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第三部 元悪役令嬢は原作エンドを書きかえる
36 宣戦布告①
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最近、学院には生徒が少ない。残っている生徒も不安そうな目で空を見上げている。
「あれこれ理由をつけて領地に戻ってるんだって~」
「不安なんだろう」
批判的なルカと、ちょっと困ったように笑うレオハルト。
「飛龍を見る機会なんてこの辺じゃ滅多にないからな」
フィンリー様も苦笑している。ここ最近、王都や学園都市の上空に飛龍が度々現れるのだ。ただ旋回してどこかへ飛んで行くも、昨今の国内情勢を考えれば魔力派による差し金と捉える人は多い。大声でルーベル家の悪口を言う者も減った。
そしてそれは王都民も同じ。煌びやかな街が一気に活気を失ってしまっていた。経済的には大きな打撃。だが、少しだけこちらに都合のいいことも。
(時計塔広場もガランとしちゃってるのよね)
あの最終決戦の予定地は、それこそあんな開けた場所で飛龍に狙われたら逃げ場がないと、ほとんど人通りがなくなっていたのだ。通常は賑わいがあるため、アリバラ先生の予知夢では多くの犠牲者が出ていた。
近づいてくる『その日』を、もちろんこの国の偉い人達も感じ取っている。
ランベール王に王都を離れるよう進言した家臣達もいたのだが、
『お前達はこんな時に逃げるような王と共にいたいのか?』
いつもと違う不敵な笑みと、ランベール王らしからぬ心配する家臣に対して、切り捨てるような物言いだった……というのを、私は伯父ルークから聞いていた。
「俺が代わりに残ると言ったんだが……」
最近のレオハルトはなかなか気苦労も多い。ある意味、次の王としての姿も見える。
シャーロット様の願いは王が無事であることだ。だからこそランベール王を王都から遠ざけたいところだが、相手はこの国一番の権力者なので、我々も手をこまねいている。
『この椅子を綺麗にして渡すと言ったはずだ』
やはりこの時も、レオハルトに次の言葉を許すことはなかった。
「レオハルト様がいるだけで陛下も心強いでしょう」
不甲斐なさを感じているレオハルトをジェフリーが励ました。彼は心からそう思っているので、励ましの言葉も受け入れやすい。
「そうなるようさらに気合いを入れなければな」
「そうですよ! 実際問題、陛下に魔力派を近づけたくはありませんからね! 最も陛下の側にいやすいレオハルト様が頼りです! よっ! 次期国王!」
私は私で、レオハルトの気分が上がる言葉を知っている。案の定、私の婚約者殿はニヤリと得意顔だ。
「その期待に応えてみせよう。そろそろカッコいいところを見せなきゃな」
成人しても相変わらず天使のような笑顔。ついつい見惚れそうになるが、そんなことがバレたら調子に乗ることが目に見えているので、
「いざとなれば私が魔力派をギッタンギッタンにして差し上げますから。その辺はご安心くださいね」
しっかり軽口も叩いておく。だが、
「そうか。リディが俺の側にいてくれるなら安心だ」
思わぬ返しに私の方がポカンとしてしまった。なかなか成長してるじゃないか。
◇◇◇
王城の議会室では、王や側近達が集まり大きな楕円形の重厚なテーブルを取り囲んでいた。もちろん議題は魔力派、つまりはルーベル家の処遇についてだ。
「ルーベル伯に対する登城命令はすでに何度も出されたが、伯は応じないどころかなんの返事もよこさないそうじゃないか」
「昨日も王都上空を旋回していた飛龍、ルーベル家の差し金で間違いないと報告が上がってきた」
「先週の飛龍とは違う個体だったということは複数体いるというのは確実……」
「例の廃教会の残骸の調査から、ルーベル伯はかなりの数、改良魔獣を作っていたようだ」
