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無知な勇者達の旅路編

2番目の街で平然と呪いグッズが売られている

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俺達が今いるのは、俺達のいた国のとなりの国、すなわち隣国の城下町だ。旅の用意は粗方自国でして来たけど、こっちでも買わなくてはいけないものがあるので、市場に来ている。うん、デカい国なだけあって品揃えとかも多いな。

「ねぇ、ディル。これとかどうですか?」
「ん?腕輪?」
「装備すると呪われるそうです」
「なんてもの選んでるんだよ、ミーちゃん!!」

あんまりサラッと言うものだから、一瞬スルーしそうになったじゃん!!うっかり『へーっ、いいんじゃない?』とか言いそうになったじゃん!!それ持って行ったら殺されるから!現在別行動中のレナに!!

「ふむ……ではこれはジル用にしましょう。普段苦労かけてしまっていますし」
「確実に更なるストレスが、ジルに襲いかかるだけだと思う」
ミーちゃんって結構、ジルのこと嫌い…………?


ようやく買い物も終わり、街の真ん中の噴水でレナとジルのコンビと落ち合う。ジルの疲労が目に見えて明らかだったので、とりあえずキャンディを1つあげた。疲れた時には甘いものが1番!……そのキャンディはミント味だけどね!!ジルがなんか睨んできたけど、俺は知りませんよーっと。ジルがミント嫌いとかこれっぽっちも知りませんよー。

「あっ、ジル、手を出して下さい」
「ん?こうか??」
ミーちゃんはジルの手首に、するりと何かを嵌めた。

「あら、綺麗ね。ジルには全く似合っていないけれど」
「おいレナ、ケンカ売ってんのか?あぁ??」
2人がいつも通りの漫才を繰り広げている間、俺はじっとジルの手に嵌められた物を凝視していた。

細かい細工が施された漆黒の金属。輪っかの形のそれに赤い宝石が付いた、それは────────

「どう見てもさっきの呪いの腕輪じゃんかよぉぉぉぉ!!」
「ある条件下で頭痛がする呪いが掛かっています」
「おい待てミーちゃん!?なんて悪質なモン俺に渡してくれちゃってんの!!?」
「ミーちゃん、良くやったわ!!」

酷い。これは酷い。あんまりだ!確かに地味な呪いだけど、地味なりにかなりキツイよ!!

「さあ、そろそろ行きましょ!あまり時間を無駄に潰す訳にもいかないわ!!」
「ちょ、レナ!無視すんじゃねーよぉぉぉぉぉ!!」
心中、お察しするよ、ジル。代わりたいとは思わないけど。
っと、俺も行かないと。



「『天啓の腕輪』……。まさかこんな所で手に入るなんて。ジルには悪いですが、我慢して貰うしかありませんね…………」

「彼らは大事な仲間。この世界に必要不可欠な存在。失うわけには、いかないのです……………………絶対に」
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