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第三部 元悪役令嬢は原作エンドを書きかえる
4 聖女のお仕事
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特殊魔法である治癒魔法が使える者は、成人後その能力の測るために教会へ赴きその力を聖女の前で披露した。一応『選定会』と銘打っている。
現聖女が亡くなる、もしくは引退後に備えて次期聖女、もしくは聖人の後継者を決める必要があるからだ。簡単に言うと適性検査なのだ。聖女になれるかどうかの。
とはいえ実際のところはただのパフォーマンス。歴代の聖女達のほとんどがカルヴィナ家、ルーベル家、そして我がフローレス家の親類だ。これまでは。
この選定会、治癒魔法が使える者は誰でも見学可能。というわけで、
(滅茶苦茶見に来てるわね~)
見世物じゃねーぞ、と言いたいところだが、実際見世物だ。
今日のこの集まりは例年にない人だかりだ、と噂する声が聞えたので、どうやら注目を集めた年であることがわかる。
(本当は半年前のイベントだったんだけど)
王宮の襲撃事件や王の外遊等イレギュラーなことが相次いでしまい、我々の代は今日まで延期されていた。
「このイベントってあたしすごーい! って対外的に見せつける話だったよね」
「そうそう。現聖女様に認められるってやつ」
世間的に見て、どの家名にも関わりのない平民アイリス・ディーバの登場というわけだ。
原作ではこういう風に小出しにして、アイリスの能力の高さが貴族にも平民にも広まっていくのだが、現時点でアイリスのすごさは学園を中心に広まっている。そもそも入学前から治癒魔法と防御魔法の修行はガチった、という話なので当たり前かもしれないが。
「聖女様ってフローレス家なのにリディアナの親戚っぽくないイメージだったけど、実際はどうなの?」
リリー叔母様はリディアナの敵になることはないが、原作ではアイリスとレオハルトが結ばれるよう応援していた。王にもそれとなく進言するシーンもある。
(原作の私には王妃になる必要なんてないのよ……って言ってたけど……)
姪っ子の悪い噂を聞いて……というよりも、母親を死に追いやった王家や第二側妃への復讐をも目論んでいるのではという心配があったような描写だった。
「小さい頃はアグレッシブなお母様とはタイプが違うな~と思ってたけど、今は血の繋がりってバカにできないと思ってる」
「そういえばルーク様もアグレッシブタイプだもんね~」
儚げな印象のある叔母だが、実際は母や伯父に負けない体力モンスター。常に忙しそうだ。
「それで。今回はまだ身元を伏せるってことでいいの……?」
「うん。今は追加で心配させたくないし。王様も忙しそうじゃん?」
「でも……」
「あたしの方は心配しないで! リディアナの奨学金のお陰でアランと学生生活だよ~毎日めっちゃくちゃ楽しいんだから!」
とびっきりのヒロインスマイル。私の不安や罪悪感をかき消そうとしてくれている。
「それにさ。原作と違う大きな事件が二つとも解決してないじゃん? ちょっと慎重にいこうかなって」
レヴィリオに魔力増強剤を渡した女も、王宮の襲撃事件の犯人も捕まっていない。未来を変える動きをすることで、さらなる変化や混乱を避けたいのだと。
「別に急いでないしね~」
アイリスの祖先とレオハルトの祖先は遥か昔に約束をしていた。この国が危機に瀕した時、必ずまた助けにやってくると。
つまり、現状アイリスが身元を明かすと、この国ピンチですよ! と言うようなものだのだ。
(王宮の襲撃事件がなければオープンにしたかったんじゃないかな……)
アイリスは聖女となってアランとこの国を守っていきたいと思ってくれている。早いうちから未来の聖女としての足場固めをしたいはずだ。厄災の令嬢を倒すことなく問題なしにその地位を得るために。
アイリス曰く、この『約束』を知っているのは極一部。王と聖女とその周辺くらい。何も事件が起こらなければ、この『約束』を抜きにして外の世界にやってきた『初代聖女の末裔』デス! というスタンスでいくつもりだったはずだ。だが、
(ピンチの原因、私だもんな~……)
人々は王宮の襲撃の犯人はまだ捕まっていないことをもちろん覚えている。いつかのルイーゼと同じようになんらかの『厄災』がこの国に迫っていると判断されかねない。というかされる。それも偉い人に。なんたってルイーゼの前例がすでにあり、さらに初代聖女の末裔まで登場となると……。
うーむ。なかなか都合よくいかないものだ。
「……王宮の事件……リディアナ派が疑われてるってマジ?」
やっぱり気にしてくれていたか。
「ほんの一部よ。あれで評価爆上がりしたのはウチだしね。母も伯父もガッツリ自分の夢のためにお金出してもらってるし。誰に利がある事件だったか……って考えるとさ」
その噂が出回っている中で、またなにか事件でもあったら……。アイリスの慎重な対応に感謝しなければ。
◇◇◇
選定会はつつがなく終了した。当初の予定通り、アイリスすごーい! が周知でき、私は家名に泥を塗ることなく『流石フローレス家!』という評価を得ている。
「どう鍛錬したら植物にまで効果を広げられるんだ?」
「平民なのが惜しい。いっそどこかの養子入れたらいいんじゃないか?」
「いやはや。リディアナ様は全ての魔術に長けているとは本当でしたな」
「ルカ様とはまた別の魔術師ですね。貴族派好みの魔力量……」
ざわざわと小声で褒めちぎってくれているけど、いいのよ、もっと大きな声で褒めても!