重々しい空気が流れている。同時に、家臣全員が覚悟を決めたように険しい表情だ。
「これで皆、異存はないな」
王のこの一言の後、ついに議会は国王の提案を承認した。ルーベル家の爵位剥奪が決定したのだ。
この決定は、複数の証拠があったから、というだけではない。淡々とルーベル家への討伐軍派遣を決定する王の表情が見たこともないほど生き生きと、こみ上げる笑顔を抑えているのがわかったからだ。
元々ランベール王は自他共に厳しい人柄だったが、ここ最近の王からは感じたことがないほどの燃えるような執念があった。証拠が揃うまで待てただけでも、家臣達は驚きだったのだ。王にはまだギリギリ理性が残っている。
◇◇◇
ルーベル領の領城の周りを、議会の決定後すぐに派遣された討伐軍が取り囲んでいた。ただし、この領城はしばらく前から静まり返っており、すでに抜道でも使って逃げ出したのではないかと王の兵達は訝しんでいる。
「人の気配はないのに、なんだこの妙な空気は」
第五騎士団団長のヘルガ・オルデンはその理由を探すように慎重に周辺の気配を探っていた。
「許可が下りた。門を開けるぞ」
第三騎士団の兵士が門兵もいないルーベル城の門に手をかけると、まるで誰かが見ていたように自動で門が開かれる。そして同時に、
「魔獣だ!!!」
城の中からだけではない、地面からも飢えた魔獣が這い出してきたのだ。
「自領に魔獣を解き放ったのか!!?」
王からの命で、ルーベル領の領民達への危害を禁じられていた兵達は、すでに市街地の市民へ領城周辺の立ち入りを禁じていたが、飛び出してきた魔獣は対人間用に改良を加えられており、兵士達は苦戦を強いられる。市街地へ流れ込む魔獣を倒し、城内の様子を確かめるために兵が分散してしまっていた。
(自領など……国などどうでもいいのだ……)
ヘルガ・オルデンはルーベル伯のことを知っていた。愛想がいいのは上っ面だけ、彼に愛国心など皆無で、ただひたすら刺激を求めていることを。
「城内はダメだ!!」
魔獣を討伐しながら城内へと進んだ兵を引き留めようと大声を出す。ヘルガの勘は当たっていた、それからほんの数秒後、ルーベル城は魔獣も兵士も飲み込みながら轟音と共に崩れていった。
それとほぼ同じ時刻、王都にはここ最近頻繁にあるように、一体の飛龍が舞い込んできた。ただし、いつもと違い低空飛行。さらに首元には何か大きな魔道具がぶら下げてある。
悲鳴と共に逃げる王都の市民達をよそに、飛龍は時計塔の上にゆったりと舞い降りた。
『エルディアの国民よ!! 私はデルトラ・ルーベル! この国を正す者だ!!』
飛竜の首元の魔道具は録音した音声を大音量で流す、いわば拡声器のようなものだった。王都中にデルトラ・ルーベルの声が響き渡る。
『今のエルディア王国の在り方は間違っている!! 血筋や生まれではなく、真に力のある者がこの国を導くべきだ!! 現王は自身に力がないからこそ魔封石を用い、さらに国民の力を――魔力をそごうとしている! なんと消極的な解決方法! 嘆かわしいとは思わんかね!? 国民が再び強大な魔力を持てるよう研究を進めるべきだというのに!! このままではこのこの国は他国に飲み込まれ滅んでしまう!!』
聞いている者もいない者も恐怖で顔が歪んでいた。ルーベル伯の声からは決して怒りを感じなかった。ただ現状が楽しくて仕方がないと、浮かれているような声色だったのだ。
『私が正そう!! そう遠くない未来、我が国は再び世界一の魔術師の大国となるだろう!!』
騎士団の魔術部隊が、飛龍に向かって火炎弾を放った。拡声器は壊れるも、飛龍は何食わぬ顔をして飛び上がる。そして飛龍は確かに笑った。笑う飛龍など誰も知らない。そうしてそれは攻撃してきた魔術師達ではなく、近くにいた弓兵を襲ったのだ。それからしばらく、飛龍はあからさまに魔力量の少ない市民や兵をしつこく狙い、攻撃を繰り返した。なんとか討伐するが、最期に再び不気味な笑みを浮かべ、人間をゾッとさせたのだった。
