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第一章 幸せのありか
24 side樹理
しおりを挟む手の中の封筒は……いや、その中身は、ずしりと重い。一体どのくらい入っているのだろう。昔…小学校に上がる前、バブルがはじける前、父が、百万の新札で高さが大体1センチだといっていた。手の中の札束は新札ではないけれど、絶対2センチ以上ある。
改めて哉と自分との金銭感覚に深くて高くて広くて果てしない差があることを思い知らされた。
夕食の買い物の前に寄った本屋で、哉が乗っている車がなんなのか、なんとなく知りたくなって一度も行ったことのない車関係の本が並ぶ棚の前まで行って、外国車専門誌をぱらぱらとめくったら、ちゃんと哉が乗っている車も載っていた。そこに書いてあった値段を見て、樹理はそのまま合掌をするように本を閉じてしまった。
「一年分、なのかな」
だとしても多分使いきれないだろう。
どうがんばっても。
大体使う材料として高価な牛肉や赤身の魚が食べられないのだから。鶏肉と野菜くらいでは、下手をしたら一食単価一人分、五百円以内でおさまってしまうかもしれない。
「いいか、使えなかったら返したらいいんだもの」
樹理はため息をついて、お金をどうするか考え、とりあえずメモをしまった引出しに入れることにした。
この家のセキュリティなら、家に置いておくのが一番安全そうだったから。
哉が風呂から上がる前に料理を温めなおそうと、樹理はまたキッチンに帰った。
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