「若き治癒師達よ。これからも国の為にその力を磨くのですよ」
というお決まりの聖女様のお言葉をもってお開きとなった。
「リディアナ……!」
会が終了したからか、叔母が小さく微笑みながらやって来た。私もアイリスも一応うやうやしく膝を折り頭を下げる。
「まあ! いいのよそんなこと……! あら……その髪飾り……」
叔母の目が妖しく光った。視線の先にあるのは深い青色の大きな宝石がついた髪飾りだ。私が十歳の頃、王から下賜された亡き正妃様が使っていた。
(個人的にも気に入ってるんだよね~)
一応第三側妃様の前では付けないようにしているが、王が正妃が使っていたモノを下賜することなどそれまでなかったので、付けて問題ないときは付けている。王に気に入られているアピールにも使えるからだ。
「懐かしいわ……」
どこか寂しそうな声だった。
「叔母様、正妃様と……」
「ええ。私達、仲が良かったのよ」
へぇ~知らなかった。というか、正妃のことはほとんど知らない。王宮内では話題に出すことをタブーとしている雰囲気があるし。
(亡くなり方がな~……表向きは突然死だけど、自死か暗殺の可能性が高いって……)
死の真相は原作情報にもない。
その後叔母は急にハッとするように我に返って、
「リディのお友達を紹介して欲しくって」
隣にいたアイリスに向かって美しい月の女神のように笑った。
「アイリス……アイリス・ディーバでござい、ございます!」
あのアイリスが緊張している。というか見惚れている。ポォっと顔を赤くして。
「アイリス……貴女の治癒魔法、とっても暖かかったわ。どうかこれからも励んでね。さっきはああ言ったけど……身近な人のために」
貴女のタイプはそう思った方が効果が出るのよ、といたずらっぽく笑って。
「ひゃ、ひゃい……!」
なぜか照れながら返事をしていた。
「おぉ! なんと美しい花々だろう!」
まだざわつきのある会場で我々を目がけて近づいてくる眼鏡をかけた男性が一人。ちょっと興奮気味なのが見て取れる。
「ルーベル伯! 不敬ですよ!」
叔母様に付き従っている聖騎士がピシャリと窘めた。
「これは失敬! あまりにも眩しい大輪でしたので!」
「ルーベル伯!」
二度怒られてようやく喋るのをやめた。この眼鏡はデルトラ・ルーベル。フローレス家、カルヴィナ家と並ぶ名門治癒師の家系の人間だ。
「ルーベル伯、お久しぶりでございます」
「ああ! リディアナ様のお陰で今年は久しぶりに見応えがありましたよ! それに噂に聞くアイリス嬢の魔術ときたら……! これほど胸が躍る選定会は初めてです!」
そう言って再び興奮し始め、私とアイリスの肩に触れようと手を伸ばすが、
「ルーベル伯」
叔母の氷のような声でその手を止めた。
「貴女の魔力好きは存じていますが、少し落ち着きなさい」
「おっとこれは失礼しました……! つい……」
へへっと笑い、
「アイリス嬢、どうぞお見知りおきを。何かお困りのことがありましたらなんでも相談に乗りますよ」
そう言ってちょっと名残惜しそうに去って行った。
帰りの馬車の中で、アイリスはふ~っと深呼吸をしていた。
「やっぱああいう場って疲れるね~!」
今度はぐっと背伸びをしている。
「つーか、リディアナの叔母さんめっちゃ綺麗! 見惚れちゃったよ! カッコいいし! 原作ではそんなに目立たなかったけど。いや~~~感動する美しさってあるんだな~!」
「それはよかった」
身内が褒められるのは素直に嬉しい。
「てかあのオジはなんだったの? ルーベル伯ってあのルーベル家ってことでしょ?」
「原作でほとんど触れられなかったもんねぇ~」
悪い人じゃなさそうだったけど、胡散臭かったね! とアイリスの感想は正直だ。
「カルヴィナ家が貴族派なら、ルーベル家は魔力派って感じね」
「あーそれだけでわかったわ」
あの家は魔力量で人間を判断する。そこに身分は関係ないのでアイリスにも好意的だ。そういう意味であの家、私の事が大好きである。特に何か仕掛けてくるわけではないが、魔封石には反対派なので今はあまり仲良くしたくない相手だ。
今日はアイリスと王都にある我が家に帰る。ちょっとした選定会お疲れ様会だ。