「あれこれ理由をつけて領地に戻ってるんだって~」
「不安なんだろう」
批判的なルカと、ちょっと困ったように笑うレオハルト。
「飛龍を見る機会なんてこの辺じゃ滅多にないからな」
フィンリー様も苦笑している。ここ最近、王都や学園都市の上空に飛龍が度々現れるのだ。ただ旋回してどこかへ飛んで行くも、昨今の国内情勢を考えれば魔力派による差し金と捉える人は多い。大声でルーベル家の悪口を言う者も減った。
そしてそれは王都民も同じ。煌びやかな街が一気に活気を失ってしまっていた。経済的には大きな打撃。だが、少しだけこちらに都合のいいことも。
(時計塔広場もガランとしちゃってるのよね)
あの最終決戦の予定地は、それこそあんな開けた場所で飛龍に狙われたら逃げ場がないと、ほとんど人通りがなくなっていたのだ。通常は賑わいがあるため、アリバラ先生の予知夢では多くの犠牲者が出ていた。
近づいてくる『その日』を、もちろんこの国の偉い人達も感じ取っている。
ランベール王に王都を離れるよう進言した家臣達もいたのだが、
『お前達はこんな時に逃げるような王と共にいたいのか?』
いつもと違う不敵な笑みと、ランベール王らしからぬ心配する家臣に対して、切り捨てるような物言いだった……というのを、私は伯父ルークから聞いていた。
「俺が代わりに残ると言ったんだが……」
最近のレオハルトはなかなか気苦労も多い。ある意味、次の王としての姿も見える。
シャーロット様の願いは王が無事であることだ。だからこそランベール王を王都から遠ざけたいところだが、相手はこの国一番の権力者なので、我々も手をこまねいている。
『この椅子を綺麗にして渡すと言ったはずだ』
やはりこの時も、レオハルトに次の言葉を許すことはなかった。
「レオハルト様がいるだけで陛下も心強いでしょう」
不甲斐なさを感じているレオハルトをジェフリーが励ました。彼は心からそう思っているので、励ましの言葉も受け入れやすい。
「そうなるようさらに気合いを入れなければな」
「そうですよ! 実際問題、陛下に魔力派を近づけたくはありませんからね! 最も陛下の側にいやすいレオハルト様が頼りです! よっ! 次期国王!」
私は私で、レオハルトの気分が上がる言葉を知っている。案の定、私の婚約者殿はニヤリと得意顔だ。
「その期待に応えてみせよう。そろそろカッコいいところを見せなきゃな」
成人しても相変わらず天使のような笑顔。ついつい見惚れそうになるが、そんなことがバレたら調子に乗ることが目に見えているので、
「いざとなれば私が魔力派をギッタンギッタンにして差し上げますから。その辺はご安心くださいね」
しっかり軽口も叩いておく。だが、
「そうか。リディが俺の側にいてくれるなら安心だ」
思わぬ返しに私の方がポカンとしてしまった。なかなか成長してるじゃないか。
◇◇◇
王城の議会室では、王や側近達が集まり大きな楕円形の重厚なテーブルを取り囲んでいた。もちろん議題は魔力派、つまりはルーベル家の処遇についてだ。
「ルーベル伯に対する登城命令はすでに何度も出されたが、伯は応じないどころかなんの返事もよこさないそうじゃないか」
「昨日も王都上空を旋回していた飛龍、ルーベル家の差し金で間違いないと報告が上がってきた」
「先週の飛龍とは違う個体だったということは複数体いるというのは確実……」
「例の廃教会の残骸の調査から、ルーベル伯はかなりの数、改良魔獣を作っていたようだ」
重々しい空気が流れている。同時に、家臣全員が覚悟を決めたように険しい表情だ。
「これで皆、異存はないな」
王のこの一言の後、ついに議会は国王の提案を承認した。ルーベル家の爵位剥奪が決定したのだ。
