そんなの知りませんけど

Hazuki

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一人?

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「こんにちは、お兄さん一人?」
なんだこいつ?と思いつつ一応返事する。
「一人ですけど」
「ここ座っていい?」
俺は周りを見渡し
「あそこ、空いてますよ」
「あー、違ったか」
「は?誰かと間違えてます?」
「いや、この席のこと知らないみたいだね」
「???」
「この席に一人で座ってる男は、、、誘って貰うのを待ってるって話」
「へっ?そんな話知らないです」
「やっぱ、ここ座らせて、他のヤツが声掛けるかも、いちいち断るのも面倒でしょ」
「はあ、、、」
「たぶん、、、何人か狙ってるよ、君のこと」
「俺ですか?」
「可愛いから、みんな俺に取られたって顔してる、君ノンケでしょ、もうここ座らない方がいいよ」
「ノンケ?」
「あー、ゲイじゃないってこと、女が好きな普通の男ってこと」
「えーと、あなたはゲイなんですか?」
「まっ、そーゆーこと」

「ね、いくつ?」
「個人情報なんで」
「何歳かくらい、良くない?俺は21」
「えっ、一つしか違わないの?もっと年上かと思った」
「へー、二十歳か~、大学生?あ、俺はそこの大学」
「同じ大学?」
「見たこと無かったな、こんなに可愛い子、一度みたら忘れないのに」
「何言ってんだ、、、ってか、つい色々喋っちゃったよー」
「俺、経済学部の三年、よろしく」
「俺は理工学部、、、ってまた言っちゃった」
「だからかー、校舎全然違うもんね」
「でも、どっかで見たような、、、あー、去年のミスター、、、だからイケメンなのか」
「ね、ね、友達にならない?」
「は?いきなり?」
「俺友達少なくてさー、、、小学校からのともだちが一人しかいないんだー」
「嘘っぽい、、、」
「ホントだよー、神田って知ってる?理工学部の」
「神田、、、神田佑人先輩ですか?」
「あ、そうそう、ゆーと、親友だから、聞いてみて」
「あ、えーと?」
「木嶋颯、はやてでいいよ」
「颯、、、さん?さっき話しかけられてゲイをカミングアウトされて友達になる人っています?」
「だよねー、俺さ、高校の時カミングアウトしたら、友達みんないなくなった、ゆーと以外ね、あいつだけは変わらず友達」
「みんなって」
「小、中、高の友達全員、俺別に友達に手は出さないんだけど、なんかそう思われた、俺だって誰でもいいわけじゃないし」
「うーん、神田先輩に聞いてからにします」
「それでもいいから、名前知りたい、連絡先は友達になるまで聞かないから」
「成嶋准」
「オッケー、じゅん、友達になってくれるなら電話くれ」
「えー、面倒」
「まさか、面倒だから友達にならないとか、言わないよな」
「あ、それ名案」
「名案!じゃなーい、もう友達、今から友達、決まり、はい、LINE交換するよー」
なんか、、、強引に友達にさせられた。
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