幸せのありか

神室さち

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学園☆天国

21 side夏清

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「おま、どうしたその格好。それにその顔」

「えーっと、なんて言うか、かくかくしかじか?」

「わかるか」


 やっぱりさすがに無理か。お着替え大会や大捕り物をしていたら、時間はあっという間に過ぎていて、例の踊り場でリナちゃんたちと別れて、リナちゃんに借りたハンカチで顔を冷やしながら部室棟に来てみたら、もう先生たちが居て、開口一番聞かれてしまった。と言うか、押さえていた手をハンカチごとぐいとその手に取られて、さすがにまだ少し赤い部分を見られてしまった。


 しょうがないなぁとか思いながら事情を説明すると、先生がため息をついた。わかってますよ、あきれられるようなことしましたともさ。さすがにあそこを飛んだことはカットですよ。言ったら多分グリグリの刑に処せられるから。


「どうして最初から大人に言わない」

「仕方ないじゃん。確実に見たわけじゃないから、間違ってたら恥ずかしいし。先生がいたらもちろん言ってたよ? って言うか、あの騒ぎ、気づかなかった?」

「ちょっと外に行ってたからな」

 居なかったのを責めるつもりはないから、さらっと言い訳する。


「でもまあいいじゃん。捕まえたし。でも琉伊さんたちとは離れちゃったんだよね。まだ来てないの?」

「ああ、まだだな。それよりこれ」

「なに、これ?」

 手渡されたのは、二つ折りのかわいいイラストが入った和紙とちっちゃい扇子。和紙は、私のが鞠で、樹理ちゃんのが花。


「懐紙と扇子。お茶の道具。一応持っておいた方がいいだろうからさっき買ってきた。その服内ポケットあるか? あったら懐紙はそこに入れとけ。扇子は左側のポケットに入れときゃいいだろ」

「えええ。お抹茶飲むだけじゃないの?」

「ココのお茶会は結構格式ばってるからな。別に難しく考えるな。俺が先に行くから真似してればいい」

「先生、お茶できるの!?」

「飲む方は一応、な。哉は師範免状持ってるぞ」


 自分用なんだろう、私たちのよりは少し大きめの扇子を右手持って、パシパシと左手のひらを打ちながらニヤリと先生が笑う。

 師範? それっておいしいの? じゃなくて、偉いの? 私、茶道なんてこれっぽっちも知らないよ?


「……まあ、見てそのまま真似しろ。先に出る薄いほうのお茶は飲んだことあるだろ? 次に濃いのがでてくるから、飲めそうになかったら飲んだ振りだけして次にまわせ」

 うええええ。断ったらよかったかも。二回も飲むの? それって結構本格的なの? いや、そんなお茶会行ったことないから、わかんないけど。言いだしっぺ、ホントに遅いなぁ 午後二時まであと五分もないよ。

 こもれ日が差し込むテラスみたいな廊下を見渡しても、それらしい人は居ない。と言うか、どうもこの辺りで今日活動しているのは茶道部だけみたいで、かわいい着物姿の女の子や、着物の上に割烹着を羽織った、OGなのかな、お手伝いらしい女性がちらほら居るだけ……

 キョロキョロしてたら、両開きの茶道部室のドアが開いて、中から私たちより前の時間に来ていた人たちが出てきた。狭い靴脱ぎ向こうの襖も開いていて、なんともいえない和のニオイが漏れてきた。


「わぁっ 夏清ちゃんだ。何でこんなとこに居るの?」

 ふんふんそのニオイをかいでいたら、ちょっと低いところからかわいい声がする。見下ろしたら、朱赤の地に細かい花の刺繍がしてある着物っぽいドレスみたいなワンピース姿の逢ちゃんがドレスと同じ色のエナメルのサンダルをつっかけて両手を前に出すようにしてぶんぶん振りながら突撃してきた。

「え? いや、それこっちのセリフなんだけど、なんで逢ちゃんが居るの?」

「お母さんたちがご招待受けてたからついて来たの。まだ中でお師匠さんと話してるよ。あっ! 樹理ちゃんも居るっ!!」


「わぁい、樹理ちゃんだー」

「きゃー」

 真っ赤な逢ちゃんとは対象に、姉妹でおそろいの白いワンピース姿の桜ちゃんと椿ちゃんが、樹理ちゃんに抱きついている。うわぁ いいなあ この絵。


「モテモテだね、樹理ちゃん」


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