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10 VS 隣国の王子
ああ、ついに嫌な記憶を思い出してしまった。私は前世で男に貢いで貢いで貢いで最後に捨てられたのだ。だからアイリスが周囲からどれだけ別れろと言っても別れられない気持ちがわかる。クソ男がどう考えてもまずいことは頭ではわかっているのに、色々と理由をつけて結局別れられないのだ。
「依存しちゃってるのよねぇ」
彼に愛されていると感じる、その一瞬の幸せから抜け出せないでいた。ほとんどが勘違いなのに。
「エミリア様もそんな経験が?」
「……本で読んだだけよ」
アイリスを慰めるためについつい余計な話をしてしまった。
「エミリア様の婚約は、お二人にその意思がないまま決められたとお伺いしました」
「そうよ。まあ貴族なんてそんなもんね」
「……嫌ではないですか?」
アイリスはどんな答えを求めているんだろう。
「嫌だけど!? 私そもそも結婚なんかしたくないもの」
「そうなんですか!?」
どうやら私の返答内容は予想と違ったようだ。
「王太子様との婚約でも幸せにはなれないんですね」
「私にとってはね」
まあ他の女子にマウントとるならこれほどいい婚約者はいないだろうけど。
「君達、こんな所でどうしたんだい?」
「ウワァ!」
急に背後から現れた隣国の王子に2人して驚いた。どうやら私の侍女エリザが、帰宅用の馬車を手配に行った瞬間を狙っていたようだ。
咄嗟にアイリス庇うように前に出た。
「何か御用かしら?」
イクリスは笑顔を絶やさないが、体を傾けて覗き込むようにアイリスに話しかけた。
「いや、今日アイリスと話してないなーって」
(きもっ! ストーカーかよ!)
思いっきり嫌そうな顔をして対応する。
「ちょっと貴方、他人が嫌がってる表情くらい読み取れないの? 次からこの子に会いたかったら私にアポ取ってちょうだい」
「はぁ? 何で僕がそんなことを?」
どうやら笑顔はアイリス限定らしい。しっかり私には憎たらしい表情を向けてきた。腹立つ~!
「郷に入っては郷に従ってもらうわよ」
「好きな人に会うためにわざわざアポなんて変だろ」
正論で返されてしまった。
「明らかに度が過ぎてるのよ! そんくらいわかんなさい!」
「愛を伝えてるだけだろ!」
「それが迷惑だっつってんだろ!」
話が通じないタイプだ。分かっててやってるのかわざとやってるのかわからないが。
するとついにアイリスがキレた。クズ男に会えなかった鬱憤を晴らすかのようだった。
「いい加減にしてください! 貴方のやり方は怖いです! 迷惑です! もう顔も見たくありません! 2度と私の前に現れないで!!!」
「そ、そんな……!」
これはイクリスにとって予想外の反応だったようだ。おそらく振られたのは人生初めての経験だろう。ものすごく衝撃を受けているのがわかる。
「そ! そうだ明日宝石商へいかないか? 欲しいもの何でも買ってあげよう! あ! ドレスの方がいいかな?」
オロオロとしながら今度はモノで釣ろうとしている。
「あんたそれでいいの? お金で買う愛を否定する気はないけど、それってあんたが本当に欲しいモノじゃないんじゃない?」
ああ~自分で言ってて辛い! 貢いでも貢いでも私は彼の1番に慣れなかった記憶が蘇る。
(せっかく転生したんだからこの記憶だけは消えていて欲しかったー!)
アイリスも俯いている。どうやら自覚が出てきたようだ。
「じゃあどうやったら僕のこと好きになってくれるんだ!?」
「知るか! 少なくともこの状態で好きになることはないわ!」
「やだやだやだー! 僕のこと好きになってよぉ!!!」
「幼児か!」
駄々をこね始めたイクリスを遠巻きに人々が見ている。
(恥ずっ!)
「馬車の御用意ができました」
「わっ!」
音もなく無表情で表れたエリザに一同が驚いた。ちょうどこの男をどうしようかと考えあぐねていた所だ。
「アイリス! 帰るわよ!」
「は、はい!」
イクリスを無視して馬車へ向かおうとする。
「やだやだやだー! 行かないでよぉ!」
どさくさに紛れてアイリスの手を掴もうとしたので、ペッと、イクリスの手を払いのけてやった。
「酷い!」
「やかましい! 迷惑だからさっさと帰れ!」
国へな!
