Ms.Augustの放心的迷想日記(Sep.2025)

弘生

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9月23日(火)

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  雨たまり


配達された段ボール箱を開けた
雨が詰まっていた
目を凝らすと新月が沈んでいた
そっと指を差し入れると
爪の先から冷たい硝子の粒がぽろぽろ零れた
指先を舐めるとジンジャーエールの味がした
天体望遠鏡でのぞくと明日の秘密を見つけた

潜ってゆくと雨の噴出口あたりに
生まれたての月の子等が
ぷくぷくと漂っていた
手を伸ばすと黒い月は穴を正しく歪ませて
酸素濃度を操る
脈拍は微弱に遠ざかり
あたしのいつかのあなたは霧に絡まって
あたしは影絵になって
雨たまりを宙返りする

今、きっかり一分間だけ抱きしめていて
心音のかわりにタイマーをスタートさせるわ
本物のあたしはここにいるのに
あなたは空っぽの段ボール箱の配達に
精を出すのよ
白鷺が低空飛行であたしの手から
蕾んだ石の時計を奪っていった
そんなのいつだって役に立たないわ

明日の秘密は軟らかい雨とともに
段ボールに仕舞われてしまうんだもの

始まりの箱とも知らずに



F6号
「雨たまり」

noteと一緒でごめんなさい
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