「楽しみ~」
そのルンルンはあまり長くは続かなかった。
現聖女が亡くなる、もしくは引退後に備えて次期聖女、もしくは聖人の後継者を決める必要があるからだ。簡単に言うと適性検査なのだ。聖女になれるかどうかの。
とはいえ実際のところはただのパフォーマンス。歴代の聖女達のほとんどがカルヴィナ家、ルーベル家、そして我がフローレス家の親類だ。これまでは。
この選定会、治癒魔法が使える者は誰でも見学可能。というわけで、
(滅茶苦茶見に来てるわね~)
見世物じゃねーぞ、と言いたいところだが、実際見世物だ。
今日のこの集まりは例年にない人だかりだ、と噂する声が聞えたので、どうやら注目を集めた年であることがわかる。
(本当は半年前のイベントだったんだけど)
王宮の襲撃事件や王の外遊等イレギュラーなことが相次いでしまい、我々の代は今日まで延期されていた。
「このイベントってあたしすごーい! って対外的に見せつける話だったよね」
「そうそう。現聖女様に認められるってやつ」
世間的に見て、どの家名にも関わりのない平民アイリス・ディーバの登場というわけだ。
原作ではこういう風に小出しにして、アイリスの能力の高さが貴族にも平民にも広まっていくのだが、現時点でアイリスのすごさは学園を中心に広まっている。そもそも入学前から治癒魔法と防御魔法の修行はガチった、という話なので当たり前かもしれないが。
「聖女様ってフローレス家なのにリディアナの親戚っぽくないイメージだったけど、実際はどうなの?」
リリー叔母様はリディアナの敵になることはないが、原作ではアイリスとレオハルトが結ばれるよう応援していた。王にもそれとなく進言するシーンもある。
(原作の私には王妃になる必要なんてないのよ……って言ってたけど……)
姪っ子の悪い噂を聞いて……というよりも、母親を死に追いやった王家や第二側妃への復讐をも目論んでいるのではという心配があったような描写だった。
「小さい頃はアグレッシブなお母様とはタイプが違うな~と思ってたけど、今は血の繋がりってバカにできないと思ってる」
「そういえばルーク様もアグレッシブタイプだもんね~」
儚げな印象のある叔母だが、実際は母や伯父に負けない体力モンスター。常に忙しそうだ。
「それで。今回はまだ身元を伏せるってことでいいの……?」
「うん。今は追加で心配させたくないし。王様も忙しそうじゃん?」
「でも……」
「あたしの方は心配しないで! リディアナの奨学金のお陰でアランと学生生活だよ~毎日めっちゃくちゃ楽しいんだから!」
とびっきりのヒロインスマイル。私の不安や罪悪感をかき消そうとしてくれている。
「それにさ。原作と違う大きな事件が二つとも解決してないじゃん? ちょっと慎重にいこうかなって」
レヴィリオに魔力増強剤を渡した女も、王宮の襲撃事件の犯人も捕まっていない。未来を変える動きをすることで、さらなる変化や混乱を避けたいのだと。
「別に急いでないしね~」
アイリスの祖先とレオハルトの祖先は遥か昔に約束をしていた。この国が危機に瀕した時、必ずまた助けにやってくると。
つまり、現状アイリスが身元を明かすと、この国ピンチですよ! と言うようなものだのだ。
(王宮の襲撃事件がなければオープンにしたかったんじゃないかな……)
アイリスは聖女となってアランとこの国を守っていきたいと思ってくれている。早いうちから未来の聖女としての足場固めをしたいはずだ。厄災の令嬢を倒すことなく問題なしにその地位を得るために。
アイリス曰く、この『約束』を知っているのは極一部。王と聖女とその周辺くらい。何も事件が起こらなければ、この『約束』を抜きにして外の世界にやってきた『初代聖女の末裔』デス! というスタンスでいくつもりだったはずだ。だが、
(ピンチの原因、私だもんな~……)
人々は王宮の襲撃の犯人はまだ捕まっていないことをもちろん覚えている。いつかのルイーゼと同じようになんらかの『厄災』がこの国に迫っていると判断されかねない。というかされる。それも偉い人に。なんたってルイーゼの前例がすでにあり、さらに初代聖女の末裔まで登場となると……。
