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想像するだけで不味そうなメニュー表に目を通し終わった後。
「ここのメニュー表にない料理を作っても問題ないですか?」
「もちろん問題ないよ! どんな料理が出来るのか楽しみだ!」
そう言いながらヒューイさんはエプロンを取り出して渡して来た。
僕は手洗いをして冷蔵庫を見る。
因みに蛇口を撚るタイプの水道だった。
冷蔵庫は日本の物と外見は一緒であった。
ただコンセントが見かけない為構造は違うのかも知れない。
中に入っている食材を確認すると日本で見た事のある食材ばかりで安心した。
まずは和食でも作ろうかと" 肉じゃが"の材料を取り出していく。
「このお肉は牛肉で合ってます?」
「ああそうだよ。 好きなだけ使ってみてくれ」
「ありがとうございます。 調味料も使いますね」
まずジャガイモを一口サイズに切っていく。
人参と玉ねぎも同様に施していった。
醤油と砂糖、料理酒を少し絡めながら牛肉を炒めていると、牛肉の焼ける音と醤油の香ばしい香りが当たりに広がり食欲くすぐる。
火が通ってきたら一旦皿に移していく。
「あれ、野菜とは別に炒めるのかい?」
「まずは別々に炒めた後は"煮る"ですね」
「煮る? スープでも作るのかな?」
「スープではなく煮物を作るんですよ」
そんな会話をしながら鍋に野菜を入れていく。
こちらも炒めながら醤油や砂糖、料理酒を投入していった。
「良し! 軽く火も通ったから蓋をして弱火にします」
「随分手間の掛かる料理なんだね」
「時間を置いた方が味が染み込んで美味しくなるんですよ」
「味が染み込む? そんな言葉聞いた事ないよ」
この世界の住民は料理に関して知識があまり詳しくないのかも知れない。
先程から不思議な顔をしながら僕の手元を覗いていた。
体感15分くらい弱火で煮込んだらみりんを入れて馴染ませていく。
最後に牛肉を戻し蓋をして温めていった。
「これで一応完成です。 試食をどうぞ」
「こんな料理見た事がない! 食べるのが楽しみで仕方ないよ!」
お皿に盛り付けてカウンターのテーブルに持ってくる。
今の時間はお客さんが少ないのか誰も居ないのでヒューイさんと共に席に座った。
「では早速……いただきます」
「どうぞ召し上がってください」
パクッと一口食べるとヒューイさんは驚愕の顔をしながら目を見開いた。
「な、何だこれは!? これが美味しい料理ってやつなのか!?」
「お気に召しましたか?」
「こんな料理を食べられて幸せだ……」
ヒューイさんは涙を目に溜めてウルウルした瞳を見せる。
「ケイ君は天才だ! 是非ウチで雇わせてくれ!」
その言葉に肩の荷が降りたのか、緊張した気持ちが和らいでいく。
「ありがとうございます! よろしくお願いします」
僕は満面の笑みでそう答えた。
◇◇◇
王族が住まう城の中。
メガネを掛けた黒髪の執事と赤髪の執事が話していた。
「最近アレン様の笑顔を見た事がない……」
悲痛な顔をしながらメガネを外して目頭を抑えて口を開く。
「まあ父親が亡くなったら誰でも暫くは笑顔になれないもんすよ」
赤髪の執事も顔に陰を作り、食器を洗いながら答えた。
「俺に出来る事はないだろうか?」
「俺達はアレン様を側で支えるくらいしか出来ないんじゃないすか? もしやって欲しい事があったら言ってくれるっすよ」
「そうだろうか……」
幼い頃から執事として王族に仕えていた黒髪執事は何も出来ない悔しさやに押し潰されそうな気がしていた。
「俺達がそんな暗い顔してどうするんすか? せめてアレン様の前ではいつもの仏頂面を見せてくださいよ!」
いつも陽気な赤髪の執事は場を和ませる為に冗談混じりの会話を広げていくのであった。
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