この決定は、複数の証拠があったから、というだけではない。淡々とルーベル家への討伐軍派遣を決定する王の表情が見たこともないほど生き生きと、こみ上げる笑顔を抑えているのがわかったからだ。
元々ランベール王は自他共に厳しい人柄だったが、ここ最近の王からは感じたことがないほどの燃えるような執念があった。証拠が揃うまで待てただけでも、家臣達は驚きだったのだ。王にはまだギリギリ理性が残っている。
◇◇◇
ルーベル領の領城の周りを、議会の決定後すぐに派遣された討伐軍が取り囲んでいた。ただし、この領城はしばらく前から静まり返っており、すでに抜道でも使って逃げ出したのではないかと王の兵達は訝しんでいる。
「人の気配はないのに、なんだこの妙な空気は」
第五騎士団団長のヘルガ・オルデンはその理由を探すように慎重に周辺の気配を探っていた。
「許可が下りた。門を開けるぞ」
第三騎士団の兵士が門兵もいないルーベル城の門に手をかけると、まるで誰かが見ていたように自動で門が開かれる。そして同時に、
「魔獣だ!!!」
城の中からだけではない、地面からも飢えた魔獣が這い出してきたのだ。
「自領に魔獣を解き放ったのか!!?」
王からの命で、ルーベル領の領民達への危害を禁じられていた兵達は、すでに市街地の市民へ領城周辺の立ち入りを禁じていたが、飛び出してきた魔獣は対人間用に改良を加えられており、兵士達は苦戦を強いられる。市街地へ流れ込む魔獣を倒し、城内の様子を確かめるために兵が分散してしまっていた。
(自領など……国などどうでもいいのだ……)
ヘルガ・オルデンはルーベル伯のことを知っていた。愛想がいいのは上っ面だけ、彼に愛国心など皆無で、ただひたすら刺激を求めていることを。
「城内はダメだ!!」
魔獣を討伐しながら城内へと進んだ兵を引き留めようと大声を出す。ヘルガの勘は当たっていた、それからほんの数秒後、ルーベル城は魔獣も兵士も飲み込みながら轟音と共に崩れていった。
それとほぼ同じ時刻、王都にはここ最近頻繁にあるように、一体の飛龍が舞い込んできた。ただし、いつもと違い低空飛行。さらに首元には何か大きな魔道具がぶら下げてある。
悲鳴と共に逃げる王都の市民達をよそに、飛龍は時計塔の上にゆったりと舞い降りた。
『エルディアの国民よ!! 私はデルトラ・ルーベル! この国を正す者だ!!』
飛竜の首元の魔道具は録音した音声を大音量で流す、いわば拡声器のようなものだった。王都中にデルトラ・ルーベルの声が響き渡る。
『今のエルディア王国の在り方は間違っている!! 血筋や生まれではなく、真に力のある者がこの国を導くべきだ!! 現王は自身に力がないからこそ魔封石を用い、さらに国民の力を――魔力をそごうとしている! なんと消極的な解決方法! 嘆かわしいとは思わんかね!? 国民が再び強大な魔力を持てるよう研究を進めるべきだというのに!! このままではこのこの国は他国に飲み込まれ滅んでしまう!!』
聞いている者もいない者も恐怖で顔が歪んでいた。ルーベル伯の声からは決して怒りを感じなかった。ただ現状が楽しくて仕方がないと、浮かれているような声色だったのだ。
『私が正そう!! そう遠くない未来、我が国は再び世界一の魔術師の大国となるだろう!!』
騎士団の魔術部隊が、飛龍に向かって火炎弾を放った。拡声器は壊れるも、飛龍は何食わぬ顔をして飛び上がる。そして飛龍は確かに笑った。笑う飛龍など誰も知らない。そうしてそれは攻撃してきた魔術師達ではなく、近くにいた弓兵を襲ったのだ。それからしばらく、飛龍はあからさまに魔力量の少ない市民や兵をしつこく狙い、攻撃を繰り返した。なんとか討伐するが、最期に再び不気味な笑みを浮かべ、人間をゾッとさせたのだった。
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