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住み込みで働き初めて一週間が過ぎた。
この世界は地球と全く一緒で、一日24時間で一ヶ月30日、一年は12ヶ月であった。
なので睡眠時間も前と変わらず同じ時間帯に出来たのは"ありがたい"の一言である。
僕が働く事になりこのお店のメニュー表を改善してもらう事にした。
ヒューイさんは料理に関して僕に絶対の信頼を置いている。
今まで出していたメニューを撤廃してまで"美味しい料理"をお店に出したがったのだ。
なので一週間丸々休業にし、その期間徹底的にヒューイさんを鍛えていった。
今ではメニュー表にある料理なら難なく作る事はが出来るだろう。
「さてじゃあ開店するか! 今からお客さんの驚く顔を想像するとニヤニヤが止まらんな!」
「美味しいと喜んで貰える様に頑張りましょう!」
二人で笑顔になりオープンの札を入口に掛ける。
暫くするとお昼の時間になり少しお客さんが入り始めた。
本日のお客さんは珈琲ばかりの注文でまだ料理を提供していない。
逸る気持ちを抑えながら僕とヒューイさんは接客をしていく。
カランカラン
ドアに付けた鈴が鳴り新しいお客さんが入ってくる。
「いらっしゃいませ! あっルーブルさんじゃないですか! 良かったら当店自慢の料理を注文してみませんか?」
常連のお客さんなのかヒューイさんは気さくに話し掛ける。
ルーブルさんは白髪まじりの短髪で50代後半くらいだろうか?
ただしっかりとした足腰で歩いているからもしかしたら元々運動なんかをやっていたのかも知れない。
「ふんっ何処で飯を食べても一緒なんだから屋台で済ませてきた。 ビールを貰えるか?」
この世界は料理に関してほとんど不味い物しかない為、お店で頼むより屋台で買った方が金銭的にお得なのである。
「それより一週間も休業で何処か旅行にでも行っておったのか?」
「いえいえ! 当店のメニュー改善の為に休業を頂いておりました」
「ふむ……」
僕はそんな会話を横目に見ながらコップを洗っていた。
そんな時ふとルーブルさんと目が合う。
「新入りか? えらく若そうだが」
「初めまして! 僕は恵と申します」
「ルーブルさん! ケイは天才だよ!
この子が作る料理はどれも最高に美味しいんだ!」
僕の自己紹介も済んでルーブルさんの正面へいった。
「良かったら少量で何かお作りしましょうか?」
実はこの話は事前にヒューイさんと決めていたのである。
この世界の人はあまりお店で料理を頼まない事は分かっていたので、知り合いの人が来店したら試しに試食をして貰おうと話し合っていたのだ。
「是非何か頼んでみてくださいよ! お代は結構なので」
ヒューイさんが笑顔でメニュー表を持って来ながら話し掛ける。
「ふむ……見た事ない料理名ばかりで何を頼んでいいか分からんのう」
「それでしたら"唐揚げ"なんかはどうですか? 僕の地元ではビールのおつまみに良く合うとされていたんですよね」
「何でも構わん。 腹に入れば一緒だろう」
僕はそれを聞き笑顔で作業に取り掛かる。
まず鍋に油を入れ中温になる様に火を付ける。
試食という事なので調味料に浸した一口サイズの鶏肉を取り出して片栗粉をまぶしていく。
暫く待つといい感じに油が温まって来たので鶏肉を投入した。
バチバチバチと油の跳ねる音が聞こえ周りのお客さんの目も引き寄せている。
調味料にはニンニクや生姜も入れているので店内は食欲を掻き立てる香りが充満していった。
少しだけ揚げ色が付き始めたので一旦取り上げて2分くらい置いておく。
そして火も強火に変更した。
「もう出来たのか?……」
「いえ、これから二度揚げをしますのでもう少々お待ちください」
ルーブルさんは初めて見る料理法に目が点になりながらも質問を問い掛けてきた。
「そろそろかな……」
僕は十分に温まった油に再度唐揚げを入れた。
またもバチバチ鳴る音に周りのお客さんがカウンターの前まで立って覗き込んでくる。
やはりこれは良いデモンストレーションになったであろう。
後は肝心の味をお客さんが満足してくれるかが問題だった。
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