異世界転生した僕の料理は異世界人の胃袋を掴む

arata

文字の大きさ
3 / 33

3


想像するだけで不味そうなメニュー表に目を通し終わった後。

「ここのメニュー表にない料理を作っても問題ないですか?」

「もちろん問題ないよ! どんな料理が出来るのか楽しみだ!」

そう言いながらヒューイさんはエプロンを取り出して渡して来た。
僕は手洗いをして冷蔵庫を見る。
因みに蛇口を撚るタイプの水道だった。

冷蔵庫は日本の物と外見は一緒であった。
ただコンセントが見かけない為構造は違うのかも知れない。

中に入っている食材を確認すると日本で見た事のある食材ばかりで安心した。

まずは和食でも作ろうかと" 肉じゃが"の材料を取り出していく。

「このお肉は牛肉で合ってます?」

「ああそうだよ。 好きなだけ使ってみてくれ」

「ありがとうございます。 調味料も使いますね」

まずジャガイモを一口サイズに切っていく。
人参と玉ねぎも同様に施していった。

醤油と砂糖、料理酒を少し絡めながら牛肉を炒めていると、牛肉の焼ける音と醤油の香ばしい香りが当たりに広がり食欲くすぐる。
火が通ってきたら一旦皿に移していく。

「あれ、野菜とは別に炒めるのかい?」

「まずは別々に炒めた後は"煮る"ですね」

「煮る? スープでも作るのかな?」

「スープではなく煮物を作るんですよ」

そんな会話をしながら鍋に野菜を入れていく。
こちらも炒めながら醤油や砂糖、料理酒を投入していった。

「良し! 軽く火も通ったから蓋をして弱火にします」

「随分手間の掛かる料理なんだね」

「時間を置いた方が味が染み込んで美味しくなるんですよ」

「味が染み込む? そんな言葉聞いた事ないよ」

この世界の住民は料理に関して知識があまり詳しくないのかも知れない。
先程から不思議な顔をしながら僕の手元を覗いていた。

体感15分くらい弱火で煮込んだらみりんを入れて馴染ませていく。
最後に牛肉を戻し蓋をして温めていった。

「これで一応完成です。 試食をどうぞ」

「こんな料理見た事がない! 食べるのが楽しみで仕方ないよ!」

お皿に盛り付けてカウンターのテーブルに持ってくる。
今の時間はお客さんが少ないのか誰も居ないのでヒューイさんと共に席に座った。

「では早速……いただきます」

「どうぞ召し上がってください」

パクッと一口食べるとヒューイさんは驚愕の顔をしながら目を見開いた。

「な、何だこれは!? これが美味しい料理ってやつなのか!?」

「お気に召しましたか?」

「こんな料理を食べられて幸せだ……」

ヒューイさんは涙を目に溜めてウルウルした瞳を見せる。

「ケイ君は天才だ! 是非ウチで雇わせてくれ!」

その言葉に肩の荷が降りたのか、緊張した気持ちが和らいでいく。

「ありがとうございます! よろしくお願いします」

僕は満面の笑みでそう答えた。

◇◇◇

王族が住まう城の中。
メガネを掛けた黒髪の執事と赤髪の執事が話していた。

「最近アレン様の笑顔を見た事がない……」

悲痛な顔をしながらメガネを外して目頭を抑えて口を開く。

「まあ父親が亡くなったら誰でも暫くは笑顔になれないもんすよ」

赤髪の執事も顔に陰を作り、食器を洗いながら答えた。

「俺に出来る事はないだろうか?」

「俺達はアレン様を側で支えるくらいしか出来ないんじゃないすか? もしやって欲しい事があったら言ってくれるっすよ」

「そうだろうか……」

幼い頃から執事として王族に仕えていた黒髪執事は何も出来ない悔しさやに押し潰されそうな気がしていた。

「俺達がそんな暗い顔してどうするんすか? せめてアレン様の前ではいつもの仏頂面を見せてくださいよ!」

いつも陽気な赤髪の執事は場を和ませる為に冗談混じりの会話を広げていくのであった。
感想 1

あなたにおすすめの小説

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)