うーむ。なかなか都合よくいかないものだ。
「……王宮の事件……リディアナ派が疑われてるってマジ?」
やっぱり気にしてくれていたか。
「ほんの一部よ。あれで評価爆上がりしたのはウチだしね。母も伯父もガッツリ自分の夢のためにお金出してもらってるし。誰に利がある事件だったか……って考えるとさ」
その噂が出回っている中で、またなにか事件でもあったら……。アイリスの慎重な対応に感謝しなければ。
◇◇◇
選定会はつつがなく終了した。当初の予定通り、アイリスすごーい! が周知でき、私は家名に泥を塗ることなく『流石フローレス家!』という評価を得ている。
「どう鍛錬したら植物にまで効果を広げられるんだ?」
「平民なのが惜しい。いっそどこかの養子入れたらいいんじゃないか?」
「いやはや。リディアナ様は全ての魔術に長けているとは本当でしたな」
「ルカ様とはまた別の魔術師ですね。貴族派好みの魔力量……」
ざわざわと小声で褒めちぎってくれているけど、いいのよ、もっと大きな声で褒めても!
「若き治癒師達よ。これからも国の為にその力を磨くのですよ」
というお決まりの聖女様のお言葉をもってお開きとなった。
「リディアナ……!」
会が終了したからか、叔母が小さく微笑みながらやって来た。私もアイリスも一応うやうやしく膝を折り頭を下げる。
「まあ! いいのよそんなこと……! あら……その髪飾り……」
叔母の目が妖しく光った。視線の先にあるのは深い青色の大きな宝石がついた髪飾りだ。私が十歳の頃、王から下賜された亡き正妃様が使っていた。
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「叔母様、正妃様と……」
「ええ。私達、仲が良かったのよ」
へぇ~知らなかった。というか、正妃のことはほとんど知らない。王宮内では話題に出すことをタブーとしている雰囲気があるし。
(亡くなり方がな~……表向きは突然死だけど、自死か暗殺の可能性が高いって……)
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「ルーベル伯、お久しぶりでございます」
「ああ! リディアナ様のお陰で今年は久しぶりに見応えがありましたよ! それに噂に聞くアイリス嬢の魔術ときたら……! これほど胸が躍る選定会は初めてです!」
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「ルーベル伯」
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へへっと笑い、
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「つーか、リディアナの叔母さんめっちゃ綺麗! 見惚れちゃったよ! カッコいいし! 原作ではそんなに目立たなかったけど。いや~~~感動する美しさってあるんだな~!」
「それはよかった」
身内が褒められるのは素直に嬉しい。
「てかあのオジはなんだったの? ルーベル伯ってあのルーベル家ってことでしょ?」
「原作でほとんど触れられなかったもんねぇ~」
悪い人じゃなさそうだったけど、胡散臭かったね! とアイリスの感想は正直だ。
「カルヴィナ家が貴族派なら、ルーベル家は魔力派って感じね」
「あーそれだけでわかったわ」
あの家は魔力量で人間を判断する。そこに身分は関係ないのでアイリスにも好意的だ。そういう意味であの家、私の事が大好きである。特に何か仕掛けてくるわけではないが、魔封石には反対派なので今はあまり仲良くしたくない相手だ。
今日はアイリスと王都にある我が家に帰る。ちょっとした選定会お疲れ様会だ。
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そのルンルンはあまり長くは続かなかった。
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