ仕立ての豚骨醤油スープ"


想像するだけで不味そうだった……


感想 1

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