「……イクリス様、お帰りのお時間です」
エリザの背後には、イクリスの従者が呆れ顔で立っていた。なかなかガタイがいい。
「うわ! まいたと思ったのに!」
「これだけ騒げば居場所もわかるというものです」
そう言うと、子供のようにイクリスを担ぎ上げた。
「やめろ! 恥ずかしいだろ!」
「令嬢相手にゴネている姿よりマシです!」
2人で言い争いを始めた。
「遅れて申し訳ございませんでした。彼を連れてくるのが一番丸く収まりそうでしたので」
エリザはどうやら早々にイクリスの存在に気がつき、彼の従者も連れてきてくれたようだ。
「そう見たいね。助かったわありがとう」
アイリスもエリザにぺこぺこと頭を下げた。
「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした」
イクリスの従者が、彼を抱えたまま深く頭を下げた。
「迷惑なんかかけてな~い!」
騒いでいる男は無視して彼らの馬車へと帰っていった。
「イクリス様関連で何かあれば彼に言うといいとのことです」
「頻繁に呼ぶことにならなきゃいいけど……」
悪役令嬢だけど、ヒロインのボディガードとしてまだしばらく働く必要がありそうだ。
「依存しちゃってるのよねぇ」
彼に愛されていると感じる、その一瞬の幸せから抜け出せないでいた。ほとんどが勘違いなのに。
「エミリア様もそんな経験が?」
「……本で読んだだけよ」
アイリスを慰めるためについつい余計な話をしてしまった。
「エミリア様の婚約は、お二人にその意思がないまま決められたとお伺いしました」
「そうよ。まあ貴族なんてそんなもんね」
「……嫌ではないですか?」
アイリスはどんな答えを求めているんだろう。
「嫌だけど!? 私そもそも結婚なんかしたくないもの」
「そうなんですか!?」
どうやら私の返答内容は予想と違ったようだ。
「王太子様との婚約でも幸せにはなれないんですね」
「私にとってはね」
まあ他の女子にマウントとるならこれほどいい婚約者はいないだろうけど。
「君達、こんな所でどうしたんだい?」
「ウワァ!」
急に背後から現れた隣国の王子に2人して驚いた。どうやら私の侍女エリザが、帰宅用の馬車を手配に行った瞬間を狙っていたようだ。
咄嗟にアイリス庇うように前に出た。
「何か御用かしら?」
イクリスは笑顔を絶やさないが、体を傾けて覗き込むようにアイリスに話しかけた。
「いや、今日アイリスと話してないなーって」
(きもっ! ストーカーかよ!)
思いっきり嫌そうな顔をして対応する。
「ちょっと貴方、他人が嫌がってる表情くらい読み取れないの? 次からこの子に会いたかったら私にアポ取ってちょうだい」
「はぁ? 何で僕がそんなことを?」
どうやら笑顔はアイリス限定らしい。しっかり私には憎たらしい表情を向けてきた。腹立つ~!
「郷に入っては郷に従ってもらうわよ」
「好きな人に会うためにわざわざアポなんて変だろ」
正論で返されてしまった。
「明らかに度が過ぎてるのよ! そんくらいわかんなさい!」
「愛を伝えてるだけだろ!」
「それが迷惑だっつってんだろ!」
話が通じないタイプだ。分かっててやってるのかわざとやってるのかわからないが。
するとついにアイリスがキレた。クズ男に会えなかった鬱憤を晴らすかのようだった。
「いい加減にしてください! 貴方のやり方は怖いです! 迷惑です! もう顔も見たくありません! 2度と私の前に現れないで!!!」
「そ、そんな……!」
これはイクリスにとって予想外の反応だったようだ。おそらく振られたのは人生初めての経験だろう。ものすごく衝撃を受けているのがわかる。
「そ! そうだ明日宝石商へいかないか? 欲しいもの何でも買ってあげよう! あ! ドレスの方がいいかな?」
オロオロとしながら今度はモノで釣ろうとしている。
「あんたそれでいいの? お金で買う愛を否定する気はないけど、それってあんたが本当に欲しいモノじゃないんじゃない?」
ああ~自分で言ってて辛い! 貢いでも貢いでも私は彼の1番に慣れなかった記憶が蘇る。
(せっかく転生したんだからこの記憶だけは消えていて欲しかったー!)
アイリスも俯いている。どうやら自覚が出てきたようだ。
「じゃあどうやったら僕のこと好きになってくれるんだ!?」
「知るか! 少なくともこの状態で好きになることはないわ!」
「やだやだやだー! 僕のこと好きになってよぉ!!!」
「幼児か!」
駄々をこね始めたイクリスを遠巻きに人々が見ている。
(恥ずっ!)
「馬車の御用意ができました」
「わっ!」
音もなく無表情で表れたエリザに一同が驚いた。ちょうどこの男をどうしようかと考えあぐねていた所だ。
「アイリス! 帰るわよ!」
「は、はい!」
イクリスを無視して馬車へ向かおうとする。
「やだやだやだー! 行かないでよぉ!」
どさくさに紛れてアイリスの手を掴もうとしたので、ペッと、イクリスの手を払いのけてやった。
「酷い!」
「やかましい! 迷惑だからさっさと帰れ!」
国へな!
「……イクリス様、お帰りのお時間です」
エリザの背後には、イクリスの従者が呆れ顔で立っていた。なかなかガタイがいい。
「うわ! まいたと思ったのに!」
「これだけ騒げば居場所もわかるというものです」
そう言うと、子供のようにイクリスを担ぎ上げた。
「やめろ! 恥ずかしいだろ!」
「令嬢相手にゴネている姿よりマシです!」
2人で言い争いを始めた。
「遅れて申し訳ございませんでした。彼を連れてくるのが一番丸く収まりそうでしたので」
エリザはどうやら早々にイクリスの存在に気がつき、彼の従者も連れてきてくれたようだ。
「そう見たいね。助かったわありがとう」
アイリスもエリザにぺこぺこと頭を下げた。
「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした」
イクリスの従者が、彼を抱えたまま深く頭を下げた。
「迷惑なんかかけてな~い!」
騒いでいる男は無視して彼らの馬車へと帰っていった。
「イクリス様関連で何かあれば彼に言うといいとのことです」
「頻繁に呼ぶことにならなきゃいいけど……」
悪役令嬢だけど、ヒロインのボディガードとしてまだしばらく働く必要がありそうだ。
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